家族「生意気なんだよ! チビのくせに!」
こんな、こんな台詞を口にするのは何年──いや、何十年ぶりだろうか。
『大事な話がある』
そう言って家族を集めた兄が実家に連れてきたのは、かつて話に聞いていて、写真を強請ったこともある素敵な人。あの頃から歳を重ねても凛々しいその姿に見惚れるより前に、なんでこの人がここに、という疑問を抱いたけれど──それはすぐに解かされた、兄によって。
曰く、兄はもう随分と前から──それこそ私が写真を寄越せと詰め寄った時期とそう変わらない時から、その人と恋仲であったそうだ。
そして今日の話というのは、その人が近々お母さん──吸血鬼だ──の齎しにより吸血鬼になるから、自分はその人の使い魔になり共に永く永く、生きると、そういう内容だった。
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