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    こは斑ワンドロワンライ、いつも開催ありがとうございます!
    お題「ホットケーキ」お借りしました

    #こは斑
    yellowSpot

    視線「そういえば、ホットケーキとパンケーキって何が違うん?」
     黙々と目の前の甘味を平らげていたこはくがそう切り出すので、斑は口の中のコーヒーを飲み下すと少し考えてから「日本では同一視されがちだけどなあ」と話し始めた。
     時刻は昼の十一時を少し過ぎた頃だった。ESビルからそう遠くはない喫茶店のボックス席に二人は腰を落ち着けている。昼時にはまだ少し早いせいか、店内には人もまばらだ。
     くりくりと瞬く紫色の瞳を見ながら、頭の中の知識を引っ張り出してくる。
    「ホットケーキは日本独自の呼び方というか。パン……底の平たい鍋で焼くからパンケーキ。日本に伝わる際に色々あって呼び方がわかれたが、ホットケーキは厳密に言うとパンケーキの一種だなあ。今だと、ホットケーキはスイーツ、パンケーキは甘みの少ない食事用の……なんだあ、その顔は」
    「別に。なんでも知ってはるなぁっち思っただけや」
     皿に残ったクリームをいちごですくって口に含む。幸せそうに咀嚼する姿を、斑は再び黙って見つめた。
    「……あんなぁ、それ、やめん?」
    「何を?」
    「自覚ないんか……」
     呆れたようにため息をつくと、こはくはがしがしと後頭部を掻いた。何を改めてほしいのかいまいち理解できない斑は、この喫茶店に入ってからの自分の行動を振り返ってみる。しかし、やはり彼に指摘されるようなことは思い浮かばない。
     むしろ今日は随分大人しくしていたほうだと思う。朝、たまたま寮で顔を合わせたこはくとオフの日が重なったことを知り、せっかく会ったのだからとバイクを出してここまで二人でやってきた。その間、久しぶりにこはくと二人で過ごせることが嬉しくてずっと浮かれていた自覚はあるが、そんな自分がなんだか気恥ずかしくて敢えて静かにしていたのだ。大騒ぎして彼に叱られるのもやぶさかではないが、次にまたいつゆっくり過ごせるかわからないのだ。ならば少しでも楽しく過ごして、良い思い出を作っておきたい。
     そんな斑をじとりと見つめ、こはくは「ええか」と低い声を出した。
    「今から、ぬしはんがこの店に来てからどんな顔でわしのこと見てたか、実践したるから」
    「はあ?」
    「見とき」
     そうしてたっぷり三十秒はこはくの顔を見つめていた斑だが、やがて「わかった!」と小さく悲鳴をあげて顔をおおった。
    「……だぁれも他に見てへんからええけど。一応おんもにおるんやし、もうちょっこし抑えたほうがええで」
     心臓がバクバクとうるさい。蚊の鳴くような声で「はい」と答えると、斑は座席でしおしおと背を丸めた。
     そんなにわかりやすかったかなあ。でも仕方がないじゃないか。君、本当に美味しそうに食べるんだし。そんな君の顔を見るのは割とけっこう、本気で楽しいんだ。
     なかなか熱の引かない頬を押さえる斑を気遣ってか、こはくが追加で何か注文している。食べている間にその顔をなんとかしろということだろう。
     のそのそと顔を上げると、頬杖をついてこちらを見ているこはくと目があった。くしゃりと不器用に笑う彼を見て、そちらも大概ではないかと言いかけた言葉を、斑は苦いコーヒーで喉の奥に流し込んだのだった。
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    toaru_otaku_

    DONEこは斑ワンドロワンライ、いつも開催ありがとうございます!
    お題「猫」お借りしました
    顎の下を撫でられるのも好きだぞお、なんて 扉をしっかりと閉めて、靴を脱いで、上着も脱いで、手を消毒して。帰宅時の、そんなルーティンをこなしつつ、こはくは自分の行動に既視感を覚えていた。
     小さなワンルームのキッチンからは焼けた肉と、香ばしいソースの良い香りが漂ってきている。まだ火を使っている斑が、振り向きはせずにおかえりと声をかけてくれたので、こはくも少し声を張ってただいまと返した。
     既視感。そう、これは昼間はじめて訪問した猫カフェの、入店時の動作とよく似ている。存在は知っていたものの、ネットの情報ばかりで実際に行ったことのなかったこはくを、藍良が誘ってくれたのだ。
     屋敷に迷い込んできた野良猫としか接したことのなかったこはくにとって、そこは不思議な空間であった。猫たちは皆、人に慣れていて、どこか気品を感じさせる佇まいであり、それでいて食べ物を持っている人間には自然に寄ってくる。人前に出すのだから当然と言えば当然なのだけれど、個体差はあれど警戒心のあまりない猫達を前に、こはくのほうがたじろいでしまった。
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