過保護って何!?「七海に過保護に接してほしい?」
「書いている溺愛BLのネタに詰まったからお願いします」
クラスメイトの女子の突拍子のないお願いに、自分にできることならと了承した。
「それなら灰原じゃなくて七海にさせたほうがいいんじゃね?」
「わたしはツンデレ受けのワンコ攻めが好きなの」
「なるほど?」
友人と女子の会話を横目に、過保護とは何かと考える。溺愛過保護、過保護って何…?
灰原の疑問に答えてくれる者は誰もいなかった。
***
「七海、今日は僕の握ったおにぎり食べようねー」
「喉に詰まらせないようにゆっくりねー」
「口元拭くからじっとしててねー」
昼休み、恋人の突然に奇行に驚きつつも従う七海。理由を知ってる者にとっては灰原の行動は予想の範囲内だが、見知らぬ第三者からはどう見えるか…。
「先生、進捗どうですか」
「先生言うな」
今朝灰原に過保護を頼んだ女子生徒は、あからさまにため息をつく。
「あれじゃ、過保護じゃなくて介護だよ…」
それか育児、と言うと周囲も深く頷いた。