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    #毎月25日はK暁デー
    11月【風邪】【白い息】【暖房】

    ##K暁
    #毎月25日はK暁デー

    先週は『十月上旬の暖かさ』と言っていたお天気キャスターが『明日は十二月下旬の寒さ』と言っている。昔は寒暖差アレルギーだの気象病なんかなかったとKKは言っていた。認知されていなかった面もあるだろうが、地球温暖化やら異常気象やらの影響は確かにあるのだろう。真偽はともかく、急に寒くなるならそれなりの準備が必要だ。冬服を出し、冬布団を干し、エアコンの掃除と暖房の試運転もして、換気ついでに土鍋を出す。
    「今夜は鍋にしようかな」
    貰い物の土鍋は3~4人用の一般的なもので、暁人とKKが囲むのにちょうどいい。野菜は最近高いけれどビタミンの多い色が濃いものをたくさん入れて、火が通って小さくなったところでたんぱく質とビタミンの豊富な豚肉を入れる。胡麻ダレにして体を温めるネギや生姜も入れよう。
    掃除機をかけながら風邪予防になる買い物リストを組み立てて、こたつ布団も出す。
    暁人は今までこたつを使ったことがなかったが、エアコンよりも経済的で乾燥もしないし、更にはKKにくっついたりできるので今ではお気に入りだ。
    向かい合って鍋をつつき、湯気と共に今日の成果を話すKKの姿が目に浮かぶ。暁人は目を細め、風呂掃除に取りかかった。
    KKは朝から仕事に出ており、しかもあちらこちらを歩いて(あるいは文字通り跳んで)回ることが確定しているため疲れて帰ってくるだろう。汗で体を冷やしているかもしれないし、新陳代謝が活発ではない中年は体温が下がりがちだ。
    帰ったらすぐお風呂に入ってもらって、その間に下準備をした鍋に肉を入れてご飯やお酒を出そう。
    寝冷えしないように湯たんぽも必要だ。二十四時間三十六度代を保ち、KKと同じくらいの大きさで、抱き枕にもなる。
    手触りがいいなと言っていたパジャマを二着脱衣所に置いて、時計を確認する。そろそろスーパーに行けばいい頃合いでタイムセールにぶつかるはずだ。
    日が沈むのが大分早くなり、底冷えもするようになってきた。都会はビル風がこたえるとKKが言っていたと思い返し厚手のジャケットの前を首まで閉める。
    外に出て吐いた息はまだ透明だ。KKは仕事終わったかなと独りごちる。暁人も社会人だというのに休みになると主婦のようだ。KKは良い旦那とは言えないけれど、ねだらずとも今晩もたくさん暁人に愛を返してくれるだろう。
    緩む頬を襟で隠して暁人はいつものスーパーへ健康そのものの軽い足取りで向かった。



    「KK、暁人さんに甘えすぎじゃない?」
    あの夜以来、思ったことを言うようになった絵梨佳は無遠慮にそのままじゃ暁人さんに見捨てられない?と聞いてきた。心配してくれているのはわかるのだが、あんまりな物言いにKKは苦虫を噛み潰したような表情を見せた。そもそも化け物退治が終わっての第一声がそれかと思わなくもない。帰ったら暁人が晩飯を作って、とは言ったが。
    「オレだって皿は洗うしゴミも出す」
    「集めたゴミ袋を収集所に持っていくのはイイトコドリなんだって」
    ネットで聞き齧ったようなことまで言い出して苦笑する他ない。
    忠告はありがたいが、暁人はどうも好きでKKの世話をしている、というか世話をすることで愛情を表現している節があるし、自分の作業中に手や口を出されるのを嫌う性格だった。もちろんそんな内面はKK以外に見せない猫被りであるのだが。
    しかし絵梨佳に家の中では暁人を甘やかしていると言っていいものか、下手に誤解をされると、あながち誤解でもないのだが、この場にいない凛子に小言を言われそうで厄介だ。
    「……ケーキでも買って帰ればいいか?」
    「今日頑張ったあたしのぶんは?」
    確かによく動いたせいか暗くなってきたせいか吐く息が白い。そろそろアジトも暖房をつける時期か。それこそ風邪などをひかせたら凛子に何と言われるか。
    「……オマエも凛子に甘やかされてるだろ」
    「凛子が勝手に甘やかしてるだけ!」
    同じだよとぼやいてKKはお気に入りのケーキ屋へ向かう絵梨佳の後をゆっくりと追い始めた。
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    DONE #毎月25日はK暁デー
    【ジューンブライド】【ボーナス】【願い事】

    ※純度100%けあきです!!!
    ※ナチュラルに全員生きています
    白いタキシード姿の若い男が赤い絨毯に片膝をつき恭しく目の前の人の左手を掬い上げる。
    「僕と結婚してください」
    普段は柔和な印象を受ける目は真剣な色で己の指先を見つめている。シンプルだが決して安物ではないプラチナリングはステンドグラスから差す陽を受け一段と光輝いて見える。それがゆっくりと慎重に左手薬指に納められる。サイズもピッタリだ。秘かに安堵する息を飲み込んでセットした髪が崩れぬよう気を遣いながら愛する人の顔を見上げる。
    指輪と同じように陽光を背に受け輝くその人はしっかりとした声で応えた。
    「いや、何でオレがプロポーズされる側なんだよ」

    このチャペルはとある観光地のホテルに併設されたもので大々的に結婚式をするよりもブライドフォトを撮る場所である。勿論ここでプロポーズをする恋人たちもいて、ホテルスタッフは翌年の予約を楽しみにしていたのだが数ヵ月前から『このチャペルでプロポーズすると不幸が起こる』という噂がまことしやかに囁かれるようになった。『このチャペルでプロポーズすると破局する』という噂ならデートスポットでよくある嫌なタイプの通過儀礼のようなものではね除けようと思うのだが『不幸が起こる』という文言が気にかかった。しかも実際に『事故に合った』『病気が見つかった』といった実例も挙がるのだから噂は信憑性を増してしまい終いには『あのチャペルにはプロポーズして結婚間近で死んだ霊がいる』とインターネットに書き込みがされた。
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