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    setsuen98

    @setsuen98

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    setsuen98

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    🔗🔮?
    サニーと猫の話。

    #violisko

     我が家には美人な猫がいる。
     どこから入って来たのか、ある日突然我が家に現れたその子。美しい毛並みと瞳で俺を魅了して、すっかり居着いてしまった自由気ままなお姫様。

     朝になると、大体決まった時間に部屋の前でみゃぁみゃぁ鳴く。まだ起きたくなくて布団を被って無視しようとするけど、鳴き始めて暫くすると扉をカリカリとし始めて、それは俺が起きるまで続くから渋々起きるしかなくなる。
     自室の鍵を開け部屋から出て頭を撫でようとすれば、その手を避けて此方をじっと窺って来る。警戒する様なその仕草になにもしないとハンズアップして示して見せれば、先ほどまでの熱烈な呼びかけが嘘みたいにスッと離れてしまう。
     すごい勢いで必死に起こしてくる癖に、朝はこんな風に絶対撫でさせてくれないのなんなの? 構って欲しいんじゃないの?なんて毎朝そんな抗議の気持ちを伝えるけど、小さな声でにゃあ、と一声鳴いて外へ出ていってしまった。キャットフードを用意してもいつも食べないから、どこかで美味しいごはんでも食べさせてもらっているのかもしれない。わざわざ通販で購入したフードがもったいない。
     

     リビングでゲームをしていると、いつの間に帰ってきたのか、少し離れた所で大きな目でじっとこちらを窺っている。それに気付かないフリをしてゲームを続けていれば、少しずつ様子を見つつ距離を詰めてくるけれど、ここで反応してしまったらきっと猫は逃げてしまう。まだ我慢。
     テレビから聞こえる銃声と悲鳴。大きな音がなる度ちらりと其方を確かめる姿を視界の端に捉えながら、難なく画面内の敵を次々と撃ち抜き、全て仕留める頃には左後ろの腰の辺りに猫の温もりが寄り添っていた。それに気付きそっと首を巡らせ顔を覗き込めば、此方を見上げる瞳に俺が写る。ゆっくりと瞬きをひとつ返し、コントローラーから離した手を顎に伸ばし指先をそろりと這わせると、先程の俺を真似る様にぱち、と瞬きをして気持ち良さそうに双眸を細め喉を反らすのが可愛い。
     今朝の素っ気なさが嘘の様なその甘えた仕草に自然と頬も緩み、胡座をかいた自身の太腿を軽く叩いて「おいで、」と出来る限り優しい声で誘うと、そろ、そろ、と脚の間に入り込んで来るのを見つめながら、手探りでリモコンを手に取り騒音を立てるテレビをオフに。自分の居心地の良いポジションに納まるのを待って再び手を伸ばし、顎をひと撫でしたついでに額から後頭部までを掌全体で少し乱雑に撫で上げると、目を閉じぷるぷるっと顔を振るって逃げ、じとりとした目を向けて来る。それがまた堪らなく可愛くて、もう一度同じことをしようとしたら嫌そうな鳴き声と共に猫パンチで手を払い除けられてしまった。
    「ごめんごめん。もうしないから許してよ。…お姫様、もう一度撫でさせていただいても?」
     不機嫌そうに見える顔を覗き込んで演技がかった言葉で問えば、まるで人間みたいにため息をつかれた。それを許されたと勝手に解釈して手を伸ばし、今度は頬から耳裏にかけて親指で丁寧に撫でると、うっとりと瞼を閉ざし擦り寄って来る。

    「可愛い。…浮奇にも会わせてあげたいな…浮奇は猫好きだし、こんなに美人なんだからきっと気に入ってもらえるよ。…………あれ、うきって、誰だっけ…、?」

     ふわふわの柔らかい毛並みを撫でながら自分が口にした言葉に、ハッとして呆然と呟く。思い出そうと思考を巡らせようとした瞬間、頭にモヤが掛かったようになにも考えられなくなり、床の上に力無く手が落ちた。
    「あれ…、俺……なに…、……ああ、大丈夫。なんでも無いよ。だいじょうぶ」
     意味を成さない言葉を零しぼんやりとする俺を心配したのか、大きな声で鳴きながら覗き込んでくる猫に気付くと、途端に頭の中の霧が晴れその子に意識が向く。大丈夫だと繰り返しながら再び丸い頭を撫でてやると、みゃぁ、と悲しげな鳴き声と共に、美しいオッドアイから星が流れる様に雫が零れ落ちた。



    【以下説明】
    何らかの理由で精神を病んで引きこもりになり、ある日突然恋人の浮奇を認識出来なくなったサニー。
    浮奇は毎朝「今日こそは元のサニーに戻っているかも」って期待して起こす。なかなか起きて来ないともし自ら命を絶っていたらどうしようかと怖くなり、ドアを叩いて出てくるよう呼びかける。
    サニーは時折突然パニックを起こして暴れる事もあるので、浮奇は常にサニーの様子を窺って過ごしている。
    いつか戻ると信じて、そっと傍に寄り添う浮奇の話。
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    setsuen98

    DONE🌊🔮♀。大学生×社会人。
    過去あげた大学生×社会人のシリーズですが、これだけでも読めます。ですが良ければそちらも読んでみてください。
     先週のデートの際スハがそわそわとしながら手渡してくれた箱の中に収まっていたのは、うっかり指を引っ掛けでもしたら千切れてしまいそうなほど華奢なシルバーチョーカー。
    チャームも何も無いシンプルなデザインながら、フリルのような繊細な動きのあるチェーンはそれだけで上品に存在感を放ち、どんな服装にもマッチするセンスの良い品だが、箱を開けて真っ先に浮かんだ言葉は「誰と選んだの?」だった。ファッションやアクセサリーにそれほど興味がないスハが選ぶとしたら、シンプルなものだとしても何かしらの石やモチーフがついた無難とも言えるネックレスを選ぶはず。彼が一人で選ぶには、デザインが洗練されすぎていた。
     流石にスハのセンスじゃないでしょ、なんてそのまま問うなんてことはせず、オブラートに包んで包んで、それはもう遠回しに訊けば大学の友人達と出かけた際ショップについて来てもらいアドバイスをもらったのだと言うが、「その時に教えてもらったんだけど、チョーカーって“傍にいてほしい”って意味があるんだって」と伏し目がちに照れながら口にしたスハに、そのメンバーの中に女がいたことを確信して問おうとした矢先に続けられた「あと、彼氏がいますって印になるって聞いて……着けてくれる…?」と、私よりも背が高いにも関わらず器用に上目遣いで見つめてくる年下彼氏の可愛さにやられて、もういいか、という気になってしまいイチャイチャタイムに突入した、というのがその時のハイライト。
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    setsuen98

    DONE🌊🔮。芸能人×メイクさんパロ。
    まだ付き合ってない二人です。
     大きな鏡に写る自分の顔を見れば、あまりに不格好な表情に苦笑が溢れる。無意識に眉間に力が入り平素に比べ険しい目元に反して、口元はスタンプを押したようにわずかに口角が上がったまま。デビュー当時から、基本的にいつでも笑顔で、と口酸っぱく言われ続けた教えに忠実に従う自分の表情筋が今は恨めしい。
     デビューしてから駆け抜けてきたこの数年、自分なりに努力を積み重ねてきたおかげか、歌だけではなくテレビ出演や演技など、様々な仕事をもらえるようになった。有難いことに熱心に推してくれるファンもつき、かつて夢見た姿に少しずつではあるが近づけている。それなのにどうにも自分は欲深いようで、同じ事務所の後輩たちがデビューするなり順調すぎるほどのスピードでテレビやステージなど華々しい活躍を見せる度、劣等感と羨望が溢れどうしようもない気持ちに苛まれ、手のひらに爪が食い込むほどに握りしめそうになるのを堪えてすごい!と手を打ち鳴らす。そんな自分の姿が滑稽で醜くて、後輩たちに合わせる顔もなくなって、思考が自己嫌悪で埋め尽くされる。そんな気鬱が続く時がたまにあり、今まさにそんな気持ちを抱えながら雑誌撮影のためにメイクルームに入れば鏡に映るのはこの様。思わず項垂れ、少しでも胸中がすっきりしないかと大きく長く息を吐く。
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    setsuen98

    MOURNING🦁👟みたいな何か。付き合ってません。
     ほぼ満席状態の店内。二人掛けのテーブルにルカと向かい合って座ってから、なんとも言えない無言の時間が過ぎていく。と言っても実際には大した時間は経っていないけど、黙り込んだまま相手が口火を切るのをただ待つ時間は何倍にも長く感じられる。だからと言って、いつもの快活とした姿とは異なり神妙な顔でテーブルを見つめるルカに「話って何?」なんて無遠慮に本題へ切り込むことなんて出来なくて、手持ち無沙汰にカップに口をつけブラックコーヒーをちびちびと啜るしか出来ず、日差しが降り注ぐ外をいい天気だなぁ…なんて現実逃避まがいに眺めていた。
     「シュウに相談したいことがある」と改まって連絡がきた時は、一体何事かと身構えてしまった。まさかルカの身に何か深刻な問題でも起きているのかと心配になり即座に了承の返信を打てば、カフェでお茶でもしながら聞いて欲しいとの思いのほかゆったりとした回答に、勝手な杞憂だったのかと胸を撫で下ろしたのが数日前のこと。ただ実際に顔を合わせてみるとこんな風に一切読めない様子で、大きな問題でないことを願う最中、突然ルカが顔を上げ僕の方を見つめたかと思えば、また直ぐに視線を落とし何度か口をモゴモゴとさせてようやく口を開いた。
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