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    sirasu810

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    sirasu810

    DOODLEキャギぐ♂『-続- あいみしゆえに』の続編の序盤かも知れないもの。明けましておめでとうございます。
    はなにもきみは ありこせぬかも「目ぇチカチカするわ……」
     真白い肌をくすませながら酒呑しゅてんが呟く。テーブルの上にはきっちりと形が整えられているように見える・・・・・・握り飯が数個残っていた。細い指で一つ摘まみ上げ、小ぶりな唇ではくりと頬張る。噛みにつられて首が揺れる。
     外の気温がぐんと冷え込む深夜。疲労の溜まった従業員たちの意識は朦朧もうろうとしていた。下町の呉服店は年の瀬から成人の日を越えるまで何かと忙しない日々が続く。握り飯の向こうには立香の姉と徐福が突っ伏しており、店を閉めた後に戻ってきた鶴は試着場の畳の上で横になっている。
     昼前にギルガメッシュがやって来たのは年始の挨拶、もとい立香の顔を見るためだったが、気がつけば台所へ引っ張り込まれていた。猫の手も借りたいところに現れてしまったため、目玉を爛々らんらんと光らせた徐福に「おにぎりくらい作れますよね⁉︎」と詰め寄られ、しゃもじを掴まされていたのだった。息をつく暇もない従業員たちがぱっとエネルギーを補給できるよう、作り置きのおかずと合わせておにぎりをこしらえるべし、と言い付けられたが、そのタスクを終えても来客用の茶を運ばされる羽目になった。立香は外での仕事のため不在だったし、本来ならば茶を出すべき相手に対して申し訳ないと、姉は謝罪を繰り返していたが、茶葉や注ぐ湯の量については控えめに指導された。
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    sirasu810

    DOODLE麒麟ギ主上ぐだverの十二国記パロ、くっつき台輔の小話。うまく具現化できなかったけど、お題ポストありがとうございました!
     天と地を貫くかのようにそびえる凌雲山りょううんざん萋州国さいしゅうこくにおいては峯抄ほうしょう山と呼ばれるそのいただきには、王の居城、峇水宮こうすいきゅうがある。この宮を遥かな高みから見下ろすことができたなら、湖のように広がる浅葱あさぎ色の屋根が、本物の水池と重なりながら、典雅な橋の数々によって結ばれている玲瓏れいろうな光景を眺めることができるだろう。
     地にあれば山の頂は天と同じに遠く、頂にあっては地上の街明かりは砂粒のように小さい。それぞれは雲海によって隔絶された別世界だった。それでも宮の庭院にわに芽吹き枝伸ばしている植物たちは、照るの変化を敏感に汲み取り、地上と同じように春には春の、夏には夏の花を咲かせ、見る者たち(その多くが寿命から離れた仙である)に生命の循環があることを知らしめる。王の私室に面した場所に植えられていた空木ウツギもまた、真白の花を満開にしていた。夏の訪れを告げる落葉樹は、陽が落ちれば月光の下、夜風に葉を揺らす。この時期の風に含まれる熱と湿り気は、こずえの合間のみならず、室の中にも流れ込んでいた。
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    sirasu810

    PROGRESS完成版はゆくゆくしぶにアップ予定。
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    主な登場人物
    ・ぐだお(藤丸立香)
    眠れない体質の流され丸。だいたいのことは「まあいっか」で済ませてしまう。
    ・ギルガメッシュ(術)
    自ら歩み続けることが肝要なのだぞ派の王様。なおこれは我の小間使いである。
    ・モルガン
    全てを私に任せて安寧を得ればいいのです派の女王さま。彼は私の夫です。
    ・マーリン
    王様に全チップを賭けて逃亡した。
     マーリンは呻いて、ばちんと目元を叩きながら天を仰いだ。とはいえカルデア内の召喚ルームにいたので、青空も星空も見上げることはできなかった。部屋の中には魔力の残滓ざんしがちらちらと広がって、雪のように溶けていく。
     ベールの向こうでまぶたを開いたモルガンも、すぐに状況を理解して、艶のある唇からため息をもらし、手にしている杖でこつりと床をついた。
    「カルデアのマスター、よくぞ私を召喚しました。貴方あなたはこれを幸運だと言祝ことほぐべきでしょう。妖精國ブリテンの女王にして、汎人類史を呪い続けるこの私を、カルデアに呼び寄せた。けれど、サーヴァントの身に落とされた以上、私は貴方を生かしてあげます。私が認める限りにおいて。まずは、この言葉に嘘がないと証明してあげましょう。そこな害虫を、永遠に閉じ込めることによって」
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