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    mya_kon

    @mya_kon

    何かがあります

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    mya_kon

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    カッとなって書いた夏尾?です。何してんだろう。何してんだろう?って夏と尾が思っているでしょうし、わたしも思っています。何してんだろう?🤔

    #夏尾
    natsuo

    そんなこと突然言われたって困りますよ「は?」
     思わずそう言い返してしまった。
     目の前に立つ尾形さんは年上で、俺よりもずっと戦闘に強くて、土方さんの役に立つというのに、俺は我慢できなかった。それだけ尾形さんが今言ったことは理解ができなくて、意味が分からなくて、返事に困った。
     返事に困ったからって「は?」と聞き返すのはどうかと思うんだけど、考えてみたら尾形さんは俺の上司とか先輩とか雇い主とかそういう目上の立場の人ではない。俺より一回りぐらい年齢が上で、ほんの数分だけ俺より先に土方さんの味方になった。それだけの人だ。
     だから俺が亀蔵に「は?」と聞き返すのと同じ感覚で「は?」と言っていいはずなんだけど、どうしても謎の圧力をどこからともなく感じてしまってそうはできなかった。できない日々が続いていたけど、今日の俺は違った。
     あまりにも意味が分からなくて思わず「は?」と言ってしまった。
     そしたらどうだろう。尾形さんはまさかそんな返しがくると思っていなかったらしくて、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしている。それを見て、俺は少しだけ悪いことをしたな、と思った。ほんの少し、爪の先ほどだけど。
    「ええと、尾形さん?」
     名前を呼ぶと、びくりと体を揺らした尾形さんと目が合う。あ、尾形さんの瞳から勢いがなくなった。急に突き放された子どもの目になるやつだ。
     たま〜に見ることになるその目は、正直いって好きなやつだった。いつも俺のことを小馬鹿にしたようにニヤニヤと笑いながら見下ろしてくる尾形さんが、この時だけはまるですがるような目で俺のことを見てくるのだ。
     嫌いなわけがないだろう! という気持ちはもちろんあるんだけど、半分ぐらいはどうしていいか分からなくなる。好きなんだけど、落ち着かない。人間って難しいね。
    「あの、その」
    「忘れろ」
     そう言って尾形さんはくるりと踵を返した。外套が翻る。
     俺はその裾を掴んだ。これも反射。「は?」も反射。
    「……何だよ」
    「えーと、何と言いますか」
     忘れろと言われたけど、忘れられるだろうか。尾形さんはさっき、俺に「お前、俺のことが好きなのか?」と聞いてきた。寝耳に水すぎて「は?」と聞き返してしまったが、もしかしたら俺の聞き間違いだったのかもしれない。
     と思ったけど、尾形さんのこの反応的には何も間違っていなかったんだろうな、と思う。とはいえ、間違っていなかったからといって俺からの返事としては「は?」以外ないような気がするんだけど、どうしよう。
     思わず尾形さんを捕まえてしまったし、尾形さんも足を止めた上に振り返ってくれたし、どうするのが正解なんだ?
    「夏太郎」
    「……はい」
    「俺は別にお前のことを好いてるわけでもなんでもない」
    「はい」
    「……」
     尾形さんの目が大きく見開かれる。これは不正解の答えだったらしい。俺は慌てて顔の前で空いてる手を横に振った。何してんだろう。
    「あ、いや、あー、それは、ちょっと残念、ですね」
     大きな嘘ではないからいい、かな? 尾形さんのことを特別好いているわけではないけど、特別嫌っているわけではない。同じ土方一派として仲良くやっていきたいのは本当だ。好きか嫌いかの二択を迫られたら、一応好きを選ぶ。
     だから好いていない、と言われたら少し残念なのは本当。だけど、尾形さんの目の動き的にさぁ、俺のこと好いてるわけでもなんでもないってわけではないんだろうなぁ、と思う。
     尾形さんだって俺のことを特別好きなわけではないだろうけど、特別嫌いなわけでもないだろうし、どちらかといえば俺のこと好きなんだと思うんだよな。
     これは勘。日頃の態度、蓄積による推理。
     そもそもわざわざ「俺のことが好きなのか?」と確認しにくるぐらいだから、尾形さんの中では何かしら想定していたやりとりがあったんだろうな。それをぶち壊したのは俺。ごめんなさい、尾形さんの読み通りに動けなくて。
    「尾形さん」
     外套の裾をもちゃもちゃと揉む。尾形さんの視線も俺の視線もそこに集まっていて、だんだんと「汚れてるな」「そろそろ洗濯した方がいいのかな」なんてどうでもいいことが頭をよぎり始めた。
     顔を上げると尾形さんと目が合う。
    「嫌ってるわけではないから」
    「あ、はい」
     何て返事をするのが正解だったのだろうか。
     俺の間抜けな声に満足した尾形さんは外套を引っ張った。空になった手が寂しくて、自分の法被の襟を整える。
     さっきまでの子どもの目から、大人で余裕たっぷりの表情に戻った尾形さんはそのままどこかへ行ってしまった。残された俺は、誰もいない空間に「はあ?」と言うしかなかった。
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    mya_kon

    DONEこれは……いつか本になるから……と自分に言い聞かせて書いた夏尾……フォロワーが描いた夏尾見て書いた……わああああああああってなりながら……書いた……いつか本になるから……原稿といっても間違いではない……………
    まぐれ、気まぐれ のし、と頭に重さがかかる。確認しなくても分かる。尾形さんが俺の頭の上に手を置いたのだ。しゃがんだ姿勢のまま、俺は木の陰から一匹の鹿を見る。
     遡ること一時間前。
     俺はもっと土方さんの役に立ちたいと思い、茨戸からずっと持っているピストルの腕を上げようと考えた。せっかくなら誰かに教えてもらいたいな、と思ったのでまず最初に有古さんと都丹さんに声をかけた。普段からピストルを使ってる都丹さんや、従軍経験から有古さんなら! と考えたのだ。ところが二人は用事があったようで断られてしまった。
     そうなるととても困る。残っているのは永倉さんと牛山さんと門倉さんとキラウシさんと尾形さんだ。その中で可能性があるとしたら……尾形さんだよなぁ。もちろん尾形さんだって従軍していたし、そうでなくても狙撃の名手だ。射程距離がちょっと変わったくらいで下手くそになるとは思えない。とはいえ、尾形さんにお願いしたところで聞いてくれるとは思えない。
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    mya_kon

    DONE「吸血鬼が生きる世界には、マッチョが血液を提供するバーがあるのでは?」というフォロワーさんの呟きに反応して、爆発した結果のものです。夏太郎が吸血鬼、尾形がマッチョバー店員やってます
    もっといっぱいください!「へー、血液パックの宅配もやってんだ……」
     俺がスマホでぽちぽち見てるのは亀蔵に勧められた「マッチョバー」の公式サイトだ。何でもそこで働いているのは筋肉隆々のマッチョたちで、店ではその人たちの血液を提供しているらしい。
     男の人しかいないかと思ったけど、女の人もいるんだな。前からマッチョの血液は美味しくて栄養満点とは聞いていたけど、何だか手が伸びなかったのは気軽に買える場所に店がなかったのと、なんとなーく飲んだら自分もマッチョになりそうで二の足を踏んでいた。
     マッチョになるのが嫌っていうか、マッチョになって制限がかかるのが嫌というか……。両腕が閉じれないとか、着れる服が限られるとか、注射の針が入りにくいとか聞いていて、えー、じゃあソフトマッチョぐらいがいいなぁ、と思っていたのだ。まあ、今はソフトマッチョを目指している最中だから、多少のマッチョ成分を取り入れたところで問題はないんだけどさ。
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    コルテナ

    DONE現パロ勇尾のSSSです。とても短くてとても糖度がたかい。
    なんでも可愛い勇作さん「兄様の瞳に似て、とても可愛いですね」
    「……はぁ」
    勇作の小さな囁きに、百之助は気の抜けた返事を返す。弟の視線の先には、黄色っぽい頭をした小魚が、小石を掘った穴からひょこりと顔を出していた。魚特有の、どこを見ているか分からない、真っ黒な目。
    円柱の水槽は、近づいて見ると案外分厚い。じっと見ていると屈折がきつく、目が疲れる気がして、百之助は少し遠巻きに見ていたのだが、弟がにこにこ笑いながら指さすので、少し覗き込むように近づく。
    「…………」
    とりたてて人気のある水槽ではない。そもそも、百之助はあまり何かを「可愛い」と思うことがなかったので、それが世間一般的に言って可愛いかどうかは判断がつかなかった。だが、そんな百之助でもなんとなくわかる。たぶん、こういうのは可愛いと言っても、「逆に」とか、「一周まわって」とか、そういう枕詞がつくたぐいの可愛さのような。勇作のほうを振り返る。にこにこと笑っている。可愛いというのは、勇作のようなもののことを言うのでは、と真顔で考え、もう一度魚を見やる。勇作のきらきら輝く瞳、かたや魚の真っ黒な目。
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