二、額(祝福/友情) 召集がかかった後の本丸は慌ただしい。出陣する刀たちはもちろん、装備品や弁当など、それを用意する者たちも、一斉にバタバタと廊下を行き来する。あらかじめ、審神者の指示はあるが、それでも、念には念を入れる。誰しも誰一人として欠けたくはない気持ちは強い。
「大包平。そろそろ支度しなくちゃ。」
小竜は大包平に抱かれていた。
「まだ、時間はあるだろう。」
大包平は小竜の首筋の竜に舌を這わす。
「出陣のとき、足腰立たなくなってたら、どうするつもりさ。」
「そこまではしない。」
「嘘は言わない。」
小竜は何とかして、大包平の腕から脱出しようとするが、大包平はなかなか離してくれなかった。
「本当に遅れるから、離してくれる?」
小竜が真面目な顔で大包平を見る。その顔に、さすがの大包平も手を離さずにはいられなかった。
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