先輩孝行:司レオ?「よぉ、ちょうど良かった」
「大神先輩? 何か用事でもありましたか?」
「用事って改まって言うほどじゃねーけどよ、ほら、新しいブースターセットが出ただろ。お前なら手に入れてるだろーから腕試しでも、と思ってな!」
「『イドバト』のbooster set、ですか……」
「おうよ!」
「実はまだ買えてなくて……いえcheckはしていたのですが……その、お恥ずかしい話、手持ちが心許ないので来月に購入しようかと……」
「お、おまえ、本当に小遣い制なんだな……」
「悪いですか?」
「悪かーねぇけどよぅ、だって坊ちゃんだろ」
「教育方針です」
「……そうは言ってもよ、小遣いったって一般家庭とは桁が違うんじゃねーの」
「まあ、その、恐らく少なくはないのでしょうが、実はこのあいだ寝袋を買いまして……どうせなので防寒でそこそこ品質がきちんとしたものを購入したら、まあ、それなりに。あとは保存食などをほそぼそと……」
「ああ? キャンプでもすんのか?」
「いいえ。ただ、私達のLeaderは困ったことにひどい方向音痴に注意力散漫、加えて過集中のために素寒貧になりよく野宿するような人でして」
「……ああ、月永先輩か」
「季節を顧みるような人でもなく、実際、私にたびたび『凍えそう』だなんてhelpが入るのです」
「それで値が張る寝袋を買ったのかよ?! ちょっと過保護なんじゃねぇの?」
「大神先輩だって、他ならぬ朔間先輩のために手間暇かけて野菜を育てていると聞きましたが」
「……」
「……」
「……お互い、大事な奴がそんなだと苦労するな」
「ええ……全くもって」
♪
「……てか『凍えそう』ってなんだよ、まるで『あたためて』とでも言いたげだな」
「大神先輩もそう思われますか??」
【終】
カードバトラー読み返したら小遣いの収支報告が義務付けられており、どんな顔で寝袋や生活用品の購入報告したんだろな?! になってしまった