乙女ゲーヒロイン七海(七灰)「ご都合呪霊にやられて恋愛ゲームみたいに相手からの好感度が見えるようになった、と」
「説明ありがとうございます、家入さん」
呪霊からの攻撃を受け七海は任務の後に医務室に直行し家入に相談した。だが残念なことに彼女では治療不可の術式だった。
「誰かを攻略したら解呪できるみたいだから、まあ頑張れ」
***
『誰かを攻略したら』と言われたものの。
「好感度が見えるのが全員男なんだが…」
家入に好感度は見えず、あるのは「相談する」「回復を頼む」というコマンドだけ。恋愛ゲームに詳しくないので調べてみた所、彼女は攻略対象ではなくサポートキャラに該当するようだ。
「好感度が見えるのは三人…」
言わずもがな五条、夏油、灰原の三人である。ちなみに好感度の高い順に並べると灰原、五条、夏油となる。
「…無難に灰原にしよう」
恋愛なんてさっぱりわからないが、視界の鬱陶しいパロメーターはなんとかしたい。七海は灰原の攻略に乗り出した。
***
一週間後。
「どうして!?攻略できないんだ!?」
七海は頭を抱えていた。この一週間、毎日灰原と共に過ごし時にはプレゼント(おにぎり)を渡したりデート(買い出し)をしたりと攻略に勤しんでいた。
だがある地点から好感度パロメーターが一切動かないのだ。あと少し、そこさえ突破してしまえば友好モードから恋愛モードへ、今回の場合は告白ができる状態になるというのに。
「どうしたの?何か考え事?」
ちなみに、攻略対象には七海の現状や解呪方法に関することは伝えられない縛りが結ばれている。今で言うなら灰原に『攻略』の単語は聞こえないようになっているし『解呪のために恋人になってくれ』と言うようなズルもできなくなっている。
「いや…」
「最近変に僕に構うようになったけど、それに関係ある?」
「変って…」
「七海、僕のこと…というか人があまり好きじゃないよね?なのに無理してるみたいだから、気になって」
別に興味がないわけじゃない。ただ昔から呪霊が見えることもあって、他人の感情が煩わしいだけで。
「…灰原は、私のことが好きなのか?」
これ以上自分では手の施しようがない。ルール違反ギリギリかもしれないが、直接的な言葉で攻めることにした。
「もちろん、僕は七海が好きだよ」
「なら…」
「七海が僕を好きな分だけ、僕も七海を好きなつもりだよ」
「え?」
「七海は別に僕と恋人になりたいなんて思ってないんだから、無理はしないほうがいいよ」
***
好感度を上げて友人以上になるのは簡単だが恋愛関係になるには特定イベントを発生させたりしないといけないという面d攻略しがいのある灰原の話
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オマケ
灰原の場合
「灰原、空を見上げてどうしたんだ?」
「七海の好感度…どこまであるのかと思って…」
「そんなに高くない!」
「あ、『告白する』『告白しない』の選択肢が出てきました!」
「とっとと終わらせろこんな茶番」