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    takanawa33

    @takanawa33

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    TRAININGアイドル×リーマン 悠七 オリモブいます
     それは運命的な出会いだった。
     という言葉を双方の出会いに使うのだとしたら七海建人と彼の出会いは運命的ではなく一般的な、ありふれた出会いだったといってもいいかもしれない。

     ことの始まりは年末である。
     師走と言うだけあって師も走る。弟子も走る。社畜なんて走りすぎて倒れる大晦日。実家にはもう五年は帰省していない。そんなエリート社畜の七海はその日も終電近くの電車に乗るため、会社最寄りの駅のホームに佇んでいた。
     周囲には初詣に向かうカップルがわいわいと楽しそうにしている。家族連れもいる。皆一様に新年への期待と興奮、もしくは新年というイベントにかこつけた騒ぎのために瞳を輝かせていた。
     いいなあ、と思う気力すらなかった。草食動物が肉に興味を示さないのと同じくらい、七海にとって娯楽とはもう縁の遠いものであり、自分は今日が大晦日だろうとなんだろうと明日は出勤して上司が消してしまった顧客データの復元をする仕事があることは決まっていたし、親戚の子供たちに送るお年玉は書留ですでに実家に郵送してあるから正月の行事も終わっている。せめてもの情けで毎年会社の差し入れに甘酒が出るのは知っているけれど白濁色の甘未飲料を飲んだところでお祭り気分が味わえるほどハッピーな人間でもないので、ただ業務を粛々と全うするだけだ。
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    TRAINING一年×七風味のモブから見た補助監督ミン(しれっと生存者if)いぇーい!第○○期新人補助監督の集いに集まってくれてみんなありがとねー!で、記念すべき初任務を終えましたが皆さんはどうでした?え?オレ?……聞きたい?ってか聞いて。聞いてお願いっ!オレの初任務は一昨日だったんだけどさぁーーー


    「はじめまして、指導員の七海です。よろしくお願いします」
    術師はその仕事の特性から傷がある人が多いってのは知ってた。でも、これはなかなかに。
    オレの指導員と名乗った七海さんは左半身がほぼ焼け爛れて目は眼帯、たぶん指先まで焼けているんだろう手には黒の皮手袋をつけて立っていた。
    「ども……」
    「今回は一年生の除霊任務の付き添いですね。すでにメールでお知らせしたかとは思いますが葛飾区の公立高校に出現する低級呪霊を殲滅します」
    タブレットで焼けていない右手が地図を広げる。
    「帳はここのエリアにおろして準備ができ次第大元になっている美術室の一体をまず叩きます。こいつがいるから低級が集まっているようですね」
    「はい」
    「無駄かとは思いますが一年生が各々何体を祓ったのか数えるように言ってください。報告書が書きやすくなります」
    報告書のページを開いて「ここに記入義務があります 3842

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    TRAININGショタミン囲う五の五七 ああ、見つけた見つけた。今度こそちゃんと捕まえておくからね。大事に大事に仕舞ってあげる。隣からいなくならないように。

     五条悟が頭角を現し始めたのは齢五つの頃である。
     資産家として名高い家柄であったが、悟の勘は人一倍鋭く、時期になった株やら土地やら、金になるものはなんでも然るべき時に判断して売り捌き、歴代当主が守り抜いてきた財産を一代で二倍にも三倍にも増やすことに成功した。
     そして勘がいいのは金だけではない。人の縁にも敏感で、曰くこの子供には縁の糸が見えているのではないかと恐れられるほど五条家にとって都合のいい人間を引き寄せては取り入れ、逆に必要のない人間はこれでもかと切った。
     十歳になるころにはすでに悟の才覚に叶う者はおらず恐ろしいかな、その歳で形式ばかりの父に代わりほぼ当主として本家、分家にも名を轟かせたのである。
     そんな彼なのだから幸せに違いあるまいと家族も使用人も、彼を知る人間なら思うけれど悲しいかな悟は生まれてから一度たりとも満ち足りた思いをしたことはなかった。
     足りない。圧倒的に足りないのだ。
     優秀な人材に恵まれても、一生遊んでも釣りがくる財を持っても。悟の 1686

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    TRAINING転生年齢逆転の悠七⑤ さて、すっかり夢見心地の悠仁はウキウキに収録が終えたのち、無駄に広くセキュリティの整った自宅のベッドでゴロンと寝転んでいた。
     思い出すのは七海のことばかりだ。
    「白かったな……」
     あの様子だと夏休みもろくすっぽ外に出ず読書を繰り返していたに違いない。ナナミンってインドア派なんだな、知らなかった。本当は悠仁の出演作品の視聴に忙しくて外出していなかっただけなのだが悠仁がそんな事情を知る由もなく、ただ昼の七海の姿に想いを馳せる。
     走ったせいで上気した頬、汗、自分より低い身長で見上げる青い瞳。
    「……勃った」
     恋愛感情と性欲とは二人三脚なのだから致し方なし。とはいえ高校生で抜くのってどうなの、と罪悪感を覚えつつ右手を止めることはできない。
    「ああ~……やっば、嬉しい、ナナミン、ナナミンっ!」
     むしろ連絡先に七海が加わったという事実だけで抜ける。翌日の雑誌撮影、いつになく爽やかな顔つきでカメラの前に立ったユウジはスタッフから「なんだか垢抜けた」とお褒めの言葉をいただいたのだった。

    『ナナミンは食べたいものある?』
     金曜の夜に送ったメッセージに返事があったのは日付変更の少し前だった 5332

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    TRAINING転生年齢逆転の悠七④「見つかりましたけど、沖縄でなく東京の学生さんだったみたいですね」
     個人情報の取り扱いに『これを他人に流したり悪用したりしません』と書いてあるのにその情報は簡単にユウジの元までやってきた。
     灰原雄、一六歳、高校一年生、東京都某高校所属。住所に携帯番号まで記入された手書きのコピーをユウジはジっと見つめる。彼は「友達」と言っていた
    学友だろうか、それとも全然関係ない幼馴染。電話をかけて確認するのが一番早いけれどそうすると個人情報の取り扱いについてひと悶着あるだろう。それは面倒だ。
    「次の撮影の合間にこの高校いっていい?」
     ならば自分から接触しにいくのが一番手早い。下校時間を狙って様子を見たい。
    「いいですけど台本のことも忘れないでくださいね」
    「うん」
     大河ドラマの準主役に抜擢されたのはもうすでに報道されている。来年から始まる時代劇は分からない単語も言い回しも多くて事前に叩き上げの台本をもらって勉強しているところなのだ。付箋と蛍光ペンでボロボロになった新品の台本を広げ、悠仁は放課後の時間帯になるのを待った。



    「そういえば昨日のテレビ番組に僕が出たんだよ」
    「へえ、すごいです 4981

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    TRAINING転生年齢逆転の悠七③「あれさ、本気で言ってるの?」
    「あれって?」
    「前世だよ前世、さっきも言ってたしなんかもぉ病的じゃない?」
     廊下で自販機のボタンを押してガタンと出てきた缶ジュースを拾おうとした時、ユウジこと虎杖悠仁は『五条悟』に声をかけられた。
    「本気だよ、じゃなかったらイタイ人でしょ」
     ええ~、と顔を顰める五条には前世の記憶がないらしい。
    (その割にうまくいってるよね)
     黒いスーツに黒のサングラス。これでもかと伸びている脚を支える上半身含めてミラコレも驚く高身長。前と変わらない銀髪と恐ろしいほど透き通った蒼い瞳、それでやってることは漫才師なのだから笑ってしまう。しかも相方はあの夏油傑。
    「いやもう十分イタイ人だからねユウジは」
     プシュ、プルタブを開いて炭酸を喉に流し込む悠仁の隣で五条も同じものを購入する。
    「絶対ネタだと思ってた。だってそうでも言わないと女の子に言い寄られて面倒だもんねこの業界」
    「いや、なんていうかさ、逆なんだよね」
     五条が首をひねる。
    「有名になってから前世のことを言ったんじゃなくて、前世の人を見つけたいから有名になったの。だってこんだけテレビに出てたらどっかで気付い 2546

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    TRAINING転生年齢逆転の悠七②『俺、前世で好きだった人をずっと探してるんですよ~、え? いやいや、はぐらかしてないって、本気よ本気。うん? あのね、すごく強くて優しくて綺麗で、金髪でケツもタッパもでかくてそんで残業が大嫌いな人』
     ユウジ、前世で検索すれば出てくる出てくる違法ながらもアップロードされた過去の発言集。
     これは、覚えているな、確実に。
     七海は動画サイトを閉じて自室のベッドに埋もれた。
    (しかも、私だ)
     条件の一つ一つは七海に当てはまるかと言えば首をひねるところだが、最後の一つは確実に自分を指している。
     七海の中で彼が現世でも生きている喜びと前世からそういった感情を向けられていたという恥ずかしさが混濁する。
     会った方がいいのだろうか。いや、でもしかし七海は前世と今世、二つの時間で虎杖悠仁青年をそういった対象としてみたことはなかったし、たぶんこれからもない。ならばむやみやたらと首を出して苦しめるのはよしたほうがいい気がする。というか、絶対やめた方がいい。
     お気持ちは嬉しいですがこちらは全くその気はありません、なんてわざわざ言うために彼の感情を乱すのは申し訳なかった。しばらくこの前世の話をしても七 2165

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    TRAINING転生年齢逆転の悠七「アツ……っ!」
     淹れたての紅茶が左手にかかったのは五歳の時だ。見つけた母親が素早く流水で処理をしてくれたことで幸い痕になることもなく、その件はただの日常の一幕で終わるはずだった。
    小さな子供が手に軽い火傷を負った。ただそれだけのことだったはずなのに。
     痛みとともに呼び起こされたのはいわゆる前世の記憶というものだ。
     今より古い渋谷の地下、おびただしい数の化け物。半身が爛れた自分、失った左目。そして訪れる死。
    (酷い死に目だ)
     前世は祖父の勧めもあってカトリックを信仰していたけれど神がいるのなら苦情を言っても差し支えない程度には惨たらしい最期。見えている左目を覆い、大きくため息。齢五歳にしてとんでもないことを思い出してしまった。
     とはいえ、七海の生業にしていた呪術師という仕事はもう存在しないし(とんと呪霊が視えなくなったのだ。多分消滅したのだろう)火傷ももうない、両目は健在で健康状態も至ってよい。前世を思い出したショックでいささか頭痛が生じるときもあるけれど、現在の七海建人は十分に恵まれた人生を歩んでいる。過去に捕らわれるつもりはなかった。
     自分のこととはいえ、一つの人生を映 3395

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    TRAININGストレッチ悠七風呂上りに柔軟をするのは生活の一部なのだという。
     高専時代から培ってきた習慣はサラリーマンの時も欠かさなかったし呪術師として復帰したときは尚更だ。だから補助監督として落ち着いた今でもやらなければ落ち着かないのだと七海は言った。
     なるほどね、身体が柔らかいのはいいことだよね。悠仁は頷いてその習慣について許容していたつもりだ。
    (でも、これは辛い)
     風呂上り、ゆったりした部屋着に着替えた七海は85インチのテレビの前で足を大きく開いた。蒸れるのがイヤだとハーフパンツよりなお短い下着のようなボトムから伸びた脚がのびのびと開脚して広いリビングをふんだんに利用する姿はすなわち……ちんちん痛いの。
     ホカホカと上気した風呂上りの肉体が「おいしいですよ」と言わんばかりに伸びて筋肉を見せつけてくる。血流のよくなった肌は桃色に染まり代謝のいい七海の皮膚はうすら汗をかきながら清潔な肌を湿らせていく。
     悠仁は思わず速足で冷蔵庫まで向かいキンキンに冷えたビールを取り出した。
     プシュ、開くプルタブに七海が「ずるい」の一言。うるさい、こちとらアンタのお色気もも肉に噛り付くのを鋼の理性で我慢してんだよ。悠仁 758