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    水月 千尋

    @arukurein

    短すぎるものは恥ずかしいのでフォロワ限。
    R18はリス限。
    一部、支部に置いてあるものとかぶってる。

    マイタグを細かく付けたので
    少しは作品を探しやすいといいなぁ……
    と、思っている。


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    水月 千尋

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    #ritk版深夜の60分一発勝負
    【お題:かき氷】(所要時間:3h)

    付き合ってない前提の類司。
    タイトルが全く浮かんでこなくてビックリした。

    #類司
    RuiKasa
    ##ワンライ
    ##類司

    【君、想フ】【君、想フ】
    「…………ここ、か?」

     辿り着いた店の前で足を止めると、僕の隣で司くんが虚を突かれたような声を漏らした。確かに──学校帰りにちょっと行きたい所があるんだ、と──目的地の店名までは言わずに彼を誘ったけれど、そこまで驚かれるのは予想外だ。
     僕達の前には一軒のカフェがあった。真新しい外装は茶と白を基調としていて決して派手ではなく、男性だけで入るのにも抵抗を覚えない雰囲気の店構えになっている。もちろん中に入ってもその雰囲気は変わることがなく、居心地の良い店として印象深い店なのだった。
     僕は英字が踊る看板を指差して、彼を振り返った。

    「前にショーの打ち合わせをした時に来たことがあるんだけど、覚えていないかい?」
    「へ? あ、いやもちろん覚えているぞ! ただ……ここにはオレもまた来たかったからな。驚いただけだ」

     カバンを持ち直して大きく胸を張った姿は嘘をついているようには見えない。いや第一、ここで嘘をつく利点などあるのだろうか。僕には想像がつかない。いま確実に分かっているのは、店の前での立ち話を続けるわけにもいかないということくらいだ。
     僕は彼の手を握って木製の扉に手をかけた。

    「フフ、良かった。僕はあれから時々来ててね。今はちょっとしたお気に入りの場所なんだ」

     そうか、と答えた司くんはまだどこか複雑そうな表情だった。



     女性店員の出迎えを受け、一対の椅子がはす向かいに配置された二人掛けのテーブルへ案内された僕達は、腰を下ろすと早速それぞれメニュー表を開いた。
     目当ての物を見つけた僕はメニューの写真を指差して注文し、司くんも同じように指で示して注文を済ませる。それから、他愛ない話だったり、公開されたばかりのミュージカル映画の話だったりに花を咲かせている内に、案内してくれた女性が注文通りの品をテーブルへ運んできてくれた。
     先にやってきたのは、僕が注文したかき氷だった。平たいガラスの器へ盛られた削り氷の白い山に、水色のシロップがかけられている。水色の山肌には星形にくりぬかれたマンゴーが散らされていて、何よりそのてっぺんを大きく飾るのは──

    「おお、ペガサスか!」

     デフォルメされた天馬形のアイシングクッキーに司くんの目がキラキラ輝く。まるで宝物を目の前にした子供のようだ。見ている僕まで嬉しくなって、勝手に頬が緩んだ。

    「実は少し前にこの店で、かき氷のアイデアが募集されていてね。まぁリクエストに近い形のものだったんだけど……折角だから僕も一口応募させてもらったんだよ」

     募集を見た瞬間、なぜか脳裏に浮かんだのははじけるように笑う司くんだ。平時は高笑いの多い彼だが、不意の事にはそういった自然な笑い方をする時があって──僕はその笑顔が一番好きなのだった。
     記憶の中からお目当ての笑顔のワンシーンを手繰り寄せつつ、ぼんやりして。……ふと気が付けば、司くんをイメージしたかき氷を用紙に書き込んで、店の人に渡していた。
     まさかそれが本当に採用になるとは思わなかったけどね、と言葉を付け足したところで、司くんの顔がみるみる赤くなってきたのに気付いた。きりっとした眉尻を少し下げて視線をさ迷わせたり、無意味に髪をかき上げて咳払いしたりとひどく落ち着きもない。明らかに様子がおかしかった。
     さすがに気のせいで看過出来るレベルを越えている。僕はさっきまでの嬉しさが急激にしぼんでいくのを感じながらも、何でもない風を装って尋ねた。

    「……本当にどうしたんだい、司くん?」
    「う……あ、あのな類。……オレもひとつ言わなければならない事があるんだ」
    「言わなければならない事?」

     反復した言葉に相づちを打つかのようなタイミングで、店員さんの失礼しますという静かな声が割って入ってきた。条件反射で口をつぐんだ僕だったが、店員さんがトレイの上に乗せていた物を横目で見て思わず声をもらしてしまった。

    「……それは……」

     司くんの前に運ばれてきたのもかき氷だった。しかし、僕が頼んだものでも、その他の通常メニューでもない。
     同じ器に同じ量の削り氷。それにかかっていたのは淡い紫のシロップだ。ぶどうの粒が散りばめられた氷の山の裾野には、さくらんぼを頂に飾った小さなソフトクリームの山が添えられている。そして何より紫の氷のてっぺんに載っていたのは──僕がよく使っている紫のドローンが描かれたアイシングクッキーだった。
     店員の女性が完全に離れたのを見計らって、司くんがまごつきながらも話し始めた。

    「その、オレも……たまたま来た時に、かき氷のアイデア募集を見て、だな。…………あ、あとはお前と同じだっ」

     首まで真っ赤にして顔を伏せる、司くん。
     なるほど。そういうことなら──その時、彼の中に渦巻いていた感情の詳細まではわからないが──あの複雑そうな様子の数々にも納得がいく。
     しかし、新たに胸に寄せ返す喜びの波に、我ながらだらしなく顔がニヤけてしまうのは止められそうになく。僕は片手で口元を覆って誤魔化しながら、紫の氷の山を指差した。

    「司くん。よければ君のと僕のを交換しないかい?」
    「ん? こ、交換?」
    「うん。だって『それ』は僕の為に考えてくれたものなんだろう?」
    「それはそう、だが」
    「僕のこれも、君の事を思いながら考えたものなんだ。だから交換。ごく自然な話だと思うんだけど」

     すると、ひだまり色の髪が左右にぶんぶん振れた。紅潮したままの顔を隠そうともしない。ただただ決死の色が滲む声で、彼は訴えかけてきた。


    「っ……オレはっ、両方食べてみたいんだが!」


     なるほど。
     今日二回目の得心をしながら、とうとう心の奥から溢れだしてしまった幸福感につい、くっくと肩を揺らした。


    「ふふっ、じゃあどちらも半分こにしようじゃないか。──食べさせてくれるかい、司くん?」


     首を左右に振った時と同じ勢いで何度もうなずいた司くんは、スプーンを手に取ってひとさじすくうと、まばゆい笑顔を咲かせてこちらに差し出してきた。
     一番好きな笑顔とは少し違うけれど──やっぱり、この笑顔も好きだな──胸の中で呟きながら。僕は優しい甘さの氷を有り難く頂戴した。
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    水月 千尋

    DOODLE参謀🎈×将校🌟。(モブ参前提)
    単話調にタイトルついてますが、実質4話目。

    まだ完結してませんが、以降の話は作成中。


    ========


    【前話】
    →https://poipiku.com/599411/10134333.html
    【すれちがいの午後】
     暖かな陽気。穏やかな風に、やわらかい日射し──。前日の肌寒さが嘘のように、今日は朝から春めいた良い天気だった。屋敷前の木々へ羽を休めに来たらしい小鳥のさえずりも、心なしか賑やかだ。
     そんな変化は窓の外だけにとどまらない。普段は日当たりが良いとはいえないこの執務室にも陽光が射し込んできていた。ささやかな恩恵程度ではあるが、窓際に飾った一輪挿しの花瓶越しの光が今座っている机の所まで届くのは初めて見る。もう少し暖かくなってきたらこの部屋のまた違う一面を見られるのかもしれないと思うと、それはそれで楽しみだ。
     一方で、机の端に積んだ要望書の量は昨日や一昨日と何ら変化はなかった。放置しているのではない。処理出来た分と同じくらいの枚数が翌朝に届く為、一向に減っていかないのだ。作業自体は一枚一枚に目を通して可否のサインをしていくだけではあるものの、その可否を決めるのに手間取る案件も当然混在していて気も抜けない。
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    x12_rt

    PROGRESS※18歳未満閲覧厳禁※

    2024/5/26開催のCOMIC CITY 大阪 126 キミセカにて発行予定の小粒まめさんとのR18大人のおもちゃ合同誌

    naの作品は26P
    タイトルは未定です!!!

    サンプル6P+R18シーン4P

    冒頭導入部とエッチシーン抜粋です🫡❣️

    あらすじ▼
    類のガレージにてショーの打合せをしていた2人。
    打合せ後休憩しようとしたところに、自身で発明した🌟の中を再現したというお○ほを見つけてしまった🌟。
    自分がいるのに玩具などを使おうとしていた🎈にふつふつと嫉妬した🌟は検証と称して………

    毎度の事ながら本編8割えろいことしてます。
    サンプル内含め🎈🌟共に汚喘ぎや🎈が🌟にお○ほで攻められるといった表現なども含まれますので、いつもより🌟優位🎈よわよわ要素が強めになっております。
    苦手な方はご注意を。

    本編中は淫語もたくさんなので相変わらず何でも許せる方向けです。

    正式なお知らせ・お取り置きについてはまた開催日近づきましたら行います。

    pass
    18↑?
    yes/no

    余談
    今回体調不良もあり進捗が鈍かったのですが、無事にえちかわ🎈🌟を今回も仕上げました!!!
    色んな🌟の表情がかけてとても楽しかったです。

    大天才小粒まめさんとの合同誌、すごく恐れ多いのですがよろしくお願い致します!
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    DONEritk版深夜の60分一発勝負
    第二十三回 お題:「お隣さん」「嘘」
    司視点 片想い
    途中で視点が変わります
    カチャカチャと音を立てながら、手早く混ぜていく。

    カップに入れる生地の量は、綺麗に均等に。

    オーブンの余熱も忘れずに。


    オーブンから取り出した出来立てのそれに、思わず笑みが溢れた。






    「…今日の練習は終わり!お疲れ様でした!」
    「「「お疲れ様でしたー」」


    終わりの挨拶を済まし、帰るかと思った時、渡していないそれのことを思い出した。


    「…ああ、そうだ!今日もお隣さんからお裾分けを頂いたんだ!持ってくるな」

    「わーい!今日は何のお菓子だろー?」
    「段々と上達してきてるもんね。私も楽しみ」
    「そうだね」

    3人の声を尻目に鞄に急ぎ、綺麗にラッピングされたそれを取り出す。



    「今日は抹茶とホワイトチョコのマフィンだそうだ!この前の改善点をしっかり見直したと言っていたぞ」
    「ありがとー!お隣さんにもよろしくね!」
    「私からも、よろしく」
    「僕からもお願いするよ。…それにしても、今回のも美味しそうだねえ」

    ドキ、と高鳴る胸を3人に見えないように抑える。
    幸い、それに同調したえむによって見られはしなかったようだ。よかった。




    ……お隣さんからの貰い物と称して、 1883