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    第23試合『写真〜photograph〜』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi

     孫家のアルバムは分厚くて、華やかだ。
     一番最初に貼られた写真は悟空とチチの結婚式の写真で、一番新しいものに関してはもう十才を過ぎた孫娘パンの写真が多い。

    「キレイにやってくれてたんだな」

     アルバムをめくっていた悟空が呟く。
     写真は撮られても別に構わないが、悟空自身はあまり撮ることに関しては必要性を感じていない性質だ。それを示すように、アルバムの中は悟空や悟飯と悟天に、義家族であるビーデルやパンのものが多い。それは写真を撮る主な人物が悟空の妻、チチであることを示している。

     彼女単体の写真はないわけではないが他の者より少なく、他の第三者に撮ってもらっての家族写真の方が多いくらいだ。
     しかしながら、少なくも単体写真はあるわけで、そのうちの一枚であるはにかんだ笑顔の写真に悟空の金色の瞳は釘付けになっていた。

    「寂しくなったらアルバムでも見たらいいだよ」

     そう言った彼女は本日は用事でパオズ山から離れている。用事の内容から悟空がついていくことはできなかった。いわゆる、留守番だ。
     悟空自身が修行でパオズ山から離れることは多かったし、その中でひとり夜を過ごすなんてこともあった。しかしながら、こうしてひとり自宅に置いて行かれるということは、思いのほか寂しいものだと思う。
     出かけにチチが冗談めかして言っていたアルバムの存在を思い出して、わざわざ四つ目の超化をしてしまわれていたアルバムを取り出したほどだ。

     朱に縁どられた瞼を閉じれば遠い場所に、小さいながらもやわらかなチチの気を感じる。行こうと思えば瞬間移動で彼女の元へ行けるのだが、本日は留守番なので我慢をするしかない。

     視線は写真から動かさないまま、彼の尻尾だけが時折揺れる。

    「帰ってきたら写真いっぺぇ撮らねぇとな。悟天のやつに頼めば、まぁやってくれっだろ」

     なんだかんだ言ってあの次男は母親に甘い。
     母さんの写真がアルバムに少ないんだと言えばカメラを手にレンズを向けてくれるだろう。

    「なんで、お父さんは当たり前のように一緒に撮られようとしてるのさ」

     とは言われるだろうが、妻の肩を抱き寄せて並んで写真を撮ってもらうつもりである。


     孫家のアルバムはここからチチの写真が増えるのだ。そう思えば少しだけ、悟空の口角は持ち上がるのだった。
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    TRAINING第18試合『手紙〜Letter〜』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
     掃除、洗濯、夕食の下ごしらえ、他のこまごました家事が終わると、チチのちょっとした自由時間となる。
     自由時間といっても大概は針仕事や近隣(と、言っても孫家からかなりの距離はあるのだが)への用事事や畑の様子などを見にいくことも多いが、まれに本当にぽっかりとそれらもない自由時間がある。

     そうなるとチチはお茶を淹れて雑誌を読んだりテレビを見たり、時々午睡をしたりとして過ごすが、気が向くとリビングのとある収納の引き出しを引く。

    「ああ、そろそろこの便箋もなくなってきてるだなぁ」

     言いながら取り出したのは、淡い緑色で揃えられているレターセットだ。共に万年筆も出して、ダイニングテーブルに座る。
     
    「さて、と」

     便箋をめくり、チチは慣れた様子で万年筆にインクを補充すると、その切っ先を紙面へと滑らせ始めた。
     出だしはいつも決まっていて、「悟空さへ」 である。

     
     書くことは基本とりとめもなく。
     自分がその日思っていること、伝えたいことをつらつらを書いていく。満足するまで書いたあとは便箋を折り封筒に入れて封をして、便箋をしまっている同じ引き出しに手紙をしまう。
     この手紙は決し 1450

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    TRAINING悟チチ版ワンドロワンライ『天下一悟チチ武道会』
    第7試合 お題『ピアス』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
    「ピアスを開けたい? いいんでねぇか」
    「…………」
    「悟天、何か言いたいなら言うだよ」
    「あ、えっとさ。あっさりOKされるとは思わなかったから」
    「ファッションのひとつだし、おめぇも年頃だからな。親のおらがしてるものを頭ごなしにダメっていうほど気も張ってねぇだよ」

     ソファに座ってのんびりと茶を飲んでいる母に話しかけるタイミングと彼女の期限をかなり慎重に窺って挑んだだけに、悟天の方が拍子抜けしてしまった。
     桃色が主体の旗袍に髪を短くした母親の耳元には確かにピアスがされていて、小さく球が揺れている。

     ピアスといえばやはり女性ものというイメージがあるし、実際母に話すより前に隣に住む兄に相談してみると「彼女へのプレゼントじゃなくて?」と首を傾げられたこともあった。まぁ悟天とて女の子がつけて可愛い装飾が多いものは興味はないが、小さな銀や金のスタイリッシュなものには憧れる。
     耳といういつも露出している部位に身に着けるものだから、やはり一緒に住んでいる家族に黙ってやるのはいかがなものかということと、素行には厳しい母親であるということで話すタイミングを数日前から考えて見計らって挑んだ結果 1737

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    TRAINING悟チチ版ワンドロワンライ『天下一悟チチ武道会』
    第6試合 お題『アイス〜ICE〜』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
    孫家の日常は多分どちらかといえば慌ただしいイメージかもしれない。

     それは確かに事実でもある。
     なにせ、パオズ山は緑豊かといえば聞こえはいいが、実際は大型肉食獣も住まう辺境という言葉が相応しく、人が住む場所といえば限られていて村と呼べる存在は山の麓の方にあり、そこから町、都会へとなるとずっと遠くなりそれなりの移動手段が必要だ。

     そんな場所で暮らしているものだから、ハイスクールへの登校にも時間がかかってしまう。孫家の長男、悟飯は時間にルーズではないがやはり朝はばたばたしがちだし、悟飯や悟天の父親である孫悟空が現世の人として戻ってきたため家事(主に食事面)が増えたため子供達の母であり、悟空の妻であるチチも所々は慌ただしい。
     しかしながら、子供達が成長すれば各々時間の使い方はうまくなっていくし、悟空に至っては修行に出てしまえば家を不在にする時間も長くなり心配はするものの家事の負担は減る。

     あと、これは知るものは孫家の面々くらいだが、農作業が終わり昼食も終わったあとの孫家は意外とのんびりとした時間が流れる。

     茶を淹れて、ゆっくりと飲む時間。
     それはチチがひとりで家を支えてい 2050

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    TRAINING悟チチ版ワンドロワンライ『天下一悟チチ武道会』
    第1試合 『空』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge
    #悟チチ #Gochichi
    チチは亀仙流の使い手であり、その武は亀仙人も認める達人の域であった。
     まぁ今は孫もいる身であり、全盛期と比べればゆるやかに力量は落ちてはいるがちょっとした暴漢をこらしめるくらいは未だに朝飯前のことだ。

     とはいえ、チチは気は読めないし、気弾も打てない。夫や子供達が得意とするかめはめ波も打てないし、舞空術も使えない。

     舞空術については、悟飯からそれを学ぶ際に一緒にできるようになろうとねだらた。それよりもっと前には、悟天が生まれて少し落ち着いたころによければと、悟飯からも舞空術が使えるようになることを勧められたこともある。
     だがチチは穏やかに辞退した。
     舞空術は確かに身に着けることができれば便利だろうが、気を感じる、気を読むなどのセンスはどうも自分にはないと思ったし、夫が遺した筋斗雲があればチチだって空を移動できる。

     子供達はチチのそれに少し残念そうであったけど納得もしてくれたことがありがたかった。

     筋斗雲に乗って、空を行く。
     朝はまだ少しひんやりした空気の中。昼は、眩しい陽射しの中。夜は満点の空を見られる。
     それが自分の身ひとつでできれば、解放感はひとしおかもしれ 1609

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    TRAINING悟チチ版ワンドロワンライ『天下一悟チチ武道会』
    第7試合 お題『ピアス』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
    「ピアスを開けたい? いいんでねぇか」
    「…………」
    「悟天、何か言いたいなら言うだよ」
    「あ、えっとさ。あっさりOKされるとは思わなかったから」
    「ファッションのひとつだし、おめぇも年頃だからな。親のおらがしてるものを頭ごなしにダメっていうほど気も張ってねぇだよ」

     ソファに座ってのんびりと茶を飲んでいる母に話しかけるタイミングと彼女の期限をかなり慎重に窺って挑んだだけに、悟天の方が拍子抜けしてしまった。
     桃色が主体の旗袍に髪を短くした母親の耳元には確かにピアスがされていて、小さく球が揺れている。

     ピアスといえばやはり女性ものというイメージがあるし、実際母に話すより前に隣に住む兄に相談してみると「彼女へのプレゼントじゃなくて?」と首を傾げられたこともあった。まぁ悟天とて女の子がつけて可愛い装飾が多いものは興味はないが、小さな銀や金のスタイリッシュなものには憧れる。
     耳といういつも露出している部位に身に着けるものだから、やはり一緒に住んでいる家族に黙ってやるのはいかがなものかということと、素行には厳しい母親であるということで話すタイミングを数日前から考えて見計らって挑んだ結果 1737

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    TRAINING悟チチ版ワンドロワンライ『天下一悟チチ武道会』
    第9試合 お題『夢』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
    思えばずっと、自分は彼女に待たせているばかりだった。

     幼い約束を信じて、少女から乙女となるまで待ち続けた彼女。
     天下一武道会の武舞台で夫婦となりパオズ山で生活はし始めたけど、修行のために家を出れば一人きりの朝と夜を迎えさせたのは片手どころか両手、両足の指を使っても数えきれないほど。それで泣かせてしまったのも数として口にすると後ろめたさでいたたまれなくなるのだが、そこに死別が割り込んでくるとなると、もうなんともさすがの悟空とて申し訳ないどころでは済まされないと反省したくなる。
     二度の死別から現世の人となり、そこから先で、また彼女の元から離れた。

     背中にかけられた声にまともに返せなかったのはともすれば彼女を道連れにしてしまいかねなかったからだ。
     今の孫悟空という存在はこの世、あの世、どちらの存在とも言い難く、地球という星と共に在るが、個として明確であることは短い時間でしか今は保てない。

     そうなることは悟空自身の意思であるし、悔やんではいない。
     自慢の息子達が家庭を持ち、仲間達のそれぞれの人生、可愛い孫娘が孫の世話をする時の流れを穏やかに、なつかしさと羨望のまなざしで見守 1238

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    TRAINING第19試合『人形〜Doll〜』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
     ビーデルの義母曰く、夫は自分を家族としての買いだしなどには付き合ってくれるが、時々ふたりで都会に買い物にでかけようというと渋るので女としての意識はもうあまりないのかもしれない、とお茶を一緒にした際に苦笑交じりでこぼしたことがあった。

     確かにビーデルの夫の父親、孫悟空の思考や行動については多少、夫の母親であるチチに同情的になることもある。
     しかしながら、ビーデルは義父である悟空を責める気持ちは皆無だ。
     
     彼なりの、彼の妻への愛情を感じることを時折目の当たりにするからだ。
     それは日常に紛れており、また、彼の妻であるチチ本人がいないところで見られることが多い。

     例えば、昨日。
     悟空の孫娘パンが、ビーデルの実父であるサタンに買ってもらったという人形を見せた時に零した言葉がある。

     精巧な着せ替え人形で、幼い女児が好むかわいらしいドレスがいつくもあるそれを眺め、本物みてぇだなぁと感心していた彼が言ったのだ。

    「この服なんかチチに似合うだろうなぁ。こっちのやつとか、あんまチチは着ねぇ色だけど案外合うんじゃねぇかな」

     きょとんとしてるパンの前で眉間に皺を寄せて考え込む義父 753