枇杷が旬である。
パオズ山にも枇杷の木があり、畑仕事と共に手をかけたことにより鮮やかで独特の丸みのある実をたくさんつけるようになった。
そのまま食べても美味しいし、ゼリーなどにしても美味しい。
ミキサーにかけて他の果実ジュースと混ぜれ冷凍してシャーベットもどきにしても美味しい。
枇杷と、それら枇杷を使ったゼリーなどを使ってチチは本日のおやつにパフェを作った。
背の高いおしゃれなガラス器ではないが、かき氷用の器にそれっぽく盛り付けただけだが悟天とハイスクールから帰宅した悟飯、そして一緒に宿題をするのだとやってきたビーデルにも好評だった。
チチ自身の分は夜に。おやつとして作ったよりも簡単に大きめのグラスに枇杷と生クリーム、アイスクリームを少しずつ持ったものにした。
ひんやり冷えた枇杷にふわりとした生クリームは甘みを引き立てて、アイスクリームと枇杷の甘さも相性がいい。
「お、いいもん食ってる」
「お帰り悟空さ。おめぇさほんといいタイミングで戻ってくるだなぁ」
瞬間移動で戻ってきた夫に驚きはするが、彼だと認識した瞬間にそれは霧散する。
「おなかは?」
「海王様んところでちょっと食わせてもらってきた」
「ってことは肉饅頭ちょっと蒸して野菜スープくらいの軽いのでいいべか。お風呂入ってくるだよ、その間に用意しておくから」
「いいよ、明日の朝メシまで食わなくても平気だ。で、チチ、ひとくち」
「……食わなくてもいいって言ったそばから、あーんってクチ開けてるってのに、本当にだいじょぶだべ?」
苦笑しながらチチはスプーンに枇杷の実と生クリームがたっぷり乗ったものを掬い、悟空に食べさせる。
「チチが食ってるとうまそうだし、欲しくなるんだよなぁ…。ん、あめぇ」
「パフェだもの。悟空さの胴着色みてぇな色したきれいな枇杷だべ」
「ってことは、オラ、チチに食われてるのか。喰う方がいいなぁ」
修行帰りの夫は、闘争本能が満たされてすっきりとしているか、くすぶる熱をまだ持って帰ってくるかということがあるが、今回は後者らしい。
「悟空さ、ほれ、もう一口」
「んー」
枇杷の実は、こもった熱を冷まして、潤いを生んで渇きを癒す。
チチはひな鳥に餌を与える親鳥の如く、山吹色の実を夫に与えるのであった。