Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    住めば都

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 40

    住めば都

    ☆quiet follow

    あくねこ、ハナマル夢。
    飄々として掴みどころのないハナマルを掴みたい主様の話。

    今日のログストを読んで思ったことを書きなぐっただけ。捏造と妄想100%。解釈違いだったらそっと閉じてください。

    #あくねこ夢
    cats-eyeDream
    #aknk夢
    #aknkプラス
    aknkPlus
    #ハナマル

    つかまえた「おーい、主様?」
     思考の大海を漂っていた悪魔執事の主は、本日の担当を務めるカワカミ・ハナマルの呼びかけで我に返った。視界いっぱいに整った顔が飛び込んできて、彼女は思わず背を仰け反らせる。
     こんなに近くまで来られても気づかなかったのかと、女は内心、自分自身に呆れてしまった。考え事に没頭すると周りが見えなくなってしまうのは、彼女の昔からの悪癖だ。しかしさすがに、ここまで近づかれても気がつかないというのは、今までになかった。
     それだけこの屋敷が安心できる場所で、気を抜いて過ごしているということなのだろう。それがいいことなのか、悪いことなのかはさておき。
    「主様ってば、このハナマル様が一緒にいるっていうのに、ほか事に浮気か〜? まったく、妬けちまうねえ」
     ハナマルは、からかうようなセリフをニヤニヤした表情で言う。けれどそのくせ、瞳には不調を疑う心配そうな色を浮かべているのだから、器用なものだ。
    「考えてたのは、ハナマルのことだよ」
    「え……俺?」
    「そう。……カワカミ・ハナマルという人間は、飄々としていて掴みどころがないように見えるけれど、それはもしかしたら、誰にも掴まえられないように、あえてそうしているのかもしれないなあって」
     女の述懐を聞いて、ハナマルはなんとも言えない表情を浮かべた。そういう反応こそ、彼女に先述の感慨を抱かせた要因にほかならないのだが、そうとは知らない彼は、知らず知らず主人の推論の根拠を強化してしまう。
     とぼけて、ぼやかして。そうして人物の輪郭を曖昧にしようとしているから、本質を言い当てられると戸惑ってしまうのではないのか。
    「あなたは、喪う辛さや痛みを知っているひとだから。自分が死んでしまったとき、喪失感で苦しむひとがいなくて済むように、そういうふうにしているのかなあって考えてたの」
    「……もし、そうだとしたら。主様は、どうするんだ?」
     ずるい切り返しだなと思って、女は微笑んだ。肯定も否定もしない。相手に言質を与えない返答は、話の本質を煙に巻くことに慣れた人間のそれだ。
    「私はねえ……もしもそうなら、私だけは、あなたを掴まえておきたいな」
     悪魔との契約を終え、屋敷に帰ってきたハナマルは、女を指して「最初で最後の主様だ」と言った。死ぬまで守る、とも。どうすれば彼の決意に報いることができるだろうかと、考えない日はなかった。彼女はずっと探していた答えを、ようやく見つけた気分だった。
    「そ、れは……随分とまあ、熱烈だな。まるでプロポーズみたいだ」
     思いもよらない捉え方をされて、女は少しだけ焦った。だが、それを表に出してはハナマルの思う壷であると知っていたから、平静を貫く。
     慌てず騒がず、冷静に。そうでなければ、せっかく掴みかけた輪郭が、また霧の向こうへ消えてしまう。
    「でも、そうだな……」
     女の虚勢は、どうやら成功したようだった。ハナマルは、降参だとばかりに肩を落として、小さく呟く。
    「主様になら、いいのかもな。あんたになら、俺は……掴まっちまっても、いいよ」
    「ハナマル……」
     うん、と一つ頷いて、女は手を伸ばした。白の手袋に包まれたハナマルの片手を、両手でぎゅっと掴む。
    「ふふ、掴まえた」
    「ああ。……そのままずっと、掴まえといてくれ」
     言いながら、空いた手を主人の両手に重ねるのだから、ハナマルのほうだって、彼女の元を離れるつもりは毛頭ないのだ。
     誰にも見せたがらないハナマルという人物の本質を、確かに理解すること。そのせいで、いつか訪れる別れの日に、喪失感に苛まれるとしても、甘んじて受け入れよう。手袋越しに大きな手の温度を感じながら、女はそう思った。
     なぜならそれは――この世で唯一、ハナマルが女だけに許した、特別なのだから。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💚🙏💚💚😭💯😍
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    住めば都

    DONEあくねこ、ルカス夢。
    いつもドキドキさせられて悔しい主様が、意趣返しのつもりで「ルカスは冗談ばっかり」と返したら、実は全部本気の本心だったと暴露される話。

    交渉係を務めて長い男が、自分の思いに振り回されて本音を隠せず、苦し紛れに冗談だよって見え見えの誤魔化し方しかできないのめちゃくちゃ萌えるなと思うなどしました
    いっそ全部、冗談にしてしまえたら 目の覚めるような美人ではない。愛嬌があるわけでも、聴衆を沸かせる話術を持つわけでもない。
     至って普通。どこにでもいそうな、地味で目立たないタイプ。――それが私だ。
     おおよそ三十年かけて築き上げた自己認識は、異世界で出会ったイケメン執事たちに「主様」と呼ばれ大切にされたところで、簡単に揺らぐようなものではない。
    「フフ、主様といられる時間は、本当に幸せです♪ この時間が、永遠に続けばいいのになあ……」
    「はいはい。全く……ルカスったら、冗談ばっかり言うんだから」
     上機嫌に微笑む担当執事を、私は半眼で睨みつけた。
     ルカスとアモンは、口説くようなセリフをよく言ってくる。恋愛経験の少ない私はそのたび顔を赤くしてドギマギしてしまうのだが、彼らの思惑どおりに翻弄されるのを、最近は悔しいと感じるようになっていた。
    1884

    住めば都

    DOODLEあくねこ。ナックとハンバーグの話。友情出演、ロノとテディ。
    執事たちの話題に上がるだけですが、美味しいもの大好き自称食いしん坊の女性主様がいます。
    後日、お礼を伝えられた主様は「私が食べたかっただけだから」と苦笑したそうです。

    お肉が苦手なナックに豆腐ハンバーグとか大根ステーキとか食べさせてあげたい気持ちで書きました。
    美味しいは正義 今日に夕食のメニューは、ハンバーグだ。
     食堂に向かう道すがらで会ったテディが、鼻歌混じりで嬉しそうに言うのを聞いて、ナックは落胆の気持ちを曖昧な笑顔で濁した。
     ナックは肉全般が苦手だ。メインが肉料理の日は食べられるものが少なく、空腹のまま夜を過ごすことも多い。
     だが、ハンバーグを心から楽しみにしているらしい同僚に、それを伝えることは憚られた。食事は日々の楽しみだ。テディには心置きなく、好物を味わってほしい。
     食事の時間は一応決まっているが、執事たちは全員揃って食事を取るわけではない。一階や地下の執事たちはそろって食べることが多いようだが。
     決められた時間内に厨房へ顔を出し、調理担当に、食事に来たことを告げる。そうして、温かい料理を配膳してもらうのだ。
    2130

    住めば都

    MEMO2023クリスマスの思い出を見た感想。
    とりあえずロノ、フェネス、アモン、ミヤジ、ユーハン、ハナマルの話をしている
    執事たちが抱く主様への思いについて現時点で、あるじさまへの感情が一番純粋なのはロノかなという気がした。
    クリスマスツリーの天辺の星に主様をたとえて、でもそこにいるのは自分だけじゃなくて、屋敷のみんなも一緒でさ。
    主様と執事のみんながいるデビルズパレスを愛してるんだなあということがとてもよく伝わってきて、メインストのあれこれを考えると心が痛い。ロノの感情と愛情が純粋でつらい(つらい)

    なぜロノの贈り物にこんなに純粋さを感じているかというと。
    手元に残るものを贈っている面々は、そもそも根底に「自分の贈ったものを大切に持っていてほしい」という思いがあるはずで、贈った時点である意味主様からの見返りを求めているのと同じだと思うんですよね。
    ただ、消え物にするか否かは思いの重さだけでなくて、執事たちの自分への自信のなさとか、相手に求めることへの拒否感とか、なにに重きを置くかの価値観とか、いろいろあると思うので、消え物を選んだ執事がみんなロノほど純粋な気持ちではいないんだろうなと思っている。
    1511

    related works

    住めば都

    DONEあくねこ、ハナマル夢(?)
    ※本編2.5章、水龍の唄、ワインフェスティバルの内容に触れています。
    時系列的にはワインフェスティバル8話のあと。イベストを読み返していて感じたことをこねこねしました。捏造過多です。
    独白なので夢と言っていいものかわかりませんが、考えているのは主様のことなので一応夢ということにしておきたい。
    ないものねだり 宛てがわれた宿の一室でベッドに身を横たえたハナマルは、酒精が入ったわりに冴えてしまった目で、ぼうっと天井を眺めた。ついと利き手を天に伸ばす。緩く拳を握ると、掴んでおきたかった大事なものの記憶が脳裏を駆け抜けた。
     感傷的な気分になっているのは、ルカスを相手に過去の話をしたからだろう。まさか中央の大地に、燃え尽きた郷里のことを知っている人間がいるとは思わなかった。
    「百年経てば、か……」
     刺青を消したいと相談したハナマルに、刻まれた印は消えずとも人々の記憶のほうが風化すると、ルカスは言った。確かにそうだとハナマルも思った。
     だが、背に負った龍の意味を知るものがいなくなるのにそれだけ年月がかかるのだとすれば、彼が唯一と定めた主人がハナマルの出自を知る日が、いずれやってくるかもしれない。
    1326

    recommended works