デザートは別腹 空になった皿が7枚。8枚目が重ねられるのを見ながら、食後のコーヒーに口をつける。「今日泊まるホテルの夕食はビュッフェ形式ですよ!」と目を輝かせた無邪気な番長さんから事前に聞いた俺たちは、存分に仕事で腹を空かせてからビュッフェに臨んでいた。
なかなか豪華な食事を満喫して俺はもう充分なくらい腹いっぱいになったのだが、目の前の相棒はここぞとばかりにスイーツやフルーツを取りに行っている。こっちが小さいチーズケーキとオレンジ2切れを食い終わる間に3皿は平らげている勢いだ。
「んん〜! こっちもうまいぜ!」
「相変わらずよく食うな」
「だって飯もデザートもすっげえうまいしよ! なあなあ玄武、これ食ったか!?」
口の端にクリームをつけて、幸せそうな笑顔の朱雀が微笑ましい。モンブランのようなミニケーキの残り半分にフォークを突き刺して差し出してくるので、大人しく口を開けてテーブルに身を乗り出した。朱雀は時々こうやって俺の好きそうなものを食べさせてくる。きっと感想を共有したいんだろう。
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