面倒な二人「旅人、これは一体……?」
拙い筆跡で書かれた日記を手にしたカーヴェが怪訝な顔をする。
それもそのはず。蛍はアルハイゼンの家を訪ねてカーヴェの写真を撮り終えパイモンに外での用事を頼むと、何も言わずに日記を差し出したのだ。
彼女は平坦な声で日記を読むよう促した。疑問を拭いきれないながらもカーヴェは言われた通りにページをめくる。読みやすいとは言えない字を丁寧に追って祈りの言葉を読み終えた彼は、まだページが続いていることに気がついた。
ぱら、と何の気なしに続きを開き、次の瞬間目の色を変える。そのページに描かれた厳密な設計図をそれまで以上に熱心に読み解いたカーヴェは、ぱっと顔を上げた。
「君の要望は、これを作ってほしいということかい?」
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