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    住めば都

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    住めば都

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    あくねこ、フルーレ夢。
    主様は、どうやらフルーレにお願いがあるようです。

    夏イベが楽しみで楽しみで仕方ない今日この頃です。
    夏の暑さと繁忙期がマジのマジで辛すぎる日々ですが、執事たちの浴衣姿に癒されながら乗り越えていきたいと思います。

    #あくねこ夢
    cats-eyeDream
    #aknkプラス
    aknkPlus
    #aknk夢
    #フルーレ
    foil

    俺のレッスンは厳しいですよ! フルーレは、地下の執事室で新しい衣装のデザインを考えていた。進み具合は、残念ながら芳しいとはいえない。ペンを握ってはいるものの、その手はしばらく止まったままだった。
     少し気分転換でもしてこようか。外の空気を吸えば、なにかいいアイディアが浮かぶかもしれない。
    そう考えたフルーレがペンを置いたところで、扉を叩く音が響いた。
    「はい、どうぞ」
    「入るね」
     応答を受け、ドアの向こうから返されたのは柔らかな女性の声だ。十人を超えるデビルズパレスの住人の中に、女性はたった一人。訪ねてきたのが大切な主人であることに気づいて、フルーレは目を丸くした。
    「あ、主様!? 呼んでくだされば、俺のほうからお伺いしましたのに……!」
     主人に足を運ばせてしまったことに、フルーレは恐縮する。けれど当の本人は気にした素振りもなく、用のあるほうが出向くのが礼儀だと笑った。
     フルーレたち悪魔執事の面々は、貴族たちの自己中心的な横暴に慣れてしまっているので、あまりに気さくな主人の振舞いには戸惑うことも多い。しかし同時に、道具ではなく人として扱ってくれる彼女のことを好ましく、また誇らしく思ってもいるのだった。
     主人を部屋に招き入れたフルーレは、椅子を進めた。まさか、立ち話をさせるわけにはいかない。本当なら、お茶や菓子でもてなしたいところだが、せっかく訪ねてきてくれた主人を放り出してまでお茶の準備をするべきか迷って、フルーレは先に彼女の用件を訊ねることにした。
    「えっと……俺になにかご用でしょうか?」
    「うん。実は、フルーレにお願いがあってね」
     お願い。それを聞いて、フルーレは胸が躍った。屋敷の衣装係としては自信を持って仕事に取り組んでいるフルーレだったが、主人に仕える執事として、あるいは天使と戦う戦士としては、まだまだ一人前とは言い難いと感じている。
     そんな自分に、主人は頼みがあるのだという。リーダーとして個性的な面々を束ねるハウレスでも、常に冷静かつ節度を守って仕事をこなすミヤジやベリアンでもなく、フルーレに。それは彼に、望外の喜びをもたらした。
    「なんなりと、お申しつけください!」
     胸をそらし、張りきって請負うと、主人は優しい笑みを浮かべた。
    「あのね、フルーレに、バレエを教えてもらえないかと思って」
    「バレエ、ですか?」
    「そう」
     意外な内容に驚いて、フルーレはオウム返しにした。不思議そうに首を傾げる彼に、主人は言葉を続ける。
    「フルーレは、いつもすごく素敵な衣装を作ってくれるでしょう。だから、私ももっとかっこよく着こなせるようになりたいんだ。姿勢とか、歩き方とか、直せるところはたくさんあると思うんだよね。それで、正しい姿勢を保つには、ある程度筋肉も必要でしょう? 筋肉をつけるのと、姿勢を直すのと、バレエなら両方できるんじゃないかと思ってさ」
    「主様……」
     話を聞いて、フルーレは感動に言葉を詰まらせた。嬉しかった。自分の作った衣装を素敵だと褒めてくれたことも、その衣装の魅力をさらに引き立てるために努力したいと考えてくれたことも。あまりにも嬉しすぎて、目の奥が熱くなった。胸の中に収まりきらない感情が、涙となって溢れてしまいそうだ。
    「もちろん……もちろんです! 俺でよければ、いくらでもお教えいたします!」
    「よかった……引き受けてくれてありがとう! あ、でも、フルーレも忙しいだろうから、時間のあるときでいいからね」
    「お気遣い、ありがとうございます。では、手の空いたタイミングでお声がけさせていただきますね」
    「うん。よろしく、フルーレ先生」
     またね、と手を振りつつ退室していった主人を、フルーレはその背中が見えなくなるまで見送った。執事としては、主人の部屋までエスコートするのが正しいのだろうが、爆発しそうな感情を隠し通すので、今のフルーレは精一杯だった。
    (あああああああ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!)
     フルーレはドアを閉めると、その場にしゃがみこんで声を出さずに絶叫した。肺が空になるまで息を吐き出して、顔を上げる。そのまま机に向かうと、ペンを取って一心不乱に線を引き始めた。
     先ほどまでの不調が嘘のように、後からあとからアイディアが浮かぶ。まるで、込み上げる喜びがそのままデザインになっているかのようだ。
     大切な主人のために、たくさん、たくさん衣装を作りたい。もっと、もっと彼女の魅力を引き立てるような衣装を。
     その思いに突き動かされ、フルーレはしばらくの間、ペンを置くことができなかった。
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    住めば都

    DONEあくねこ、ルカス夢。
    いつもドキドキさせられて悔しい主様が、意趣返しのつもりで「ルカスは冗談ばっかり」と返したら、実は全部本気の本心だったと暴露される話。

    交渉係を務めて長い男が、自分の思いに振り回されて本音を隠せず、苦し紛れに冗談だよって見え見えの誤魔化し方しかできないのめちゃくちゃ萌えるなと思うなどしました
    いっそ全部、冗談にしてしまえたら 目の覚めるような美人ではない。愛嬌があるわけでも、聴衆を沸かせる話術を持つわけでもない。
     至って普通。どこにでもいそうな、地味で目立たないタイプ。――それが私だ。
     おおよそ三十年かけて築き上げた自己認識は、異世界で出会ったイケメン執事たちに「主様」と呼ばれ大切にされたところで、簡単に揺らぐようなものではない。
    「フフ、主様といられる時間は、本当に幸せです♪ この時間が、永遠に続けばいいのになあ……」
    「はいはい。全く……ルカスったら、冗談ばっかり言うんだから」
     上機嫌に微笑む担当執事を、私は半眼で睨みつけた。
     ルカスとアモンは、口説くようなセリフをよく言ってくる。恋愛経験の少ない私はそのたび顔を赤くしてドギマギしてしまうのだが、彼らの思惑どおりに翻弄されるのを、最近は悔しいと感じるようになっていた。
    1884

    住めば都

    DOODLEあくねこ。ナックとハンバーグの話。友情出演、ロノとテディ。
    執事たちの話題に上がるだけですが、美味しいもの大好き自称食いしん坊の女性主様がいます。
    後日、お礼を伝えられた主様は「私が食べたかっただけだから」と苦笑したそうです。

    お肉が苦手なナックに豆腐ハンバーグとか大根ステーキとか食べさせてあげたい気持ちで書きました。
    美味しいは正義 今日に夕食のメニューは、ハンバーグだ。
     食堂に向かう道すがらで会ったテディが、鼻歌混じりで嬉しそうに言うのを聞いて、ナックは落胆の気持ちを曖昧な笑顔で濁した。
     ナックは肉全般が苦手だ。メインが肉料理の日は食べられるものが少なく、空腹のまま夜を過ごすことも多い。
     だが、ハンバーグを心から楽しみにしているらしい同僚に、それを伝えることは憚られた。食事は日々の楽しみだ。テディには心置きなく、好物を味わってほしい。
     食事の時間は一応決まっているが、執事たちは全員揃って食事を取るわけではない。一階や地下の執事たちはそろって食べることが多いようだが。
     決められた時間内に厨房へ顔を出し、調理担当に、食事に来たことを告げる。そうして、温かい料理を配膳してもらうのだ。
    2130

    住めば都

    MEMO2023クリスマスの思い出を見た感想。
    とりあえずロノ、フェネス、アモン、ミヤジ、ユーハン、ハナマルの話をしている
    執事たちが抱く主様への思いについて現時点で、あるじさまへの感情が一番純粋なのはロノかなという気がした。
    クリスマスツリーの天辺の星に主様をたとえて、でもそこにいるのは自分だけじゃなくて、屋敷のみんなも一緒でさ。
    主様と執事のみんながいるデビルズパレスを愛してるんだなあということがとてもよく伝わってきて、メインストのあれこれを考えると心が痛い。ロノの感情と愛情が純粋でつらい(つらい)

    なぜロノの贈り物にこんなに純粋さを感じているかというと。
    手元に残るものを贈っている面々は、そもそも根底に「自分の贈ったものを大切に持っていてほしい」という思いがあるはずで、贈った時点である意味主様からの見返りを求めているのと同じだと思うんですよね。
    ただ、消え物にするか否かは思いの重さだけでなくて、執事たちの自分への自信のなさとか、相手に求めることへの拒否感とか、なにに重きを置くかの価値観とか、いろいろあると思うので、消え物を選んだ執事がみんなロノほど純粋な気持ちではいないんだろうなと思っている。
    1511

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    DONEあくねこ、ハナマル夢(?)
    ※本編2.5章、水龍の唄、ワインフェスティバルの内容に触れています。
    時系列的にはワインフェスティバル8話のあと。イベストを読み返していて感じたことをこねこねしました。捏造過多です。
    独白なので夢と言っていいものかわかりませんが、考えているのは主様のことなので一応夢ということにしておきたい。
    ないものねだり 宛てがわれた宿の一室でベッドに身を横たえたハナマルは、酒精が入ったわりに冴えてしまった目で、ぼうっと天井を眺めた。ついと利き手を天に伸ばす。緩く拳を握ると、掴んでおきたかった大事なものの記憶が脳裏を駆け抜けた。
     感傷的な気分になっているのは、ルカスを相手に過去の話をしたからだろう。まさか中央の大地に、燃え尽きた郷里のことを知っている人間がいるとは思わなかった。
    「百年経てば、か……」
     刺青を消したいと相談したハナマルに、刻まれた印は消えずとも人々の記憶のほうが風化すると、ルカスは言った。確かにそうだとハナマルも思った。
     だが、背に負った龍の意味を知るものがいなくなるのにそれだけ年月がかかるのだとすれば、彼が唯一と定めた主人がハナマルの出自を知る日が、いずれやってくるかもしれない。
    1326

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    DONEあくねこ、ハウレス夢
    本編2章の直後くらいに、セラフィムの騙った主様の処刑を夢に見るハウレスの話。

    始めたばっかりですが、生きてるだけで褒めてくれるあくねこくんにズブズブです。
    本編は3章1部まで、イベストは全て読了、未所持カードばっかりだし執事たちのレベルもまだまだなので解釈が甘いところも多いかと思いますが、薄目でご覧いただければと思います( ˇωˇ )
    悪夢のしりぞけ方 ハウレスはエスポワールの街中に佇んで、呆然と雑踏を眺めていた。
     多くの商店が軒を列ねる大通りは、日頃から多くの人で賑わっている。幅広の通りはいつものように人でごった返していたが、いつもと違い、皆が同じほうを目指して歩いているのが奇妙だった。
     なにかあるのだろうか。興味を引かれたハウレスは、足を踏み出して雑踏の中へ入った。途端に、周囲の興奮したような囁き声に取り囲まれる。
    「火あぶりだってさ」
    「当然の方法だよ。なにしろ奴は人類の敵なんだから」
    「天使と通じてたなんて、とんでもない悪女だな」
    「許せないよ。死んで当然だ」
     虫の羽音のような、不快なさざめきが寄せては返す。悪意と恐怖、それから独善的な正義。それらを煮つめて凝らせたような感情が、人々の声や表情に塗りたくられていた。
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