【尾月】二十分間キスしないと出られない部屋 目覚めた時、俺は見知らぬ高い天井を眺めていた。
しばらく無言で見上げながら夢が覚めるのを待っていたが、漸く夢ではない事に気づき、ゆっくりと体を上げる。
何だここは。
辺り一面は直方体の真っ白な壁。自らが収まるのは部屋の真ん中に置かれた白いベッド。かけられた毛布やシーツだけでなく、床や天井、壁に至るまでが真っ白だった。
奥に見えるのは、透明のガラスで囲われたシャワールーム。まさか、ラブホテルか? 身に覚えがない、どういう事だと、慌てながら部屋を目を泳がせると、唯一壁の上部に掲げられている黒パネルに書かれたピンク色の文字が光っていた。
『二十分間キスしないと出られない部屋』
「なんだこれは……」
「おはようございます」
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