山頂でおにぎりを食べる「デートがしたいです!」
「デート、ねぇ」
お茶を飲み和む休憩時間に、前のめりに勇んで言うと、あんまり気のない返事が返ってくる。教師陣の今月の勤務予定表が出て、山田先生の一日休みに珍しく、私の休みを被せることができそうだったのだ。忍術学園は愛と正義のホワイト企業の雰囲気を出しつつも、その実まあまあブラックだ。いや、学園長先生の思いつきに振り回されている時点でホワイトも何もないかもしれないが。授業のない日も事務や準備などの仕事ははみ出すし、教師陣は学園の警備員を兼ねているところもあるので、好き勝手に休むわけにはいかないのだ。いや、安藤先生などは器用に勤務時間内に仕事を終わらせているらしいので、やはり突発的な対応が多いせいかもしれない。つまりだいたい学園長先生のせいなのだ。三割くらい。失礼ながら。
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