聲「どうしたのじゃ、少年」
零が初めてその少年に声をかけたのは、一人でただしくしくと泣いてる姿を見るようになって三度目の時。
街外れの、恐らく一人で行ってはだめだと大人に言われていそうなその場所に。
先々週初めてその少年は現れた。
時々しゃくりあげるように泣くものの、ひとしきり泣いたあとはぐいっと涙を拭って立ち上がる。
その姿がなんだかとても美しくて。
なんとなく見守ってはみるものの特に声を掛けるつもりも無かった零がつい声をかけたのは、その声も聞いてみたいと思ってしまったから。
零の存在には全く気付いていなかったのだろう。
びっくりしたように目を見開いた少年が、ぽつりと『かみさま?』と零す。
「どうかしたのかえ?」
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