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    まどろみ

    @mdrmnmr00

    皆様の七灰作品が見たいので書いてます

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    まどろみ

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    七灰。運命の相手が見える灰(予知夢ver)

    #七灰

    追加された運命は灰にはわからない灰原は恋をすると、好きな人の運命の相手を夢に見る。そんな自分の特性を思い出したのは、七海への恋心を自覚した次の日の朝だった。
    「七海、運命の相手多いな…」
    寝起きの良い灰原は冴えた頭で夢に出た人物たちを思い出す。パーカーを着た学生に、ニット帽が特徴的なお兄さん、パン屋のお姉さんに、五条さんや伊地知くんまでいたのは驚いた。
    運命は一つじゃない。どれを選ぶかは七海の自由。だけど…。
    「七海の運命に、僕はいないんだ…」
    芽が出たと同時に枯れた恋は、大雨が降っても流れそうになかった。

    ***

    「夏油さん!お疲れ様です!」
    「おつかれ…って灰原!?どうした!?」
    水分補給と気分転換を兼ねて部屋の外に出たのが失敗だった。自動販売機の横のスペースに佇む夏油さんと遭遇してしまう。
    「こんなに泣き腫らして…何があった?」
    目元に手を当ててこちらを見る瞳は慈愛に満ちている。その優しさに思わず口を開いてしまった。
    「失恋しました…」
    「…もしかして七海に?」
    「はい…」
    自覚したのは昨日だというのに、夏油さんにはお見通しだったようだ。
    コーラを奢ってもらい隣に座る。ぽつりぽつりと七海への気持ちを吐露しながら、今の悩みを打ち明けた。
    「明日二人で合同任務なんで、それまでに気持ちを持ち直さなきゃいけないんですけどうまくいかなくて…」
    「…私の任務と交換しないか?」
    「え?」
    思わぬ提案に聞き返してしまったが、夏油さんは『そうしよう』と携帯を取り出し算段を取り始めた。
    「明日の任務は七海と一緒に私が行こう。大丈夫。私の任務はどちらかといえば現地の人との交渉メインで呪霊自体はそれほど強くないから」
    「ありがとうございます」
    本当はそんな手間をかけさせるわけにはいかないのだが、今は甘えることにした。

    ***

    夏油の代わりに行った任務では呪霊が見える双子を保護した。一方七海と行くはずだった任務は一級相当だったらしく、交代してもらったことが功を奏す。けれどその結果夏油さんは術師も非術師もダメだとなってしまい、とある宗教団体を乗っ取り呪霊の見える子供の保護養育活動をするため引きこもってしまった。灰原もそれに追随し、あっという間に十年が経過した。

    ***

    乙骨憂太が保護されたことにより夏油や灰原に援助要請が出された。そうして十年ぶりに、高専の人間と再び顔を合わせることになる。
    「久しぶり七海、大人になったね」
    「…灰原は昔と変わらないな」
    「子供っぽいってこと?」
    会う前は緊張したものの軽口を叩けたことに安心する。だが実際に会うことで彼への恋慕が消えていないことに気づいてしまった。しかも、話をしていくうちに七海が結婚もお付き合いも誰ともしていないということが発覚する。
    「なんで???」
    「なんでって…」
    あれだけ運命の相手がいるんだから一人くらいは…と思うのだが、硬派な性格のせいだろうか、いかつい見た目のせいだろうか。
    なんにせよ、灰原にとっては一大事。
    「僕が運命の人に七海を推薦してくるよ!」

    ***

    一人目 五条
    「夏油さんに悪いかな…」
    「私は別にかまわないよ」
    「いやかまえよ、泣くぞ」
    再会を果たしたばかりの先輩方の仲を裂くわけにはいかないので断念した。

    二人目 猪野
    「七海サン?尊敬してるし頼りにしてますけど恋人はないです!はい!」
    「そうなの?」
    「憧れと恋は別っすよ!」
    「そんなもん?」
    「そんなもんです」
    普通に断られてしまった。

    三人目 虎杖
    「ナナミン?ないないない」
    「ケツもタッパもでかいよ?」
    「でも男だよ?」
    「男だね」
    「同じ金髪でもジェニファー・ローレンスとナナミンじゃ似ても似つかないよ」
    「そっかあ…」
    やっぱり断られてしまった。

    四人目 パン屋のお姉さん
    「先月結婚したんです」
    「おめでとうございます!お幸せに!」
    話す前に終わってしまった。米パンは美味しかった。

    五人目 伊地知
    「勘弁してください」
    土下座をされてしまった。

    番外編 禪院直毘人
    「妻と子供がいるんだが…」
    「デスヨネー」
    不倫ダメ、絶対。

    ***

    「おかしい…」
    「何がだ」
    高専の校舎内で頭を悩ませていると七海が声をかけてきた。
    「なんで七海は運命の人と結ばれないんだろう?」
    そうでないとこの気持ちを諦められない。なのに七海はどこ吹く風だ。
    「…私の相手は運命の人でないと駄目なのか?」
    「どういうこと?」
    「結ばれる相手は自分で選びたいんだが」
    「あ…」
    そうだ。運命の相手の中に七海の好きな人がいるとは限らない。盲点だった。
    「ごめん、そうだよね。七海の気持ちが大事だもんね。…好きな人はいるの?」
    「ああ。恋人…あわよくば伴侶になって欲しい相手がいるんだが、協力してくれないか?」
    「もちろん!」
    七海から頼み事をされるなんて学生の時も中々なかった。力になれるならと全力で頷く。
    「じゃあまず今の住居から着替えだけまとめて来て欲しい。終わったら私の家に直行しよう。あとは合鍵を作ってベッドを買いに行こう、ダブルでいいな?今のままでも構わないが流石に男二人だと狭いからな。あとドラッグストアに行って…」
    「ちょっと待って、何の話?」
    「私の恋人の話だろ?」
    「そうだけど、今の話ぶりじゃ…」
    僕と七海が同棲するみたいじゃないか!と叫ぶと、見たこともないような笑顔を向けてきた。
    「十年待ったんだ。覚悟はできてるよな?」
    覚悟?何の?と頭を傾げる灰原が七海の発言の意図に気づくのは翌日尻が死んでからだった。


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