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    公(ハム)

    @4su_iburigakko

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    公(ハム)

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    #4スレ
    #エラスレ
    elasure

    ほまちあめ ——さあさあ。
     ——さあさあ。

     自室を包むような広く小さな音に、隣に座るスレッタも気が付いたらしく、絡んでいた視線をついと窓へと向け、感嘆の声をあげる。
    「雨ですよ、エランさん!」
     晴れやかな笑顔で振り返った彼女に、こくりと頷いておいた。

     ——本日は午後5時から雨の散布予定。

     数ヶ月前から予告されていた通り、天井パネルからは人工雨が降り注いでいる。いつもならばオレンジ色に切り替わっている映像も、暗いグレーがまだらに映し出されていた。
     多くの住民が疎ましく感じる雨の散布日も、スレッタにとってはそうではないらしい。ブルーグレーの瞳を輝かせながら、腰掛けているベッドのすぐそばにある窓から外を眺めている。さらには時折目と口をぴたりと閉じて、雨粒の音を聴いているようだった。
     何がそんなに楽しいのか、尋ねてみたい気持ちもあったが、黙ってスレッタの横顔を見つめていた。
     スレッタが口を閉じてしまえば、自室には人工雨のざわめきだけが残された。
     フロント全体に降り注いでいる人工雨だ。小さな水滴と言えどもかなりの水量になるはずだが、その降り注ぐ音はいつもの自室を静かでどこか落ち着いたものへと変えていく。
     ふいに、赤いまつ毛がぱちりと上がり、お互いの視線が交わる。ブルーグレーはいまだキラキラと輝いていた。
    「エランさん!私ちょっと外に出てきます!」
    「………………えっ」
     今にも飛び出してしまいそうな様子に、慌ててベッドに突いている彼女の手を捕えるように自分の手を重ねる。手の中の柔らかい肌がぴくりと跳ねた。
    「濡れるし、これから気温が下がるから風邪を引くかもしれない」
    「ほわっ!エッランさん、ててっ!手がっ!」
     自由な手をブンブンと音がするほど振り回しているスレッタに「聞いてる?」と尋ねてみても「手が」としか返ってこない。仕方なく、重ねていた自分の手を退けると、彼女は大きく息を吐き、捕らえていた手を守るようにもう一方の手で包んだ。
     彼女のその様子に喉が詰まるような痛みを覚えたが、ひとまずそれを無視してもう一度外へ出ることの懸念を伝える。
     しかし、こちらの心配をよそにスレッタは笑顔で「身体は丈夫なので!」「タオルも持ってきてますし!」と、聞き入れる様子はない。
     ——スレッタ・マーキュリーは頑固だ。
     彼女が言い出したら聞かない性分であることは、何度も重ねた交流の中で気がついていた。
     それならば、可能な限り彼女が濡れないようにするしかない、と小さくため息を吐き、頭を切り替える。
     とは言っても、人工雨の散布日は事前に告知されているので基本的に外出する人間は自分を含めほぼいない。だから、濡れないように外出する方法など考えたこともなかった。この日のための特別な備えなども——と、考えているうちにふと、ペイル寮の備品リストの存在を思い出す。
     生徒手帳を取り出し、自寮の備品リストにアクセスする。この間、ありがたいことにスレッタはひとりで外に飛び出すことなく、黙って待っていてくれた。
     備品リストに検索ワードを入力し、数秒後——
    「……あった」
    「エランさん?」

     ◇◇◇

     ——ぱたぱた。
     ——ぱたぱた。

     弾けるような音が頭のすぐ上からひっきりなしに響いている。連続する単調な音はともすれば騒音にもなりかねないが、意外にも煩わしさは感じない。
    「うわぁ……すごい」
     スレッタの声がいつもより近い。実際、肩が触れそうなくらい近くにいる。それもそのはず、今自分たちはひとつの傘に一緒に入っているからだ。彼女が濡れないように外に出る方法は、「傘を差す」というなんとも前時代的な方法で解決した。
    「なんだか、すごく静かです」
    「……そうだね」
     きょろきょろと辺りを見回す彼女に、それは外出している人間が極端に少ないからだとは言わないでおいた。
    「お気に召した?」
     通じないと理解しているが、それでもひと言くらいはと皮肉を投げてみたが、やはり通じていなかったようで「はい!」と弾けるような笑みとともに返事が返ってくる。
     それよりも、傘を差していても意外と濡れる。スレッタとは反対側の自分の肩がどんどん湿っていくのがわかった。傘を使うのが初めてだからだろうか。
     せめて彼女が濡れないようにと持ち手の角度を調整していると、辺りを見回していると思っていたブルーグレーの瞳とぶつかった。
    「どうしたの」
    「エランさんの声、いつもと違う気がします」
    「……?」
     喉に手を当ててみるも、特に不調は感じない。先ほど喉が詰まるような感覚があったが、それも一瞬だったので今まで忘れていた。その程度だ。それよりも——
    「きみの声も少し違う気がする」
    「えっ、ほんとですか!?」
     あー、あー、と出す彼女の声はやはりいつもと違う。しかし、喉を痛めたような声ではない。むしろ、いつもより雑音が少なく、クリアに聞こえるような……。
    「……雨が降ってるから?」
     普段と違う状況下ではそういうこともあるだろう、とひとまず結論づける。スレッタも「そうかもです!」と同意してくれた。
     それからは、彼女が傘を持つと言い出したり、お互いが濡れないように身体を寄せ合ったりした。まるで世界にふたりきりのように。
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    REHABILI
    ‘我梦见绿色的夜,在眩目的白雪中’‘I have dreamed of the green night of the dazzled snows’


    你有没有遇到过这种情况?……有一卷磁带,不知道放哪里了,怎么也找不到。
    没有。再说谁还会听那种古董啊。
    因为以前只有这些……
    里面的内容很重要吗?如果还记得的话,在网络上也能找到吧。
    ……不知道啊。斯莱塔上半身躺倒在座椅上。舷窗收束起一轮宽阔无云的天空,铺开一片退烧般的柔和的冰冷,像一面冰河期后仍然遗留在陆地上、忘记解冻的海。虽然水星上的一切都在以难以想象的高速旋转着,太阳风从几十数百千米外的高空呼呼掠过,但对斯莱塔而言,从学校到宿舍的两点一线融洽地保持着一个闭环。殖民地建在南极的深坑里,每天准确地执行着算法编排好的日照、降雨与风速,居民们——他们大多来此定居不久——在一拱吹制玻璃似的天空下,各司其职,各行其事,过着一种理性、朴素,酒精和音乐都很有限的生活,好像它从一开始就本该如此。米奥利涅说过,水星简直是一个史前世界,或者几百年前曾大量涌现的那种‘西部垦荒片’:庞然的大陆上,一小群一小群清教徒孤零零地生活着,放马、煮鹰嘴豆、做木工,周末赶几小时马车一路颠簸去教堂做礼拜,对从四面八方延展开去的无边无际的荒野和狂风无知无觉。
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    あもり

    DOODLEエラスレ(4号スレ)
    4話後のお話。射撃訓練とかありそ〜!とワンドロワンライお題の銃で閃いてのんびりかいていたのでした。
    ニカチュチュ先輩も少しだけだけど、かけて楽しかった🌸
    補習合格のために慣れない生身での射撃訓練を1人するスレッタ、そこに偶然現れたのはエラン・ケレスその人で!?という少女漫画的展開(?)しつつな、風味は割と選ばれし人向けです。
    読んでくださってありがとうございました!
    正しい標的の狙いかた 学生の本分は勉学である。その勉学というのが、時代によって異なるのは常のことであり、大人が子どもに与えたいものが反映される。そしてスレッタ・マーキュリーが入学したアスティカシア高等専門学園も例外ではなかった。

    (うう、自分の体だと照準が合わせづらいです……)
     スレッタは放課後に一人、射撃訓練所で居残り練習をしていた。

    「射撃訓練、ですか?」
     紆余曲折を経て、地球寮に入寮してしばらく経ってのことだった。カリキュラムの説明を改めてニカより受けたスレッタは、自分で描いていた学校のイメージと切り出された射撃訓練のイメージが結び付かず、首を傾げていた。
    「スレッタはパイロット科でしょ。モビルスーツには普段から自動追撃システムがあるからあまり関係ないけれど、もしもつかえない時に備えて訓練があるの」
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