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    住めば都

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    住めば都

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    #aknk版深夜の創作一本勝負 よりお題をお借りしました。
    「綺麗になったね」ベリアン夢。恋人設定でいちゃいちゃしてます。
    恋をすると綺麗になるよね、という話。

    #aknkプラス
    aknkPlus
    #あくねこ夢
    cats-eyeDream
    #aknk夢
    #ベリアン
    berean.

    あなたのおかげ 隣で作業をする女の横顔を眺めて、ベリアンは小さく感嘆の息をついた。
     普段、穏やかに笑みを湛えていることの多い顔は、真剣そのもの。手元の書物に落とされた瞳が、忙しなく文章を追っている。ゆらゆらと揺れるロウソクの火に照らされたその姿には、得も言われぬ美しさがあった。
    「……ベリアン?」
    「っ、はい」
     見つめていた横顔が、ベリアンのほうを向く。彼女はちょっと困ったように、眉尻を下げていた。
    「どうかなさいましたか?」
    「そういうわけじゃないけど……なんというか、あの……ちょっと、こっちを見すぎじゃない?」
     女はずいぶんと躊躇ってから、恥ずかしそうにもごもごと言った。どうやら、熱い視線を注いでいたことに気づかれていたらしい。
     ただのベリアン・クライアンとしてならば、その可愛らしい反応を微笑ましく思っていても構わないのだろう。だが、今は仕事中だ。執事として、主人が作業に集中できる環境を用意するのがベリアンの役目であるのに、かえって邪魔をしてしまったとは。
    「申し訳ありません。邪魔をするつもりはなかったのですが……作業に集中されている主様のお姿が、あまりに美しかったものですから」
     つい、視線を奪われてしまいました。ありのまま本心を伝えると、彼女は顔を赤く染め、俯いてしまう。
    「……主様」
     ベリアンは呼びかけて、長い髪の影に隠れてしまった頬を両手で包んだ。そうして傷つけぬようにそっと、彼女を上向かせる。
     再び顕になった女の顔は、羞恥で上気していた。ハッとするような艶を含んで見えて、ベリアンは思わずごくりと喉を鳴らす。
    「主様……お美しくなられましたね」
     ベリアンはうっとりとマゼンタの瞳を蕩けさせた。
     もとより、彼女は美しいひとだった。けれどそれは、溌剌とした健康的な美しさであり、あるいは、誠実な人柄から滲む穏やかな美しさだった。
     今の彼女は――それに加えて、蠱惑的に滴るような美しさを纏っている。腕の中に閉じ込めて、誰にも見せたくない。独り占めしたくなる美しさだ。
    「自分ではよくわからないよ。でも……もし私が前より綺麗になっているとしたら。それは、ベリアンのおかげだと思う」
    「そう、でしょうか」
    「そうだよ」
     女には確信があるらしく、きっぱりと断言した。今度はベリアンがよくわからないと首を傾げる番だ。
     担当執事として、彼女が規則正しい生活を送れるようサポートを行ってきたという自負はある。だが美容面でであれば、マナー指導係であるベリアンより、フルーレやフェネスのほうが貢献しているのではないか。
    「こっちでどうかは知らないけど。向こうではね、恋をすると女性は綺麗になるって言われてるの」
     だからね、ベリアンのおかげ。そう言ってはにかんだ顔は、もはや屋敷の主人としての顔ではなかった。引きずられるようにして、ベリアンからも執事としての体面が剥がれ落ちる。
     ベリアンは女に顔を寄せた。甘えるように鼻先を擦り合わせ、彼女が目を閉じるのを待って唇を重ねる。
    「――様」
    「……うん」
     普段は呼ばない名前を呼ぶと、彼女は花が綻ぶように微笑んだ。
     本当に――なんと美しいのだろう。その引力に抗わず、ベリアンは美しいひとをその腕で閉じ込めた。腕の中で、ふふ、と幸福そうな吐息が揺れる。
     途中になってしまった作業のことが一瞬頭を掠めたけれど、ベリアンは腕を解く気になれなかった。いっそう腕に力を込めて、再びキスをねだる。すっかり恋人の顔になった女が拒まないのをいいことに、ベリアンは彼女の顔中に、雨のようにキスを降らせる。
     彼女の美しさを引き出したのが、真実ベリアンだと言うのなら。このひとときくらいは、己が独り占めしたって構わないだろう。そんな、都合の良い言い訳を考えながら。
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    住めば都

    DONEあくねこ、ルカス夢。
    いつもドキドキさせられて悔しい主様が、意趣返しのつもりで「ルカスは冗談ばっかり」と返したら、実は全部本気の本心だったと暴露される話。

    交渉係を務めて長い男が、自分の思いに振り回されて本音を隠せず、苦し紛れに冗談だよって見え見えの誤魔化し方しかできないのめちゃくちゃ萌えるなと思うなどしました
    いっそ全部、冗談にしてしまえたら 目の覚めるような美人ではない。愛嬌があるわけでも、聴衆を沸かせる話術を持つわけでもない。
     至って普通。どこにでもいそうな、地味で目立たないタイプ。――それが私だ。
     おおよそ三十年かけて築き上げた自己認識は、異世界で出会ったイケメン執事たちに「主様」と呼ばれ大切にされたところで、簡単に揺らぐようなものではない。
    「フフ、主様といられる時間は、本当に幸せです♪ この時間が、永遠に続けばいいのになあ……」
    「はいはい。全く……ルカスったら、冗談ばっかり言うんだから」
     上機嫌に微笑む担当執事を、私は半眼で睨みつけた。
     ルカスとアモンは、口説くようなセリフをよく言ってくる。恋愛経験の少ない私はそのたび顔を赤くしてドギマギしてしまうのだが、彼らの思惑どおりに翻弄されるのを、最近は悔しいと感じるようになっていた。
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    住めば都

    DOODLEあくねこ。ナックとハンバーグの話。友情出演、ロノとテディ。
    執事たちの話題に上がるだけですが、美味しいもの大好き自称食いしん坊の女性主様がいます。
    後日、お礼を伝えられた主様は「私が食べたかっただけだから」と苦笑したそうです。

    お肉が苦手なナックに豆腐ハンバーグとか大根ステーキとか食べさせてあげたい気持ちで書きました。
    美味しいは正義 今日に夕食のメニューは、ハンバーグだ。
     食堂に向かう道すがらで会ったテディが、鼻歌混じりで嬉しそうに言うのを聞いて、ナックは落胆の気持ちを曖昧な笑顔で濁した。
     ナックは肉全般が苦手だ。メインが肉料理の日は食べられるものが少なく、空腹のまま夜を過ごすことも多い。
     だが、ハンバーグを心から楽しみにしているらしい同僚に、それを伝えることは憚られた。食事は日々の楽しみだ。テディには心置きなく、好物を味わってほしい。
     食事の時間は一応決まっているが、執事たちは全員揃って食事を取るわけではない。一階や地下の執事たちはそろって食べることが多いようだが。
     決められた時間内に厨房へ顔を出し、調理担当に、食事に来たことを告げる。そうして、温かい料理を配膳してもらうのだ。
    2130

    住めば都

    MEMO2023クリスマスの思い出を見た感想。
    とりあえずロノ、フェネス、アモン、ミヤジ、ユーハン、ハナマルの話をしている
    執事たちが抱く主様への思いについて現時点で、あるじさまへの感情が一番純粋なのはロノかなという気がした。
    クリスマスツリーの天辺の星に主様をたとえて、でもそこにいるのは自分だけじゃなくて、屋敷のみんなも一緒でさ。
    主様と執事のみんながいるデビルズパレスを愛してるんだなあということがとてもよく伝わってきて、メインストのあれこれを考えると心が痛い。ロノの感情と愛情が純粋でつらい(つらい)

    なぜロノの贈り物にこんなに純粋さを感じているかというと。
    手元に残るものを贈っている面々は、そもそも根底に「自分の贈ったものを大切に持っていてほしい」という思いがあるはずで、贈った時点である意味主様からの見返りを求めているのと同じだと思うんですよね。
    ただ、消え物にするか否かは思いの重さだけでなくて、執事たちの自分への自信のなさとか、相手に求めることへの拒否感とか、なにに重きを置くかの価値観とか、いろいろあると思うので、消え物を選んだ執事がみんなロノほど純粋な気持ちではいないんだろうなと思っている。
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    住めば都

    DONEあくねこ、ハウレス夢
    本編2章の直後くらいに、セラフィムの騙った主様の処刑を夢に見るハウレスの話。

    始めたばっかりですが、生きてるだけで褒めてくれるあくねこくんにズブズブです。
    本編は3章1部まで、イベストは全て読了、未所持カードばっかりだし執事たちのレベルもまだまだなので解釈が甘いところも多いかと思いますが、薄目でご覧いただければと思います( ˇωˇ )
    悪夢のしりぞけ方 ハウレスはエスポワールの街中に佇んで、呆然と雑踏を眺めていた。
     多くの商店が軒を列ねる大通りは、日頃から多くの人で賑わっている。幅広の通りはいつものように人でごった返していたが、いつもと違い、皆が同じほうを目指して歩いているのが奇妙だった。
     なにかあるのだろうか。興味を引かれたハウレスは、足を踏み出して雑踏の中へ入った。途端に、周囲の興奮したような囁き声に取り囲まれる。
    「火あぶりだってさ」
    「当然の方法だよ。なにしろ奴は人類の敵なんだから」
    「天使と通じてたなんて、とんでもない悪女だな」
    「許せないよ。死んで当然だ」
     虫の羽音のような、不快なさざめきが寄せては返す。悪意と恐怖、それから独善的な正義。それらを煮つめて凝らせたような感情が、人々の声や表情に塗りたくられていた。
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    住めば都

    DONE #aknk版深夜の創作一本勝負 よりお題をお借りしています。
    「おかえり」ユーハン夢。
    予定の時間を過ぎても帰ってこない主様を待ち続けるユーハンの話。

    翌朝、ほかの執事からもユーハンがずっと待ってたと話を聞いて、主様は某ワンちゃんを思い浮かべたとかいないとか。
    待てと言うならいつまでも 主人の帰宅時刻五分前になったのを確認し、ユーハンは出迎えのため本邸の玄関へ向かった。
     今朝、主人は「帰宅はいつもどおりだと思う」と告げ出掛けていった。彼女が「いつもどおり」というときは、十分から二十分くらいの誤差はあるものの、だいたいこのくらいの時間に帰ってくる。
     ユーハンは姿勢よく立ったまま、主人の帰宅を待った。だが、十分経っても、二十分経っても、彼女が戻ってくる気配はない。尤も、不思議な指環の力で二つの世界を行き来する彼女の帰還は、予兆も気配もなく、突然であるのが常なのだけれど。
     そのうち帰ってくるだろうと思っていたユーハンだったが、予定の時間から一時間が経って、さすがに不安を感じた。
     事件や事故に巻き込まれたのではないか。突然の病気や怪我で、身動きが取れなくなっているのかもしれない。彼女を狙う不届きな輩に襲われて、恐ろしい目に遭っていたとしたら。
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    住めば都

    DONE #aknk版深夜の創作一本勝負 よりお題をお借りしました
    「逃げてもいいんだよ」バスティン夢
    ※秋のホーム会話のネタバレを一部含みます
    向こうでいろいろあった主様が、バスティンと馬に乗っているうちに元気を取り戻す話

    主様といるときか、動物を相手しているときだけ、柔らかい空気を纏うバスティンに夢を見ています。彼は穏やかな表情の奥に激重感情を隠してるのがずるいですよね……
    安息の地を探して 天高く、馬肥ゆる秋。
     近頃の馬たちは元気いっぱいで、よく食べ、よく走り、よく眠る。前後の話の流れは忘れたが、先日バスティンは主人にそんな話をした。
     彼女がいたく興味を引かれた様子だったので、ならばとバスティンは提案したのだ。次の休日に、馬たちの様子を見に来るか、と。
     それを聞いて、元より動物好きの主人は目を輝かせた。馬たちのストレスにならないのなら、触ったり乗ったりしてみたい。そう話す彼女はすでに楽しそうで、無表情が常のバスティンまで、つられて笑みを浮かべてしまうくらいだった。
     だというのに――これは一体、どうしたことだろう。
    「……主様」
    「あ……うん。ごめん、ちょっとボーっとしてた。せっかく時間を取ってくれてるのに、ごめんね。今度はちゃんと聞いてるから、もう一回説明してもらえる?」
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