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    住めば都

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    住めば都

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    本編4章(12/29配信分)のあと、主様の独白。ネタバレしかない。主様しか出てこない。

    本編読んで、私の感じたことをごちゃごちゃっとまとめました。今回和解できてよかったけど、それ以上にとてもこわかった。
    見張り台のところ、すごく良いシーンなのに、戦闘シーンの恐怖を引きずっていて「フラグを立てるのはやめなさいよ……」と思ってしまいました……

    #あくねこ
    badCat

    天秤を抱いて 見張り台から寝室へエスコートされ、まだ目元の赤いベリアンと、おやすみの挨拶を交わす。静かにドアが閉まったのを確認して、そこで顔から一切の表情が抜け落ちるのを感じた。
     ドッと疲れが押し寄せて、よろよろとその場にへたり込む。理由も分からないまま込み上げた涙が、頬を濡らした。震える喉に力を込めて、溢れそうな嗚咽を噛み殺す。
     胸の中で、頭の中で、いくつかの感情がめちゃめちゃに走り回っていた。
     よかった――一階の三人の蟠りがなくなって、元のように笑い合えるようになってよかった。
     こわかった――あんなに高いところから落ちて、ロノが死んでしまうかと思った。ベリアンも常になく感情的で、あのまま二度と会えなかったらどうしようと思って、こわかった。
     そして――私は無力だと、思い知らされた。悪魔の力を解放したあと、私はただ執事たちに守られて、隠れていただけだ。できたのは、震える体を押さえつけて、じっとしていることだけ。今と同じように。
     天使たちとの戦いには、多少だけれど慣れたつもりだった。別邸の三人と、知能天使の一人に遭遇したときは、命の危機だって感じた。あのときも相当こわかったけれど、でも、今回の比ではなかった。
     私は、死んではいけない。この世界で私だけが、悪魔執事たちの力を解放できるからだ。
     けれどそれは、言い換えれば、私の命と引き換えに、彼らを見捨てなければならない可能性があるということだ。家族のような彼らを、地獄と化した戦場に置いて、私一人だけでも生き延びなければならないということなのだ。
     ぎりぎりと奥歯が鳴る。手のひらにぎゅうぎゅうと爪がくい込んで、皮膚を食い破りそうだった。
    (……こわい)
     戦いを知らずに育った。戦争はあったけれど、過去か、遠い海の向こうのできごとでしかなかった。武器の扱いも知らない。調理器具か、工作の道具としてしか、刃物を扱ったことがない。
     こんな恐怖は、彼らに出会わなければ、知らずに済んだのだろう。
     ――指輪を引き抜いて、どこかに棄ててしまえば?
     元の生活に戻れる。平和な場所で生きていける。けれどそう考えるたび、弱い心は引き裂かれるような痛みを訴えた。保身と引き換えに見捨ててしまうには、私は彼らに深入りしすぎていた。
     こんなに無力で、弱くて、なにもできないのに。私が守るよ、だなんて、どの口が言うのだ。全く、自分で自分に呆れてしまう。しかし、あのときは真実そう思ったのだ。心からの言葉だった。
     永遠に等しい時間を、人類を守るために費やしてきたベリアン。彼のやさしい心を守るために、私にできることがあるなら、なんだってしたい、と。
     だって、私には彼の気持ちが理解できるから。長い間、ベレンさんと仲間の命を天秤に掛け続けてきた、ベリアンの気持ちが。
     天秤の片皿には、私の命が乗っている。いつか私も、大事な執事たちの命をもう片方に乗せなければならないときが来るのだろうか。
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    住めば都

    DONEあくねこ、ルカス夢。
    いつもドキドキさせられて悔しい主様が、意趣返しのつもりで「ルカスは冗談ばっかり」と返したら、実は全部本気の本心だったと暴露される話。

    交渉係を務めて長い男が、自分の思いに振り回されて本音を隠せず、苦し紛れに冗談だよって見え見えの誤魔化し方しかできないのめちゃくちゃ萌えるなと思うなどしました
    いっそ全部、冗談にしてしまえたら 目の覚めるような美人ではない。愛嬌があるわけでも、聴衆を沸かせる話術を持つわけでもない。
     至って普通。どこにでもいそうな、地味で目立たないタイプ。――それが私だ。
     おおよそ三十年かけて築き上げた自己認識は、異世界で出会ったイケメン執事たちに「主様」と呼ばれ大切にされたところで、簡単に揺らぐようなものではない。
    「フフ、主様といられる時間は、本当に幸せです♪ この時間が、永遠に続けばいいのになあ……」
    「はいはい。全く……ルカスったら、冗談ばっかり言うんだから」
     上機嫌に微笑む担当執事を、私は半眼で睨みつけた。
     ルカスとアモンは、口説くようなセリフをよく言ってくる。恋愛経験の少ない私はそのたび顔を赤くしてドギマギしてしまうのだが、彼らの思惑どおりに翻弄されるのを、最近は悔しいと感じるようになっていた。
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    住めば都

    DOODLEあくねこ。ナックとハンバーグの話。友情出演、ロノとテディ。
    執事たちの話題に上がるだけですが、美味しいもの大好き自称食いしん坊の女性主様がいます。
    後日、お礼を伝えられた主様は「私が食べたかっただけだから」と苦笑したそうです。

    お肉が苦手なナックに豆腐ハンバーグとか大根ステーキとか食べさせてあげたい気持ちで書きました。
    美味しいは正義 今日に夕食のメニューは、ハンバーグだ。
     食堂に向かう道すがらで会ったテディが、鼻歌混じりで嬉しそうに言うのを聞いて、ナックは落胆の気持ちを曖昧な笑顔で濁した。
     ナックは肉全般が苦手だ。メインが肉料理の日は食べられるものが少なく、空腹のまま夜を過ごすことも多い。
     だが、ハンバーグを心から楽しみにしているらしい同僚に、それを伝えることは憚られた。食事は日々の楽しみだ。テディには心置きなく、好物を味わってほしい。
     食事の時間は一応決まっているが、執事たちは全員揃って食事を取るわけではない。一階や地下の執事たちはそろって食べることが多いようだが。
     決められた時間内に厨房へ顔を出し、調理担当に、食事に来たことを告げる。そうして、温かい料理を配膳してもらうのだ。
    2130

    住めば都

    MEMO2023クリスマスの思い出を見た感想。
    とりあえずロノ、フェネス、アモン、ミヤジ、ユーハン、ハナマルの話をしている
    執事たちが抱く主様への思いについて現時点で、あるじさまへの感情が一番純粋なのはロノかなという気がした。
    クリスマスツリーの天辺の星に主様をたとえて、でもそこにいるのは自分だけじゃなくて、屋敷のみんなも一緒でさ。
    主様と執事のみんながいるデビルズパレスを愛してるんだなあということがとてもよく伝わってきて、メインストのあれこれを考えると心が痛い。ロノの感情と愛情が純粋でつらい(つらい)

    なぜロノの贈り物にこんなに純粋さを感じているかというと。
    手元に残るものを贈っている面々は、そもそも根底に「自分の贈ったものを大切に持っていてほしい」という思いがあるはずで、贈った時点である意味主様からの見返りを求めているのと同じだと思うんですよね。
    ただ、消え物にするか否かは思いの重さだけでなくて、執事たちの自分への自信のなさとか、相手に求めることへの拒否感とか、なにに重きを置くかの価値観とか、いろいろあると思うので、消え物を選んだ執事がみんなロノほど純粋な気持ちではいないんだろうなと思っている。
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