shinyaemew
REHABILI少女漫画の主人公みたいなルのルツ。ルツ(重要)眠たげな君と夜の声.
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画面上に現れては消えていく文字は、計十パターンになった。時刻は夜十一時。逆算すれば、この無為に終わる時間を三十分続けたことになる。いや、まだ終わらずに続いているのだから、今この瞬間にも全てが有意義になるかもしれない。
『今度の休み、デートに行かないかい?』という簡単な一文を、最後まで打って、送信すればいい話だ。今頃の小学生にも指一本でできる。そう難しい話ではない。なのに何だろう、この無駄に速まる心臓の鼓動と、滲む手汗は。
やっぱり、また明日にでも伝えよう。そう思いながら電源ボタンを軽く押して、スマートフォンの画面を胸に当てながら、深呼吸した。
「いやいや、それができなかったからこうしてメッセージを送ろうとしていたのではないか僕……!!」
1864.
画面上に現れては消えていく文字は、計十パターンになった。時刻は夜十一時。逆算すれば、この無為に終わる時間を三十分続けたことになる。いや、まだ終わらずに続いているのだから、今この瞬間にも全てが有意義になるかもしれない。
『今度の休み、デートに行かないかい?』という簡単な一文を、最後まで打って、送信すればいい話だ。今頃の小学生にも指一本でできる。そう難しい話ではない。なのに何だろう、この無駄に速まる心臓の鼓動と、滲む手汗は。
やっぱり、また明日にでも伝えよう。そう思いながら電源ボタンを軽く押して、スマートフォンの画面を胸に当てながら、深呼吸した。
「いやいや、それができなかったからこうしてメッセージを送ろうとしていたのではないか僕……!!」
満ツ雪
REHABILI教師になる前の澤さんと美人局とかやっちゃってる出くんの話の書きたいとこだけ書いちゃったやつ。モブ出がちょっと入りますし出くんは身体売ってます。手の平の上「やっぱりプロヒーローって儲かるのかな」
先程拝借してきた黒い革の財布の中身を淡々と確認しながら僕は独り言ちた。
現金は少ない。クレジットカードが二枚、免許証が三枚、それに保険証とキャッシュカード。ポイントカードなんて一枚もない。
スマホ、手帳、パスケース、服、腕時計……もハイブランドのものではない。合理的な彼らしい至ってシンプルな所持品たち。後はキャッシュカードとクレジットカードからいくらくすねられるか、だ。だがそれは僕の仕事じゃないから稼ぎの一部しかもらえない。
ちょっとわりに合わなかったかなあ、と僕は狭い押入に寝転がった。
表沙汰には決して出せないようなものしか運ばれて来ない薄暗い倉庫の奥、かつて宿直室として使われていたらしい四畳半、の押入が今の僕の寝床だ。湿っぽいし酒臭いしヤニ臭いけど雨風が凌げて布団があるだけだいぶマシだろう。元宿直室に誰かがいる時は暖房もつく。ここに勝手に住み着いている僕を追い出さないでいてくれるばかりか、仕事をくれたりごはんを奢ってくれたりお金をくれる時もある。優良物件だ。
3360先程拝借してきた黒い革の財布の中身を淡々と確認しながら僕は独り言ちた。
現金は少ない。クレジットカードが二枚、免許証が三枚、それに保険証とキャッシュカード。ポイントカードなんて一枚もない。
スマホ、手帳、パスケース、服、腕時計……もハイブランドのものではない。合理的な彼らしい至ってシンプルな所持品たち。後はキャッシュカードとクレジットカードからいくらくすねられるか、だ。だがそれは僕の仕事じゃないから稼ぎの一部しかもらえない。
ちょっとわりに合わなかったかなあ、と僕は狭い押入に寝転がった。
表沙汰には決して出せないようなものしか運ばれて来ない薄暗い倉庫の奥、かつて宿直室として使われていたらしい四畳半、の押入が今の僕の寝床だ。湿っぽいし酒臭いしヤニ臭いけど雨風が凌げて布団があるだけだいぶマシだろう。元宿直室に誰かがいる時は暖房もつく。ここに勝手に住み着いている僕を追い出さないでいてくれるばかりか、仕事をくれたりごはんを奢ってくれたりお金をくれる時もある。優良物件だ。
msyesterday_029
REHABILIピアス開け合うバディ匋依2021.12.03 お前のための何にでもなりたかった。そういう自分を覚えてる。
「呆気ねえほどすぐ終わるって兄貴たちは言ってた」
依織がピアッサーの包装を開けながら言う。
「だったら安ピンの方が面白ぇかもな」
「おい、俺は御免だぜ、旦那?」
俺が肩をすくめてみせると依織は仕方なさそうに笑ってピアッサーを取り出した。手の中に収まる、大したことなさそうな白いプラスチック。それを渡される。受け取って眺める。緑の石がついてる。
「じゃあ、頼んだ」
「ああ」
ウェットティッシュの残骸がゴミ箱に積まれてる。依織の耳たぶに初めて触った。その日。その瞬間。少し冷たい、依織の体の端っこをつまんで固定して、ペンでマークしたところにピアッサーを合わせる。曲がってないかちょっと離れて確認してたら依織が小さく笑った。いいよ、そんな几帳面にしなくて、って言われて、ムッとしたのを覚えてる。
1195「呆気ねえほどすぐ終わるって兄貴たちは言ってた」
依織がピアッサーの包装を開けながら言う。
「だったら安ピンの方が面白ぇかもな」
「おい、俺は御免だぜ、旦那?」
俺が肩をすくめてみせると依織は仕方なさそうに笑ってピアッサーを取り出した。手の中に収まる、大したことなさそうな白いプラスチック。それを渡される。受け取って眺める。緑の石がついてる。
「じゃあ、頼んだ」
「ああ」
ウェットティッシュの残骸がゴミ箱に積まれてる。依織の耳たぶに初めて触った。その日。その瞬間。少し冷たい、依織の体の端っこをつまんで固定して、ペンでマークしたところにピアッサーを合わせる。曲がってないかちょっと離れて確認してたら依織が小さく笑った。いいよ、そんな几帳面にしなくて、って言われて、ムッとしたのを覚えてる。
msyesterday_029
REHABILI仕事終わりの夜明け前に花火するバ匋依2021.12.02 今夜は花火大会なんですよ、と開店前、キャストの一人が言っていた。
「依織」
日の出にはまだ少し時間のある中途半端な空の色を眺めるというほどでもなく眺めていた依織が、匋平の声に顔を向けて「旦那、どこ行ってたんだよ」とぼやく。数分前、仕事上がりにいつも通る公園の横で突然依織にベンチで待つよう告げて走り去った匋平が、へらへらと笑って「悪い」と返した。
「コレ、やろうぜ」
四角く歪んだビニール袋を差し出され、依織は袋の中を覗いてため息をついた。中身を見た瞬間、匋平の考えるところが手に取るようにわかったからだった。
「あのなあ」
「いいだろ? 量もそんなねえしさ、パッとやってパッと帰りゃ」
「ガキじゃあるまいし……」
1185「依織」
日の出にはまだ少し時間のある中途半端な空の色を眺めるというほどでもなく眺めていた依織が、匋平の声に顔を向けて「旦那、どこ行ってたんだよ」とぼやく。数分前、仕事上がりにいつも通る公園の横で突然依織にベンチで待つよう告げて走り去った匋平が、へらへらと笑って「悪い」と返した。
「コレ、やろうぜ」
四角く歪んだビニール袋を差し出され、依織は袋の中を覗いてため息をついた。中身を見た瞬間、匋平の考えるところが手に取るようにわかったからだった。
「あのなあ」
「いいだろ? 量もそんなねえしさ、パッとやってパッと帰りゃ」
「ガキじゃあるまいし……」
nekonekomfmf
REHABILI心理描写のみなのでまだまだだけども無題こちらをただただ見る目、何の悪意も敵意もない(警戒はあるようだけど)興味を寄せるような色でじぃっと数分も見られれば、いくら友人でもある少女であっても、どうしてか問うだろう。少女は目を一度まばたきして一呼吸分おいて、まれそうな目、淀んだ目と散々な言われようだったこの目を綺麗と言われるのは珍しくて目を丸くすると、きょとんとした顔で更に言われた。
─何度見ても色が濁らないから
それを何と返したかは忘れてしまったが、おちびちゃんですら絶句していたその発言は当然ながら、俺の記憶に色濃く残っている。何度目かの少女の討伐任務に着いていった、よく晴れた日の話だ。
お嬢ちゃんの目は誰が見ても美しい。鼈甲を透かしたような色合いは一部の狂った好事家が欲しがるだろうと邪推してしまうくらいには。ころころと表情を変える少女らしく、それがもっとも色を濃くするのは感情が表に出てきてしまっているときでとても好ましい。臨時収入があった時、予定外の出費が重なった時、美味しい料理を目にして食べている時、そして闘ってる時─特にこのときは透明度も上がっていて宝石のようだ、と内心思うくらい─表情と共に色を変える目は飽きることなく、もっとと手を伸ばしたくなるほど。当然ながら旅人である少女からの答えはつれないものだ、残念に思うが、誰もお嬢ちゃんを捕まえれないのだ。この子は旅人なのだから。背に伝う汗はじっとりと服を濡らしていくが、日向の下にいる少女はパチャパチャと波打ち際を軽やかに走っては貝殻を拾っている。我ながら役に立ってないと自覚はあった。
3582─何度見ても色が濁らないから
それを何と返したかは忘れてしまったが、おちびちゃんですら絶句していたその発言は当然ながら、俺の記憶に色濃く残っている。何度目かの少女の討伐任務に着いていった、よく晴れた日の話だ。
お嬢ちゃんの目は誰が見ても美しい。鼈甲を透かしたような色合いは一部の狂った好事家が欲しがるだろうと邪推してしまうくらいには。ころころと表情を変える少女らしく、それがもっとも色を濃くするのは感情が表に出てきてしまっているときでとても好ましい。臨時収入があった時、予定外の出費が重なった時、美味しい料理を目にして食べている時、そして闘ってる時─特にこのときは透明度も上がっていて宝石のようだ、と内心思うくらい─表情と共に色を変える目は飽きることなく、もっとと手を伸ばしたくなるほど。当然ながら旅人である少女からの答えはつれないものだ、残念に思うが、誰もお嬢ちゃんを捕まえれないのだ。この子は旅人なのだから。背に伝う汗はじっとりと服を濡らしていくが、日向の下にいる少女はパチャパチャと波打ち際を軽やかに走っては貝殻を拾っている。我ながら役に立ってないと自覚はあった。
ああや
REHABILI目指せスランプ脱出 地の文練習(ささろ/ほのぼの)ふゆの簓が盧笙の家に戻り、さむさむ、とリビングのドアを開ければ柑橘類の匂いが鼻孔をくすぐった。そのどこか懐かしい甘酸っぱい匂いに あ、せや、冬ってみかんを食べるもんやったな。と簓は思った。
簓はただ今絶賛『普通の一般家庭のくらし』リハビリ真っ最中。盧笙との暮らしはどこか懐かしくてそしてとても楽しい。
「手洗い、うがい」
部屋に入って来た簓に家主は振り向きもせずぴしゃり、と言い放った。
ので簓はそのままバック。台所に戻りきっちり手洗いとうがい。うがい用の安いプラスチック製コップを定位置戻して、どこかの店の名前がプリントされているいかにも粗品な白いタオルでしっかり手を拭く。流し台には小鍋とどんぶりが水道水に浸けられて、あー今日うどんやったんかな、とひょいとゴミ箱を覗けば当たり。急に寒なったもんなぁ、と思いながら簓はリビングに戻った。ついでに目に入ったテレビを見れば、今日はおそらくたぶん月曜日で21時半ぐらいとみた。
1808簓はただ今絶賛『普通の一般家庭のくらし』リハビリ真っ最中。盧笙との暮らしはどこか懐かしくてそしてとても楽しい。
「手洗い、うがい」
部屋に入って来た簓に家主は振り向きもせずぴしゃり、と言い放った。
ので簓はそのままバック。台所に戻りきっちり手洗いとうがい。うがい用の安いプラスチック製コップを定位置戻して、どこかの店の名前がプリントされているいかにも粗品な白いタオルでしっかり手を拭く。流し台には小鍋とどんぶりが水道水に浸けられて、あー今日うどんやったんかな、とひょいとゴミ箱を覗けば当たり。急に寒なったもんなぁ、と思いながら簓はリビングに戻った。ついでに目に入ったテレビを見れば、今日はおそらくたぶん月曜日で21時半ぐらいとみた。
mochifu
REHABILI現パロ門キラ(カドクラ→水道会社社員、キラウシ→工芸作家兼便利屋さん)の続編です。読み切りなのでこのお話単体でも読めます。
【注意】カドクラの元嫁と子供の描写が出てきます。NGな方ご自衛下さい。
オチウなしですが上澄みみたいなシーンがあります。(全年齢です)
あとどうでも良いことですが、モブ同僚が凄い宇佐美っぽいけど宇佐美じゃないです…。 17
満ツ雪
REHABILI相出を目撃するオールマイトさんの話外出届「失礼します」
職員室に澄んだ声が響く。
よく知った声に顔を上げれば、キラキラの大きな目でこちらに向かってくる緑谷少年の姿があった。ヒラヒラと手を振ると小さく手を振り返してくれる。可愛い。
けれど緑谷少年の足は私のところへ向いているわけではなくて、大抵いつもその手前で止まる。
そこには彼の担任である相澤くんがいた。緑谷少年は相澤くんに懐いている。
懐いている、というかそれ以上というか。
私の口からは上手く説明できないが絶大な信頼を寄せているように見える。教師と生徒として良き関係を築いているのだろう。
うんうん、とてもナイスなことだ。
小テストの採点をしていた相澤くんが手を止めて緑谷少年を見上げた。
「どうした」
んー、素っ気ない。
1983職員室に澄んだ声が響く。
よく知った声に顔を上げれば、キラキラの大きな目でこちらに向かってくる緑谷少年の姿があった。ヒラヒラと手を振ると小さく手を振り返してくれる。可愛い。
けれど緑谷少年の足は私のところへ向いているわけではなくて、大抵いつもその手前で止まる。
そこには彼の担任である相澤くんがいた。緑谷少年は相澤くんに懐いている。
懐いている、というかそれ以上というか。
私の口からは上手く説明できないが絶大な信頼を寄せているように見える。教師と生徒として良き関係を築いているのだろう。
うんうん、とてもナイスなことだ。
小テストの採点をしていた相澤くんが手を止めて緑谷少年を見上げた。
「どうした」
んー、素っ気ない。