午前二時の鐘を聞け午前二時の鐘を聞け
あの大事件からわずか三日後。その日の朝のカリスマハウスは荒れていた。
朝食から数十分後。元凶である依央利は小さな旅行鞄を片手に玄関で地団太を踏んでいた。
「やだー! 出ていきたくない! 僕皆さんに奉仕したいのにー!!」
「うっせーな。さっさ行けよ」
「やーだー!!」
対峙する猿川の素っ気なさがより依央利をヒートアップさせる。
喧騒を聞きつけた五人がなんだなんだと集合した。会話の内容と依央利の形相に驚く者と落ち着いている者の割合はほぼ半々といったところか。誰が何を言うべきかと顔を見合わせているさなか、ひときわ落ち着いているふみやが依央利に言った。
「あれ、依央利まだいたんだ」
「ちょっとふみやさん!?」
4898