メロンクリームソーダカランコロン。カランコロン。
グラスに入った氷が涼しげな音を立てる。
貴女は嬉しそうに白いアイスクリームを一口頬張り目をキラキラと輝かせた。
「フフッ。ご機嫌だね」
俺がそう言うと
貴女は満面の笑みを浮かべ
「もちろん。だって今ちょっとした贅沢をしているんだもの」
と、微笑み返した。
「フフッ。それはよかった。主様が幸せな気分になれてるなら、俺は嬉しいよ。」
アイスクリームにスプーンを入れるたびに
カランコロン。カランコロン。
と、涼し気な音がする。
白いアイスクリームと緑色のメロンソーダ。
2つの比率的にアイスクリームがすぐになってしまう。
けれど、貴女はそれがいいのだと前に話してくれた。
美味しそうにアイスクリームを頬張る貴女を見つめながら、お皿に乗せたお菓子をテーブルに置いた。
最後の一口を頬張った貴方は
「私ね。この瞬間が好きなんだ。」
と、まだメロンソーダが残るグラスを、窓から溢れる光へと掲げた。
「綺麗だね。主様はこの色合いが好きなの?」
緑色の液体は光に反射しキラキラと輝いていた。
貴女はコクリと頷くと、一口飲んで悪戯な笑みを浮かべて言った。
「貴方みたいだから好きなの。」
カラン。
グラスの中の氷が音を立てる。
呆然と立ち尽くす俺を他所に
貴女は椅子から立ち上がると
俺の服の裾を遠慮がちに引っ張った。
「でも本物の貴方が一番好き。アイスのように甘くて、シュワッとしてる炭酸みたいに爽やかで…陽の光に反射して輝くメロンソーダみたいな瞳をしている貴方が好き。」
「なんだか、気恥ずかしいね」
「ふふっ。顔が真っ赤よ?」
「あ、もしかして・・・俺のことからかってる?」
「少しだけ」
クスッと貴女は笑った。
それにつられて、俺も自然と笑顔になる。
「もっと近くで感じさせて」
「勿論。主様が望むならいくらでも」
両手を広げ貴女を待てば、貴女はクスッと笑い、俺の頬を優しく触れそのままネクタイをグッと引っ張った。
柔らかな感触と、甘いアイスクリームの味がする。
反射的に離れようとしたけれど、貴女は俺を抱き寄せて、再び口を封じ込めた。
飲んでいないはずのメロンクリームソーダの味が口いっぱいに広がった。
貴女は身を離すと
「油断した?」
と、呟いた。
「まいったな。まさか主様がこんな大胆なことをするなんて・・・少し不安になっちゃうな。」
「安心して、ベレンだからしたの。」
今まで感じたことのないくらい感情が高まり、ドクドクと鼓動が加速する。
「そんなことばっかり言って本当に主様は悪い子だね。悪い子にはお仕置きしないと」
貴女の耳元でそう呟けば
貴女は顔を赤らめながら
「悪い子でも嫌いにならないでね。」
と、目をそらす。
「勿論。嫌いになんてならないよ。」
俺の言葉に貴女は安心したように目を閉じる。
静かな部屋にカラン。と氷の音が響いた。