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    まどろみ

    @mdrmnmr00

    皆様の七灰作品が見たいので書いてます

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    まどろみ

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    七灰前提の灰+五。恋シリーズの続き。恋の相談

    #七灰

    運命の恋一緒に帰ろうと言う七海の誘いを断り電車へ飛び乗る。隣町で降り駅前のファミレスに入ると窓際の席に目的の人物がいた。
    「五条さん、お待たせしました」
    「遅えーよ、パフェ食い終わったじゃねえか」
    前世の先輩は昔と変わらぬ容姿だが隣街の高校の制服を着ている。手元のグラスは言葉通り空になっていた。
    「もう一個食べます?」
    「当然」
    メニューを開く前に呼び出しボタンを押す。店員が来ると同時に五条さんは一番大きなパフェを、僕はドリンクバーを注文した。

    ***

    「で、今日はどんな話?」
    「聞いてくださいよ!」
    ついさっき取ってきたばかりのコーラを机に置く。手に力が入っていたのか硬い音が響いた。
    「また前世の縁だと言う人が七海に告白してきたんです!今月に入ってこれで五人目ですよ!」
    恋人としては面白くない状況だが、記憶のない彼に罪はないので愚痴る事はできない。そこで前世の記憶を持ち自分たち二人のことも知っている五条さんに時々こうして話を聞いてもらっているのだ。
    「しかも七海、断るの下手だから相手が希望を持つようなこと言っちゃうんですよ、だから僕が出しゃばってしまって後から一人反省会する羽目になるんです」
    「あの業界じゃ、まともなだけでモテモテなんだよ」
    「そうなんですか…?」
    十代で死んだ自分にはそのあたりのことは全然わからない。
    「とっとと七海に思い出してもらえばいいだろうに」
    そうすればあいつも上手くやれるだろ。と言われるが、それだけは避けたい。
    「七海には思い出してほしくないんです。五条さんだってそうでしょう?」
    「俺?俺は別に七海に関しては」
    「夏油さんのことです」
    夏油傑。僕にとっては尊敬する先輩で、五条さんにとっては親友だ。二人は同じ学校に通っているが夏油さんは前世の事を全く覚えておらず、また思い出して欲しくないとの五条さんの希望で僕を含む前世の関係者は会わせてもらえていない。
    「灰原が知らないだけであいつは色々あるんだよ。こればっかりは前世の七海も納得すると思うぞ」
    「…」
    早逝してしまった僕は何も知らない。みんながどう生きたのか、七海がどんな人生を送ったのか。
    「知らないからこそ、七海には思い出して欲しくないです。僕、振られちゃいますから」
    「なんで?」
    「七海の長い人生の中、五条さんたちが知らないだけで恋人の一人や二人、いたかもしれないじゃないですか。そしたら僕は…」
    「あいつ享年二十八だぞ」
    「えっ?…二十八?なんでそんな短命なんですか?」
    「お前に比べたらみんな長生きだと思うけどな」
    「というか七海、僕がいなくなって十年ちょっとであの人数を誑かしたんですか!?」
    「ひでー言いようだな、お前も」
    ケラケラと腹を抱えて笑う姿はあの頃と変わらない。
    「まあなんだ、前世に恋人がいるからって振られる事は無いと思うぜ」
    「だとしても!昔の記憶を思い出したら今の七海は確実に黒歴史扱いされますよ!」
    昔はツンとすましたかんじで、感情表現が下手で不器用で。そんな彼がデレ百二十パーセントな現在を見たら憤死しかねない。…僕はどっちの七海も好きだけど。

    ***

    「ところで灰原、お前、元呪術師たちからなんて呼ばれてるか知ってるか?」
    「いえ。別に話しかけられることもないですし」
    僕に元呪術師の知り合いは少ない。だから大抵接触するのは七海が告白される時。いやまあ、登下校を一緒にしてるから仕方ないのかもしれないけど、僕がいない時に来てくれないかな!?
    「『七海建人のファム・ファタル』だってよ」
    「…はい?」
    ファム・ファタル、意味は確か…男を破滅させる魔性の女。いや僕男だし、というかそれだと…。
    「七海が僕のせいで破滅するみたいじゃないですか」
    「破滅は大袈裟かもしれねえが、あの堅物がお前の一挙手一投足でころころ表情が変わるのがよっぽど面白いんだろうな」
    まあ確かに?告白されてる七海にちょっかい出して赤面させたり愛を叫ばせたり鼻血出させたりしましたけど?
    「わりぃわりぃ、拗ねんなって」
    「拗ねてません」
    拗ねてはいない。納得がいかないだけで。
    「…ファム・ファタルの本来の意味は知ってるか?」
    「本来の意味、ですか?」
    「そう。魔性の女って意味は後からできたやつで、本来はこっちらしい」
    五条さんはおもむろに立ち上がり、僕の耳元でその意味を囁いた。
    「だから少しは自信持て」
    「…はい」
    「よしよし、いーこいー…!?」
    頭をわしゃわしゃと撫でられていたのに突然手が離れる。ばっと顔を上げると五条さんの手を掴み意味深な笑みを浮かべる夏油さんと涙目の七海がいた。
    「彼氏持ちに手を出すのはどうかと思うよ、悟」
    「うわきゆるさない…」

    前世の記憶がない二人に僕たちの関係を伝えるのは中々に難しく。誤解が解ける頃にはパフェのグラスの数がとんでもないことになっていた。

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