かき氷は暑い日には嬉しくて、氷さえあれば家でも容易するのが楽な氷菓だ。
真っ白な氷の山に好きなシロップをかけて食べて、ちょっと頭を痛くしたり、シロップで染まった舌を見せ合ったり。
そんな、ちょっとイイ感じの記憶が悟空の中にある。
別段、チチに怒られたりとかしているわけではないが、その記憶を思い出した悟空はかき氷が食べたいとねだった。チチは少し意外そうではあったが、昼過ぎの日差しの強さに冷たいものを食べたくなる暑さだしなと納得してくれたようだった。
「氷は悟空さがごりごりしてけれな」
「おう」
孫家愛用のかき氷機にがらがらと製氷皿の氷が入れられる。が、それ自体に色がついていたので思わず悟空は凝視してしまった。
「これけ? オレンジジュースとミカンの缶詰をミキサーにかけたやつを凍らせたんだべ」
これをかき氷にするといつものとは違った感じでおいしいんだべよ。そう笑顔のチチに悟空は普通のやつがいいとは言えなくなる。実際、それはとてもおいしいだろうなと思ってしまったし。
赤い舌を見せ合って、ちょっとキスとかしてみたりしたかった。そう思いつつかき氷機のレバーをぐるぐると回していた彼は知らない。舌こそは染まらなかったが、冷たいねと言いあいながらミカン味のキスを交わすということを。