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    ありさ

    成人済み腐女子。TOLink AZ·ZA字書きのひと
    最近エヴァ熱再燃(53·35·535)

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    ありさ

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    去年ゼファアレこれ1本しか書いてない(汗)
    ゼファアレ本通販のおまけをポイポイしておきます。
    ザレイズ時空のお話。

    #ゼファアレ
    zephyr

    『占有と嫉妬』

     アレンは治癒術に長けている。それは周知の事実で、何人もの怪我人がアレンの治癒術を受けようとやってくる度に、優しい俺の恋人は多少疲れていてもにっこりと微笑み、怪我をしている箇所に手を翳して治癒術を施す。いつか、勘違いする奴や、変な気を起こす輩が出てくるのではないか、心配で仕方がない。
     今日も治癒術を施すアレンの背中をじっと見つめ、腕組みをしながらずっとそんなことを考えていた。

    「…ちょっと、ゼファー!」
    「…ぁ?」

     気付くとこちらを振り返ったアレンが眉を吊り上げながら睨んでいた。怒っている姿も可愛い、などとは、本人には言えないが。普段にこやかにしていることが多いアレンの、そんな表情やあられもない姿を自分だけが知っている事実は嬉しいものだが、他者に向けられる慈しみは少しばかり嫉妬しても仕方ない。

    「なんでそんなに怒ってるの?」
    「は?怒ってねぇって」
    「…まぁ、なんとなく理由は分かってるけど」

     アレンはそう言うと、ゼファーの手を取った。

    「ゼファーも怪我してたのに、後回しにしてごめんね」
    「んなの擦り傷だって。舐めときゃ治る」
    「駄目だよ」

     もう片方の手のひらで腕の擦り傷を覆うと、次第にじんわりと温かい癒しの気が流れ込んできた。手元を見つめるアレンの瞳は優しげで、つい見入ってしまう。ふと、視線を上げたアレンと目が合い、ふわりと微笑まれた。

    「はい、終わったよ」

     そう言いながら、擦り傷があった箇所に唇を寄せて口付けた。

    「…っ、な?」
    「ゼファーは特別だからね。おまけ」

     だから後回しにされたのか。と、可愛い相棒の粋な計らいにクスリと笑った。

    「…でもさ、無言の圧力で威嚇するの、やめてよね。みんな怖がってるよ」
    「…ここには治癒術使える奴が他にもいるだろ。お前じゃなくてもいいじゃねぇか」
    「僕にはこれくらいしか出来ないし」
    「変な気起こす奴がいないか心配なんだよ」

     アレンは、“そんなことないから大丈夫だよ”と、苦笑いをしながら言った。なにが大丈夫なのか。

    「現にここに変な気起こしてる奴がいるだろうが」
    「まぁ、そうなんだけどさ…」

     次第に頬が朱に染まり目を逸らしてボソリと呟いた。

    「本当はゼファーが嫉妬っぽいオーラ出してるの、少し…、その、嬉しいなぁ、って。僕が好きなのは君だけだから、ね」

     ここが自室であれば押し倒しかねないことを言うアレンに、してやられる。これからもこの無防備な恋人兼相棒に色んな意味で苦労が絶えないと、頭を悩ませるゼファーだった。
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    『占有と嫉妬』

     アレンは治癒術に長けている。それは周知の事実で、何人もの怪我人がアレンの治癒術を受けようとやってくる度に、優しい俺の恋人は多少疲れていてもにっこりと微笑み、怪我をしている箇所に手を翳して治癒術を施す。いつか、勘違いする奴や、変な気を起こす輩が出てくるのではないか、心配で仕方がない。
     今日も治癒術を施すアレンの背中をじっと見つめ、腕組みをしながらずっとそんなことを考えていた。

    「…ちょっと、ゼファー!」
    「…ぁ?」

     気付くとこちらを振り返ったアレンが眉を吊り上げながら睨んでいた。怒っている姿も可愛い、などとは、本人には言えないが。普段にこやかにしていることが多いアレンの、そんな表情やあられもない姿を自分だけが知っている事実は嬉しいものだが、他者に向けられる慈しみは少しばかり嫉妬しても仕方ない。

    「なんでそんなに怒ってるの?」
    「は?怒ってねぇって」
    「…まぁ、なんとなく理由は分かってるけど」

     アレンはそう言うと、ゼファーの手を取った。

    「ゼファーも怪我してたのに、後回しにしてごめんね」
    「んなの擦り傷だって。舐めときゃ治る」
    「駄目だよ」

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     今日も治癒術を施すアレンの背中をじっと見つめ、腕組みをしながらずっとそんなことを考えていた。

    「…ちょっと、ゼファー!」
    「…ぁ?」

     気付くとこちらを振り返ったアレンが眉を吊り上げながら睨んでいた。怒っている姿も可愛い、などとは、本人には言えないが。普段にこやかにしていることが多いアレンの、そんな表情やあられもない姿を自分だけが知っている事実は嬉しいものだが、他者に向けられる慈しみは少しばかり嫉妬しても仕方ない。

    「なんでそんなに怒ってるの?」
    「は?怒ってねぇって」
    「…まぁ、なんとなく理由は分かってるけど」

     アレンはそう言うと、ゼファーの手を取った。

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