Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    くま🐻

    @usausakoguma

    ふわにか自家発電用
    応援スタンプ嬉しいです!ありがとうございます!

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 17

    くま🐻

    ☆quiet follow

    ふわにか。記憶喪失妄想Ⅴ。
    ふわが記憶喪失になりにかのことを忘れるところから始まるふわにか。これで完結です。

    #ふわにか
    #腐ルネ
    bad-renewedRouge

    リメンバー・ミー・ソーダライトⅤ季節はすっかり秋めいてシャツ1枚では肌寒い。明日からはニット必須だなと腕を擦りながら廊下を歩いていると階下に二階堂の姿を見つけた。


    “もうこの恋は終わらせる”


    そう二階堂に告げてからすぐテスト期間に入ったおかげで部活禁止となりあれから二階堂に会うことなく1週間が過ぎていた。会えない期間が長かったせいか遠目に見るだけでも俺の心臓は高鳴った。

    「全然、終わらせてねぇ‥」

    これ以上二階堂を泣かせたくないし困らせたくないし記憶を失くす前の自分に嫉妬したくない、そんな思いが溢れて出た言葉ではあったが自分の心がそれに全く追いついていない。正直二階堂に未練タラッタラである。

    (でもまた泣かせちまったしな‥)

    あの時の二階堂の泣き顔を思い出す。
    ソーダ色の綺麗な瞳から溢れる涙はやっぱり綺麗で溢したくない、勿体ないと思いながらも優しく拭う権利なんて泣かせた俺にはないよな‥と部室を後にしたあの日。これからは良き友良き仲間としてあろうと決めたあの日からずっと自分の中の矛盾した心情に俺はモヤモヤを募らせていた。
    そんなことを悶々と考えていた時、階下にいた二階堂がこちらの方を見上げ、目が合った。

    (相変わらず綺麗だよなほんと‥)

    二階堂の遠目でもわかる透明感のある美しさに見惚れてぽけっとしてたせいで二階堂はいつの間にか自分の視界から姿を消していた。俺はそれを綺麗な蝶を見失った子供のように必死に探すもとうとう見つからず肩を落とした所でもう戻れない所まで来てしまっていたことを自覚し、項垂れた。

    「こんなのどうすりゃいいんだよ‥どんな顔して二階堂と顔合わせれば‥」

    今日はテスト明け部活初日だ。
    次に二階堂に会う時には気安い部活仲間の顔をして接すると決めていたのに遠目で目が合っただけでこの有様だ‥俺は頭を抱えてその場に座り込んでしまった。



    ついに迎えた放課後。
    なるべくゆっくり準備をしてその間に二階堂に会った時のシュミレーションをする。テストどーだったとか久々の部活日晴れて良かったな、だとか他愛ない話題を頭に浮かべながら階段を降りていると先を行く二階堂の姿が目に入った。いつも通りフードを被り、ゆっくりとした足取りで階段を降りる二階堂に声をかけようかどうか俺が逡巡していたその時、二階堂の身体は急にグラつき、階段の中程の位置から落下しそにうになっていた。

    「二階堂っっ」

    咄嗟に手を伸ばすも俺の手が二階堂に届くことはなく、空を切った。それから聞こえた何かが階下に落下したドスンという大きい音に俺は顔面蒼白になる。

    (二階堂‥二階堂)

    この時感じたのは純然たる恐怖だ。
    もう二度と二階堂に会えないんじゃないかという恐怖に身がすくみ、全身から嫌な汗が吹き出す。

    (大事な記憶を失くした俺にはもう、二階堂しかいないのに‥それすらも失う‥は、これ以上大事なもん奪われてたまるかよ‥)

    「二階堂っ‥え」

    急いで階下へ降りると、二階堂は知らない先輩に抱きついた形で横たわっていた。状況を見るに、落下する二階堂を支えようとして支えきれずにこうなってしまったというのは火を見るよりも明らかだ。この先輩には礼を言って然るべき状況なのに、二階堂がそいつの制服をギュッと掴んで頭を胸に預けている所や、そんな二階堂の様子に顔を赤らめたそいつを見た俺の内心は穏やかではなかった。とにかく早く二階堂を保健室に連れて行かないとと思った俺は二階堂に抱きつかれたまま惚けている先輩に声をかけた。

    「ありがとうございます、俺こいつのダチなんで保健室連れて行くのは俺しますんで」
    「あ、ああ‥じゃあ後はよろしく‥」

    俺は二階堂を自分の腕の中に抱き直すとため息をついた。二階堂からはやく離れろ、それは俺のだって顔に出てなかった自信は正直ない‥あの先輩には悪いことをしたとは思うものの、あの赤らめた顔は絶対に二階堂に惚れた顔だった、と牽制するのも然るべき対応だったのだと納得し俺は保健室へ急いだ。



    保険医によると二階堂は軽い貧血ということだった。ベッドで眠る二階堂の顔は血の気がなく青みがかっていた。そのことに急に不安になり頬に触るとほんのり温もりを感じてやっと安心することが出来た。

    「二階堂‥」

    よくあんな事言えたものだと思った。
    二階堂を失うかもしれないと思った時に感じた恐怖は思い出したくもないし、二階堂が別の人間の腕の中にいるのも金輪際見たくない。そんな自分が二階堂への恋を終わらせることなど到底無理な話だったのだ。

    「好き。好きでごめんな‥」

    眠る二階堂を見ながら俺はこれからのことを考えていた。





    **************************





    “俺のことを大事にしてくれた”
    “俺のことを幸せにしてくれた”
    “俺のことを好きになってくれた‥”

    『不破、俺もお前が好きだ』

    あの日あの場所で俺がそう返事が出来ていればお前はあんな事故に遭わずに済んだんだ。

    ‥記憶を失くさずに済んだんだ。

    だからお前の中から俺の存在が消えたのはそんな愚かな自分への罰だ‥それでも俺はお前が‥‥



    繰り返し見る自責の夢。
    目が覚めた時にはいつも涙が頬を伝っていて、その冷たさで覚醒する。なのに今日は涙が溢れる前に誰かの指で拭われる感触がして、ぼーっとしたままそちらに顔を向けると夢の中で恋焦がれていた相手が優しい顔でこちらを見ていた。

    「不破‥」
    「二階堂、気分どうだ」
    「どうして保健室‥」
    「軽い貧血だって。それで階段から落ちたこと覚えてねぇ」
    「落ちたその割に身体どこも痛くねーけど」
    「それは‥親切な先輩が二階堂のこと受け身してくれたからだな」

    なぜか悔しそうな不破に俺は首を傾げた。

    「でも良かった。こうやってまた二階堂と普通に話せて。この前変な別れ方したからさ‥」
    「あ‥」

    あの日不破から告げられた言葉を思い出す。そしてまた不破を“失ってしまった”ことも。
    ‥ただそれにしては普通の友達とも仲間とも違う甘く、こっちがくすぐったくなるようなそんな表情で不破は俺のことを見ていた。

    ‥まるで記憶を失くす前の不破のような目で。

    「二階堂あのさ‥あれ前言撤回させて」
    「あれって」
    「恋を終わらせる、ってやつ。この感情が二階堂を困らせるのはわかってるけど、それでも‥」

    不破から抱きしめられ、俺の耳元に不破は唇を寄せこう言った。


    「それでも俺は二階堂だけは誰にも奪われたくない。たとえそれが記憶を失くす前の自分であっても二階堂は渡さない。俺だけのものにしたい。‥二階堂のことがどうしても好きなんだ」


    そのまま不破の唇は俺の首筋にキスを落とし、そっと離れた。

    俺の目からは涙が溢れていた。
    やめろ、また不破を傷つけるような涙なんか流すなそう思うのに馬鹿になった涙腺は言う事をきかない。

    「‥また泣かせたな俺」
    「‥ちが、ちがう‥そうじゃない、そうじゃなくて‥」
    「焦らなくていいから、ゆっくりでいいよ」

    溢れる涙は頬に流れる前に不破の指によって拭われて、その優しい手つきや表情に俺は落ち着きを取り戻した。

    「これは嬉し涙だから‥」
    「え」
    「お前が、不破がまた俺のこと好きって言ってくれたから‥嬉しくて、出た」
    「マジで」
    「まじ」
    「俺でいいの‥お前と過ごした記憶全然ない俺で」
    「不破は不破だろ‥って、八つ当たりしたり変な態度ばっかとって不安にさせたのは俺か。記憶失くして1番辛いのはお前なのに自分のことしか考えてなかったから‥今度こそ不破に見限られたんだと思った」
    「今度こそって俺がいつ二階堂のこと見限ったりした‥もしかしてお見舞い来てくれたあの日の‥」
    「しょうがねぇことだったのはわかってんだけど『で、誰』は‥キツかった」
    「あれは俺も思い出すだけであの日の自分を殴りたくなるくらい胸糞な記憶だし‥あれが二階堂との最初の思い出とかマジ辛い‥まぁ全部自分のせいなんだけどな」
    「‥いや俺のせいだ全部」
    「いやいや何言ってんの二階堂のせいなわけないじゃん」
    「お前が事故に遭ったのが俺のせいだとしてもか」
    「は‥」

    「俺、不破にちゃんと話さないといけないことがある。それでお前に嫌われることになったとしても」

    せっかくまた不破が好きだと言ってくれた。
    もうこのまま自分の胸に秘めておくことも出来たかもしれない。けど、それでは真摯に気持ちを伝えてくれた不破への後ろめたさから隣に立つことは出来ないと思った。これは俺の贖罪だ。

    「不破が事故に遭う前日にお前から告白されて‥嬉しかった、俺も同じ気持ちだったし。なのにすぐ返事出来なくて‥恥ずかしいとか、どう答えたらいいとかとにかく頭ん中ぐちゃぐちゃで‥それでその場から逃げ出した」
    「告白されて照れて逃げ出すってかっわいいな二階堂」
    「茶化すなよ。‥それからお前から着信すごい来るしLINEもたくさん来るしさ‥とにかく頭を冷やす時間が欲しくて明日のバイト終わりまで待ってくれって送ったら『明日バイト終わり迎えに行く』ってきて‥」
    「あ、結末読めたぞ」
    「いいから最後まで聞けって‥俺がバイト終わる時間に合わせて迎えに来る途中でお前は事故に遭ったんだよ。俺が明日バイト終わるまで待ってくれとか言わなかったらお前はあの時間あの場所にいなかったはずだ。事故にも遭わず記憶を失くすこともなかったんだ‥」

    不破が事故に遭った日のことを思い出し最後の方は声が震えていた。
    バイト退勤まであと数分という所で店の近くで事故があったと店内がざわついた。その時はまさか不破のこととは思いもしなかった。でも退勤しいつも不破が腰かけて待っている所で10分、20分、30分と待つ内にだんだん不安になった。全く既読のつかないLINE、繋がらない電話‥俺は事故が起こった現場へ行くも既に救急搬送された後で警察による現場検証で立ち入り禁止になっていた。その後また待ち合わせ場所に戻り不破を待つことにした。不破が「来ちゃった」と笑顔で現れることを願って‥終電がなくなる時間まで待つもその日不破が来ることはなかった。なすすべもなく帰宅した俺はその夜一睡も出来ずに朝を迎え、学校で不破が事故に遭ったことを知った‥あの時の絶望は思い出すだけで心臓がギュっとなる。

    「俺があの時すぐに返事してたらお前は‥」

    とうとう俺の馬鹿になった涙腺に限界が来たようで目から涙が溢れてきた。

    「二階堂‥もう大丈夫。大丈夫だから。俺はここにいる。ずっと二階堂の側にいるから、な」

    不破は泣き出した俺を抱きしめて背中をトントンしながら溢れる涙をキスで掬ってくれた。

    「っふ、う‥泣いてばっかで俺すげぇみっともねぇ‥」
    「そんなことねぇから。むしろ綺麗だから二階堂の涙は。前にいきなり泣いてるお前の目元にキスしたことあったじゃんあれも涙溢れるの勿体ないと思ってたら気がついたらしてたって感じだったし‥」
    「はぁ」
    「綺麗なソーダ色の目から溢れる涙が美味しそうでさ‥舐めたら甘いんじゃないかと思って。まぁしょっぱかったけど」
    「そりゃそーだろ‥つかお前俺が泣くの嫌なんじゃねーのかよ」
    「確かに二階堂が泣くのは可哀想でこれ以上涙を流させたくないって思ってるけど。でもその涙を拭うのが俺であればいいなって。溢れる前にキスでさ」
    「ソーダ味でもないのに」
    「味覚は視覚でどうにでもなるから」

    そう言って笑う不破に俺も可笑しくなって笑った。いつの間にか俺の涙は止まっていた。

    「で、俺が事故に遭ったのが二階堂のせいなんてことは1ミリもないから」
    「そんなこと、」
    「ある。よく考えてみ二階堂がもし告白の返事すぐしてお付き合いがスタートしてたとしても俺は出来たてホヤホヤのかわいい恋人をバイト終わりに約束もなく勝手に迎えに行く自信がある。あの日あの時間二階堂が告白の返事をしてもしなくても俺はあの場所にいたってこと」
    「‥‥‥‥」

    不破ならやりかねない、と今までも勝手にバイト先に押しかけられていたことを思い出す。

    「つーか悪いのは100%飲酒運転してたあのおっさんだし。二階堂が罪悪感を感じる要素は全くナシはい、証明終わり」
    「ええ‥」

    俺がずっと後悔し悩み続けていたことを不破に1分程度で論破されてしまい複雑な心境になる。

    「二階堂は何でも自分で抱え込むクセがあるとみた。そういうの今みたいに俺が全部取っ払うからさ、まだ溜め込んでることあるなら言ってみ」
    「お前‥ポジティブ過ぎね」
    「ネガって大切な人傷つけたから。もう後ろ向きに考えるのやめた」
    「大切な人って」
    「二階堂、お前だよ。ごめん、話ちゃんと聞かずにあんなこと言って‥二階堂の為に恋終わらすとか言いながら記憶失くした負い目から目背けたかっただけなんだよ俺。だっせーよな」
    「そう、だったのか‥」
    「だからさ、俺は未来に生きることにした。平均寿命81歳だからあと64年も一緒にいられるんだぜその間にたくさん二階堂と思い出作って、たくさん二階堂のこと笑わせて‥それ全部写真に撮って二階堂しかないシークレットフォルダ作るんだよ。パスワードは『0207』。“ツナ”で覚えやすくていいだろ」
    「パスワードそれじゃシークレットじゃねーじゃん、バーカ」

    幸せそうに俺との未来を語る不破に釣られて俺も嬉しくなって笑ってしまう。不破が隣にいるだけでこんなにも心強くなれる。この“ソーダライト”のような男と離れることなどもう考えられなかった。

    「‥なぁ二階堂もう1回もう1回さっきの顔して『バーカ』って言って動画撮るから」
    「さっきの顔とかわかんねーよ」
    「えー‥すげぇ綺麗に笑ってたのに‥動画で残したかった」
    「あと64年も一緒にいたらいつでも撮れるだろそんなの」
    「‥一緒にいてくれんの」
    「俺も未来に生きることにしたから」
    「二階堂っ‥」

    ガバッと勢い良く不破から抱きつかれた。まるで大型犬のようなそれをかわいいなと思ってしまってる俺はもう手遅れだ。

    「あとこれも言っとかないとな」
    「ん」

    「不破、俺もお前が好きだ」

    俺は告白の返事をして不破の唇にキスをした。

    「っ」
    「んだよ‥人がせっかく返事してキスしてやったのにそのリアクションは」
    「あ、や‥返事もキスもめちゃめちゃ嬉しかった‥なんなら後でもっとエロいキスさせて欲しいとか思ってるけどちょっと待って」
    「いやサラッとなんか言ってんな‥どーしたんだよ」
    「なぁ二階堂、“弓道部に入ってくれ”って俺に言ったことある」

    それは紛れもなく俺が不破に初めて話しかけた言葉だった。

    「言った。弓道部に勧誘する為にお前に初めて話かけた時に」
    「マジで」
    「ああ。でもなんでそれ知って‥もしかして思い出したのか」
    「さっき二階堂からキスされた時に頭の中にそこだけ情景が流れ込んできた」
    「他に何か思い出したことは」
    「残念ながらそれだけだけど‥でもこれが二階堂との最初の思い出なんだな‥なんか感慨深い」
    「そうだな。あれが俺とお前の始まりだ」

    あの日俺が不破に声をかけていなかったら今の辻峰高校弓道部はなかったし俺が今も弓を引いていたかも怪しい。今思えばなんて運命的な出会いだったのかとあの時の自分の直感に感謝した。

    「もっと思い出せたらなぁ‥あキスがトリガーになって思い出したってことはたくさんキスしたら全部思い出すってことじゃね」
    「まぁそうかもな」
    「ってことで、エロいキスしていい」
    「それお前がしたいだけだよな」
    「一石二鳥ってことで」

    ベッドに押し倒された俺は調子のいいことばかり言う不破の口を黙らせる為にそっとキスをした。


    これからたくさん新しい思い出を作りながら、たくさんキスをして記憶の欠片を拾い集めればいい。64年もあれば全ての欠片は集まるだろう。その欠片で一緒にあーだこーだ言いながらパズル遊びするのもいいな。お前と一緒なら楽しいこと間違いなしだ。



    俺は不破と共に生きる未来に胸を高鳴らせながらこれからもたらされるキスを目を閉じて待っていた。





    END



    ソーダライト《鉱石》
    恐怖心や心の混乱を鎮め、強い意思を持つことができるようになると伝えられています。人生に迷いがなくなり、誘惑に打ち克ち、やり抜く力をもたらし、目標を達成することができる力があると言われているお守り石です。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    🌋💞💞👏😭😭🙏🙏💖💖💜💜💙💙👏👏👏😭😭💖💖💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    くま🐻

    MEMOふわにか。ふわ←にか妄想。
    時系列は全国大会が終わった後ですが結果などには触れておりません。
    不破のことが好きだと唐突に気が付いた二階堂が暴走した後、重めの賢者タイムに入る。そんな感じの妄想です。
    そんな二階堂は見たくない!という方はそっと閉じていただくことをお勧めします。

    このままだとにかが不憫なので後編に続きます。
    初恋【前編】全国大会が終わった。
    今まで自分の心の大半を占領していた仄暗い感情が霧散して憑き物がごっそり落ちた気分だった。そして代わりに自分の心の中いっぱいに満ちたのは「不破が好きだ」という感情だった。

    俺の“初恋”だった

    そうと決まれば即実行、昔から変わらない猪突猛進な性格も相まって俺は今日の部活帰りに不破に告白すると決めた。


    「不破、つき合ってくれ」
    「お、いいぜ。どこ行く」
    「‥‥‥」
    「どうした」

    お互いに首を傾げた。

    「そうじゃねぇ‥そうじゃねぇよ」
    「じゃあなんだよ」

    本当にわけがわからないという顔でこっちを見てくる不破に俺はあれと思う。

    「不破、お前俺のことどう思ってる」
    「んなこと聞いてどーすんの。まぁいーけど。えーと、嘘つきで、不器用なヤツ。あと弓バカ‥でも、すげーヤツだとも思ってるよ。お前がいなかったら全国なんて到底無理な話だったからな」
    2351

    recommended works