虹『凄いでしょ?』
携帯の短い振動でメッセージに気付いた安田は、同時に受信した画像も確認した。それは、雨上がりの空に虹がかかっている写真だった。
『凄いね。こっちもさっきまで雨降ってたけど虹は出てないよ』
安田はカフェで友人と課題に取り組んでいたが、ペンを離しメッセージを返すと、待ち構えていたかのようにすぐに返信が来た。
『しかも、ダブルレインボーなんて初めて見たよ!』
その文章は安田の脳内でアンナの声で再生された。しかし、安田にはわからないことがあり、目を細めた。
『1つしか見えないよ』
『濃い虹の上に大きくて薄い虹があるの! 画質の問題』
『お母さんに言って、携帯新しいのにしてもらおうかな?』
『ヤスと同じのにすれば、使い方教えてくれる? もうリョーちゃんに聞けないし』
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