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    住めば都

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    住めば都

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    #aknk版深夜の創作一本勝負 より、お題をお借りしました
    「内緒にしようね」でハウレス夢
    主様がお土産を買ってくる話

    今日、カフェでチョコバナナケーキを食べながら、これたぶんハウレス好きだよなと思ったのを形にしました。おあつらえ向きにぴったりのお題があったので……

    #aknk夢
    #aknkプラス
    aknkPlus
    #ハウレス
    howles.

    甘やかなひみつ「ハウレス! グッドタイミングだよ!」
    いつもの時刻に屋敷へやってきた主人は、出迎えたハウレスの顔を見るなりそう言って親指を立てた。
    「寝室行ったら一旦あっちに戻るけど、すぐに帰ってくるから、コーヒーの用意をお願い。ポットで、カップは二つね!」
    そう言って、彼女は階段を駆け上がっていく。
    わけもわからぬまま、けれど主人の頼まれごとを放っておくわけにもいかない。ハウレスは言われたとおりにコーヒーを用意するべく、別邸にいるテディの元へ向かった。
    紅茶ならばハウレスだって、ベリアンには及ばずとも、それなりに入れられる。それは、執事として長い時間を過ごす中で、身につけた技術だ。
    だがコーヒーに関しては、最近勉強を始めたばかりで。コーヒー好きのテディが入れるものにはまだまだ敵わない。
    主人が、実は紅茶と同じくらいコーヒーも好んで飲むということが判明したのは、コーヒー党のテディが悪魔執事の仲間になって以来だった。

    「主様、いらっしゃいますか?」
    「どうぞ、入って」
    ポットにたっぷりのコーヒーと、カップとソーサーを二つずつ。ハウレスは指示されたとおりのものを携えて、主人の寝室を訪ねた。
    応答を待って、ドアを開ける。ハウレスを迎え入れた主人は部屋着に着替えて、すっかり寛いだ様子だ。
    「準備ありがとう! ……実はね、今日はハウレスにお土産を買ってきたんだよね」
    主人は声を潜めた。ハウレスも自然、彼女に倣って声のボリュームを落とす。
    「お土産、ですか?」
    「そう! 見て!」
    主人はテーブルに置いてあった白い箱を開いた。中に入っていたのは、チョコレートケーキだ。目を瞬かせるハウレスに、「チョコバナナケーキなんだよ」と弾んだ声がかかる。
    「今週頑張ったご褒美と思って、帰りに駅前のケーキ屋さんに寄ったんだけどさ。そしたらこれがあって、見た瞬間、ハウレスはこれ絶対好きだと思ったんだよねえ。ちょうど最後の二個だったから、買っちゃった」
    「俺がいただいて、よろしいのですか?」
    「もちろん。というか、そうじゃないと私が二個食べることになるし……」
    それはちょっとカロリー的に問題が……とっておくにも生菓子だし……と、主人はブツブツ呟いている。
    ハウレスは心のまま、笑みを浮かべた。
    「せっかくのご厚意ですから、ありがたく頂戴します。主様、ありがとうございます」
    「よかった! うん、どういたしまして」
    ハウレスはコーヒーをカップに注ぎ、主人の向かいに腰を下ろした。
    彼女はウキウキした様子で、ケーキを紙皿に取り分けている。添えられた小さなスプーンは透明で、手に乗せても重さが感じられないほど軽い。どちらも、あちらの世界から持ってきたもののようだった。
    「言ってくだされば、皿とカトラリーも用意しましたが……」
    「だめだよ。それだと二人でケーキ食べたのがみんなにばれちゃう。……本当は、全員分買えたらいいんだけど、それは金銭的に厳しいからさ。このお土産のことは、みんなには内緒ね」
    ケーキを包む透明なフィルムを剥がしていた主人は、そう言うと唇の前に人差し指を立てた。
    ――主様と、二人だけの秘密。
    与えられたそれがあまりに甘美で、ハウレスは利き手で咄嗟に口元を覆った。執事として、だらしなく緩んだ唇を主人に見せるわけにはいかない。
    「うん? どうかした?」
    「いえ、その……申し訳ありません。今ちょっと、主様にお見せできる顔ではないので……」
    「あはは! そんなに喜んでくれたなら、買ってきた甲斐があったなあ」
    楽しげに笑った主人が、透明のスプーンですくったケーキを口へ運ぶ。それからコーヒーを一口。花のかんばせが、幸福そうにとろける。
    「すごく美味しいよ! ハウレスも、ほら。クリームが溶けちゃう前に!」
    「は、はい。いただきます」
    小声で促され、ハウレスも慎重にスプーンを操る。使い慣れた金属製のものと違い、無色のカトラリーは力を込めたらすぐ壊れてしまいそうだ。
    なんとか一欠片、口へと運ぶ。瞬間、濃厚なチョコ味のクリームとスポンジから、ナッツと洋酒の香りが広がった。そこに、バナナのまろやかな甘さが加わる。コーヒーとの相性も抜群だ。
    「美味しいですね!」
    「ね! 美味しいね」
    和やかに会話を交わしながら、二人は夜のティータイムを楽しんだ。
    ケーキと、大切なひとと過ごす時間とを味わいながら、とても贅沢な時間だなと、ハウレスは独り言ちた。
    執事室へ戻ったら、この幸福なできごとを余すことなく日記に残そう、と。そんなことを考えていた。


    ハウレスの日記より抜粋
    『今日は、主様がお土産を買ってきてくださった。あちらのケーキ屋で見つけたという、チョコとバナナのケーキだ。
    帰ってくるなり、コーヒーを二人分用意しろと言われたときは、何事かと思ったが……とても贅沢で、幸せな時間を過ごすことができた。
    ケーキももちろん嬉しかったのだが……俺は正直、それ以上に、主様があのケーキを見て俺のことを思い出してくださったということが嬉しかった。
    俺の好きなものを覚えてくださっている、というのもそうだが……あちらの世界でふとした瞬間に思い出していただけるほど、あの方の心の中に自分がいる、ということが、たまらなく……もちろん、執事としてはあまり相応しくない感情だということは、わかっているのだが……
    他の執事たちには内緒、というのも……あまりに甘美な響きで思わず顔がにやけてしまった。主様が、ケーキに喜んでいると捉えてくださって助かった。
    秘密、というのは、抱えているのが苦しいものだとばかり思っていたが……こんなに幸せな秘密なら大歓迎だ。
    だが、俺はあまり隠し事が上手くないからな……せっかくの主様と二人だけの秘密が、他の執事たちにバレないように気をつけなければ……』
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    住めば都

    DONEあくねこ、ルカス夢。
    いつもドキドキさせられて悔しい主様が、意趣返しのつもりで「ルカスは冗談ばっかり」と返したら、実は全部本気の本心だったと暴露される話。

    交渉係を務めて長い男が、自分の思いに振り回されて本音を隠せず、苦し紛れに冗談だよって見え見えの誤魔化し方しかできないのめちゃくちゃ萌えるなと思うなどしました
    いっそ全部、冗談にしてしまえたら 目の覚めるような美人ではない。愛嬌があるわけでも、聴衆を沸かせる話術を持つわけでもない。
     至って普通。どこにでもいそうな、地味で目立たないタイプ。――それが私だ。
     おおよそ三十年かけて築き上げた自己認識は、異世界で出会ったイケメン執事たちに「主様」と呼ばれ大切にされたところで、簡単に揺らぐようなものではない。
    「フフ、主様といられる時間は、本当に幸せです♪ この時間が、永遠に続けばいいのになあ……」
    「はいはい。全く……ルカスったら、冗談ばっかり言うんだから」
     上機嫌に微笑む担当執事を、私は半眼で睨みつけた。
     ルカスとアモンは、口説くようなセリフをよく言ってくる。恋愛経験の少ない私はそのたび顔を赤くしてドギマギしてしまうのだが、彼らの思惑どおりに翻弄されるのを、最近は悔しいと感じるようになっていた。
    1884

    住めば都

    DOODLEあくねこ。ナックとハンバーグの話。友情出演、ロノとテディ。
    執事たちの話題に上がるだけですが、美味しいもの大好き自称食いしん坊の女性主様がいます。
    後日、お礼を伝えられた主様は「私が食べたかっただけだから」と苦笑したそうです。

    お肉が苦手なナックに豆腐ハンバーグとか大根ステーキとか食べさせてあげたい気持ちで書きました。
    美味しいは正義 今日に夕食のメニューは、ハンバーグだ。
     食堂に向かう道すがらで会ったテディが、鼻歌混じりで嬉しそうに言うのを聞いて、ナックは落胆の気持ちを曖昧な笑顔で濁した。
     ナックは肉全般が苦手だ。メインが肉料理の日は食べられるものが少なく、空腹のまま夜を過ごすことも多い。
     だが、ハンバーグを心から楽しみにしているらしい同僚に、それを伝えることは憚られた。食事は日々の楽しみだ。テディには心置きなく、好物を味わってほしい。
     食事の時間は一応決まっているが、執事たちは全員揃って食事を取るわけではない。一階や地下の執事たちはそろって食べることが多いようだが。
     決められた時間内に厨房へ顔を出し、調理担当に、食事に来たことを告げる。そうして、温かい料理を配膳してもらうのだ。
    2130

    住めば都

    MEMO2023クリスマスの思い出を見た感想。
    とりあえずロノ、フェネス、アモン、ミヤジ、ユーハン、ハナマルの話をしている
    執事たちが抱く主様への思いについて現時点で、あるじさまへの感情が一番純粋なのはロノかなという気がした。
    クリスマスツリーの天辺の星に主様をたとえて、でもそこにいるのは自分だけじゃなくて、屋敷のみんなも一緒でさ。
    主様と執事のみんながいるデビルズパレスを愛してるんだなあということがとてもよく伝わってきて、メインストのあれこれを考えると心が痛い。ロノの感情と愛情が純粋でつらい(つらい)

    なぜロノの贈り物にこんなに純粋さを感じているかというと。
    手元に残るものを贈っている面々は、そもそも根底に「自分の贈ったものを大切に持っていてほしい」という思いがあるはずで、贈った時点である意味主様からの見返りを求めているのと同じだと思うんですよね。
    ただ、消え物にするか否かは思いの重さだけでなくて、執事たちの自分への自信のなさとか、相手に求めることへの拒否感とか、なにに重きを置くかの価値観とか、いろいろあると思うので、消え物を選んだ執事がみんなロノほど純粋な気持ちではいないんだろうなと思っている。
    1511

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    住めば都

    DONE #aknk版深夜の創作一本勝負 よりお題をお借りしました
    「逃げてもいいんだよ」バスティン夢
    ※秋のホーム会話のネタバレを一部含みます
    向こうでいろいろあった主様が、バスティンと馬に乗っているうちに元気を取り戻す話

    主様といるときか、動物を相手しているときだけ、柔らかい空気を纏うバスティンに夢を見ています。彼は穏やかな表情の奥に激重感情を隠してるのがずるいですよね……
    安息の地を探して 天高く、馬肥ゆる秋。
     近頃の馬たちは元気いっぱいで、よく食べ、よく走り、よく眠る。前後の話の流れは忘れたが、先日バスティンは主人にそんな話をした。
     彼女がいたく興味を引かれた様子だったので、ならばとバスティンは提案したのだ。次の休日に、馬たちの様子を見に来るか、と。
     それを聞いて、元より動物好きの主人は目を輝かせた。馬たちのストレスにならないのなら、触ったり乗ったりしてみたい。そう話す彼女はすでに楽しそうで、無表情が常のバスティンまで、つられて笑みを浮かべてしまうくらいだった。
     だというのに――これは一体、どうしたことだろう。
    「……主様」
    「あ……うん。ごめん、ちょっとボーっとしてた。せっかく時間を取ってくれてるのに、ごめんね。今度はちゃんと聞いてるから、もう一回説明してもらえる?」
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    住めば都

    DONE #aknk版深夜の創作一本勝負 よりお題をお借りしています。
    「おかえり」ユーハン夢。
    予定の時間を過ぎても帰ってこない主様を待ち続けるユーハンの話。

    翌朝、ほかの執事からもユーハンがずっと待ってたと話を聞いて、主様は某ワンちゃんを思い浮かべたとかいないとか。
    待てと言うならいつまでも 主人の帰宅時刻五分前になったのを確認し、ユーハンは出迎えのため本邸の玄関へ向かった。
     今朝、主人は「帰宅はいつもどおりだと思う」と告げ出掛けていった。彼女が「いつもどおり」というときは、十分から二十分くらいの誤差はあるものの、だいたいこのくらいの時間に帰ってくる。
     ユーハンは姿勢よく立ったまま、主人の帰宅を待った。だが、十分経っても、二十分経っても、彼女が戻ってくる気配はない。尤も、不思議な指環の力で二つの世界を行き来する彼女の帰還は、予兆も気配もなく、突然であるのが常なのだけれど。
     そのうち帰ってくるだろうと思っていたユーハンだったが、予定の時間から一時間が経って、さすがに不安を感じた。
     事件や事故に巻き込まれたのではないか。突然の病気や怪我で、身動きが取れなくなっているのかもしれない。彼女を狙う不届きな輩に襲われて、恐ろしい目に遭っていたとしたら。
    3615

    住めば都

    DONEあくねこ、ハウレス夢
    本編2章の直後くらいに、セラフィムの騙った主様の処刑を夢に見るハウレスの話。

    始めたばっかりですが、生きてるだけで褒めてくれるあくねこくんにズブズブです。
    本編は3章1部まで、イベストは全て読了、未所持カードばっかりだし執事たちのレベルもまだまだなので解釈が甘いところも多いかと思いますが、薄目でご覧いただければと思います( ˇωˇ )
    悪夢のしりぞけ方 ハウレスはエスポワールの街中に佇んで、呆然と雑踏を眺めていた。
     多くの商店が軒を列ねる大通りは、日頃から多くの人で賑わっている。幅広の通りはいつものように人でごった返していたが、いつもと違い、皆が同じほうを目指して歩いているのが奇妙だった。
     なにかあるのだろうか。興味を引かれたハウレスは、足を踏み出して雑踏の中へ入った。途端に、周囲の興奮したような囁き声に取り囲まれる。
    「火あぶりだってさ」
    「当然の方法だよ。なにしろ奴は人類の敵なんだから」
    「天使と通じてたなんて、とんでもない悪女だな」
    「許せないよ。死んで当然だ」
     虫の羽音のような、不快なさざめきが寄せては返す。悪意と恐怖、それから独善的な正義。それらを煮つめて凝らせたような感情が、人々の声や表情に塗りたくられていた。
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