「今日が満月って知ってたか?」
夜の散歩から帰ってきたふーふーちゃんが、玄関で出迎えた俺にハグをするなり唐突な質問を投げかけてきた。
「ううん、だからこんなに外が明るかったんだ」
「あぁ、よく晴れてるから余計に」
満足したのか俺の身体を離してドッゴの脚を拭くふーふーちゃんの横を擦り抜けて空を見上げれば、そこにはまんまるのお月様が浮かんでいた。
「どうりで星の声が静かだと思った」
一等星を除いて月明かりに姿を隠している星々は、まるで後ろに引っ込んでこちらをそっと見ているかのようだった。
「…浮奇には星の声が聞こえるのか?」
目を丸くしてこちらを見てくるふーふーちゃんに、俺は首を傾げた。
「言ってなかったっけ」
「初めて聞いたぞ」
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