コーヒー一杯の熱 午後二時。この時間帯は基本睡魔との戦いになる。
特に〈特異六課〉では仕事は自分から探さないと暇なところ。受け身でいれば、一日暇していることだって珍しいことではない。
そんな中、ワタシはデスクの前に座って考え事をしていた。といっても、大したことではない。
「……ヒスイさん、始末書の文面が全然埋まってないですよ?」
ワタシの様子を見かねたのか、正面に座っている後輩〈キンシ〉が声をかけてきた。
彼は珍しく左右の目の色が違い、髪色も比較的明るい茶色をしている。〈特異六課〉では私服出勤でもいいと言われている中、毎日スーツをきっちり着て出勤している真面目な男だ。
だが、真面目という部分が強すぎるせいか……少々口論になることもたびたびある。まぁ、現状面倒ごとを起こすほどのものはないので、聞き流しておけば問題ない。
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