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    raixxx_3am

    @raixxx_3am

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    raixxx_3am

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    桐島くんは時々あまい香りを漂わせている。

    #あましの
    linen

    lingering scent「あれ、桐島くん香水つけてる?」
     いい匂いだね、どこのやつ? 挨拶がてらにかけられた言葉に、思わずぎこちなく身が強張る。
     いや、そんな憶えは――あったな、今朝方に。ぎゅうぎゅう擦り寄って来られたもんな。(なんでもちょっと面倒な用事が控えているせいで気落ちしていたらしく、朝からひっついて来られた)(あまやかしたい気分だったのでこちらとしてもちょうど良かった)
     犬か猫の子にでも構うみたいにわしわし撫でてやったら、いつもみたいなけろっと明るいようすになったからこちらとしても安心していたのだけれど――いやはや、想定外だ。
     思わず斜め上の方角へとぎこちなく視線を逸らしながら、ぽつりとちいさな声で答える。

    「聞いときます、こんど」
    「……へぇ」

     あ、しまったな。
    気がついた時にはもう遅い。先輩の瞳の奥にはかすかな好奇の色が光るのが見えるから。
     まいったな、ほんとうに――何よりも厄介なのは、こんなきまりの悪さを前に、それでもどこかしら浮き足だった気分を感じている自分自身だけれど。

    「きょうも一日がんばろーね、ぼちぼちでいいからさ」
    「はい」
     気遣うように掛けられる言葉を受け止めながら、ポケットの中にしまった手をぎゅうっと握りしめる。

     さて、きょうも一日、ぼちぼちがんばらないと。(だって、もうこんなにも会いたいから)
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    raixxx_3am

    DOODLEひよちゃんは幼少期のコミュニケーションが足りていないことと「察する」能力の高さから本音を押し殺すのが常になってしまったんだろうし、郁弥くんとは真逆のタイプな貴澄くんに心地よさを感じる反面、甘えすぎていないか不安になるんじゃないかな、ふたりには沢山お話をしてお互いの気持ちを確かめ合って欲しいな、と思うあまりに話ばっかしてんな僕の小説。
    (2024/05/12)
    君のこと なんて曇りのひとつもない、おだやかな優しい顔で笑う人なんだろう。たぶんそれが、はじめて彼の存在を胸に焼き付けられたその瞬間からいままで、変わらずにあり続ける想いだった。


    「あのね、鴫野くん。聞きたいことがあるんだけど……すこしだけ」
    「ん、なあに?」
     二人掛けのごくこじんまりとしたソファのもう片側――いつしか定位置となった場所に腰を下ろした相手からは、ぱちぱち、とゆっくりのまばたきをこぼしながら、まばゆい光を放つような、あたたかなまなざしがまっすぐにこちらへと注がれる。
     些か慎重すぎたろうか――いや、大切なことを話すのには、最低限の礼儀作法は欠かせないことなはずだし。そっと胸に手を当て、ささやかな決意を込めるかのように僕は話を切り出す。
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    raixxx_3am

    DOODLEDF8話エンディング後の個人的な妄想というか願望。あの後は貴澄くんがみんなの元へ一緒に案内してくれたことで打ち解けられたんじゃないかなぁと。正直あんなかかわり方になってしまったら罪悪感と気まずさで相当ぎくしゃくするだろうし、そんな中で水泳とは直接かかわりあいのない貴澄くんが人懐っこい笑顔で話しかけてくれることが日和くんにとっては随分と救いになったんじゃないかなと思っています。
    ゆうがたフレンド「遠野くんってさ、郁弥と知り合ったのはいつからなの?」
     くるくるとよく動くまばゆく光り輝く瞳はじいっとこちらを捉えながら、興味深げにそう投げかけてくる。
     大丈夫、〝ほんとう〟のことを尋ねられてるわけじゃないことくらいはわかりきっているから――至極平静なふうを装いながら、お得意の愛想笑い混じりに僕は答える。
    「中学のころだよ。アメリカに居た時に、同じチームで泳ぐことになって、それで」
    「へえ、そうなんだぁ」
     途端に、対峙する相手の瞳にはぱぁっと瞬くような鮮やかで優しい光が灯される。
    「遠野くんも水泳留学してたんだね、さすがだよね」
    「いや、僕は両親の仕事の都合でアメリカに行くことになっただけで。それで――」
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    raixxx_3am

    DOODLEこれ(https://poipiku.com/5919829/9722395.html)の後日談だけど読んでなくても別に大丈夫。「無理に話さなくっていい」はやさしさなのと裏腹に言葉を封じてしまっている側面もあるよなぁとぐるぐる思ったので書きました。
    ふたりともちゃんと話し合ったり、弱さや迷いを打ち明けあえるいい子なんだと思うきっとおそらくたぶんという夢を見ています
    (2024/2/11)
    repose「遠野くんあのね、ちょっと……いい?」
     夕食の片づけを終えたタイミングを見計らうように、背中越しにつつ、と袖を引っ張られる。ふたりで過ごす時間にしばしば為される、すこし子どもじみて他愛もないスキンシップのひとつ――それでもその声色には、いつもとは異なったいびつな色が宿されている。
    「うん、どうかした?」
     努めて穏やかに。そう言い聞かせながら振り返れば、おおかた予想したとおりのどこかくぐもったくすんだ色を宿したまなざしがじいっとこちらを捉えてくれている。
    「あのね、ちょっと遠野くんに話したいことがあって……落ち着いてからのほうがいいよなって思ってたから。それで」
     もの言いたげに揺れるまなざしの奥で、こちらを映し出した影があわく滲む。いつもよりもほんの少し幼くて頼りなげで、それでいてひどく優しい――こうしてふたりだけで過ごす時間が増えてから初めて知ることになったその色に、もう何度目なのかわからないほどのやわらかにくすんだ感情をかき立てられる。
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