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    満ツ雪

    REHABILI教師になる前の澤さんと美人局とかやっちゃってる出くんの話の書きたいとこだけ書いちゃったやつ。モブ出がちょっと入りますし出くんは身体売ってます。
    手の平の上「やっぱりプロヒーローって儲かるのかな」

    先程拝借してきた黒い革の財布の中身を淡々と確認しながら僕は独り言ちた。
    現金は少ない。クレジットカードが二枚、免許証が三枚、それに保険証とキャッシュカード。ポイントカードなんて一枚もない。
    スマホ、手帳、パスケース、服、腕時計……もハイブランドのものではない。合理的な彼らしい至ってシンプルな所持品たち。後はキャッシュカードとクレジットカードからいくらくすねられるか、だ。だがそれは僕の仕事じゃないから稼ぎの一部しかもらえない。
    ちょっとわりに合わなかったかなあ、と僕は狭い押入に寝転がった。
    表沙汰には決して出せないようなものしか運ばれて来ない薄暗い倉庫の奥、かつて宿直室として使われていたらしい四畳半、の押入が今の僕の寝床だ。湿っぽいし酒臭いしヤニ臭いけど雨風が凌げて布団があるだけだいぶマシだろう。元宿直室に誰かがいる時は暖房もつく。ここに勝手に住み着いている僕を追い出さないでいてくれるばかりか、仕事をくれたりごはんを奢ってくれたりお金をくれる時もある。優良物件だ。
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    nekonekomfmf

    REHABILI心理描写のみなのでまだまだだけども
    無題こちらをただただ見る目、何の悪意も敵意もない(警戒はあるようだけど)興味を寄せるような色でじぃっと数分も見られれば、いくら友人でもある少女であっても、どうしてか問うだろう。少女は目を一度まばたきして一呼吸分おいて、まれそうな目、淀んだ目と散々な言われようだったこの目を綺麗と言われるのは珍しくて目を丸くすると、きょとんとした顔で更に言われた。
    ─何度見ても色が濁らないから
    それを何と返したかは忘れてしまったが、おちびちゃんですら絶句していたその発言は当然ながら、俺の記憶に色濃く残っている。何度目かの少女の討伐任務に着いていった、よく晴れた日の話だ。

    お嬢ちゃんの目は誰が見ても美しい。鼈甲を透かしたような色合いは一部の狂った好事家が欲しがるだろうと邪推してしまうくらいには。ころころと表情を変える少女らしく、それがもっとも色を濃くするのは感情が表に出てきてしまっているときでとても好ましい。臨時収入があった時、予定外の出費が重なった時、美味しい料理を目にして食べている時、そして闘ってる時─特にこのときは透明度も上がっていて宝石のようだ、と内心思うくらい─表情と共に色を変える目は飽きることなく、もっとと手を伸ばしたくなるほど。当然ながら旅人である少女からの答えはつれないものだ、残念に思うが、誰もお嬢ちゃんを捕まえれないのだ。この子は旅人なのだから。背に伝う汗はじっとりと服を濡らしていくが、日向の下にいる少女はパチャパチャと波打ち際を軽やかに走っては貝殻を拾っている。我ながら役に立ってないと自覚はあった。
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