運命の赤い糸というものが実在する。人には誰しも運命の相手がいて、出会った瞬間にその人と結ばれることが決まっているというのだ。そんなもの迷信だと一蹴するのは簡単だが、そうはいかない場合もあった。
──オレとあいつは赤い糸で結ばれている。
小指に巻き付いた赤い糸は、何にも干渉されることなく赤司の小指に繋がっていた。それはつまり、この先一生離れることはないということを表している。
「あー……」
ベッドの上でごろりと寝返りを打つ。見上げた天井はいつもと同じで何も変わりがない。
赤司と自分が運命だなんて、黛は何かの間違いだと思っていた。何故なら赤司も黛も互いにそれらしい感情を持ち合わせていないからだ。好きでも嫌いでもなく、面白い男ではあるがそこまで興味はないというのが二人の共通認識である。
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