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    ひよ

    raixxx_3am

    DOODLE貴澄くんにスペアキーを預けるお話。(付き合ってるきすひよ)
    Beehive ポケットの中ではもうずうっと、ことり、と固くて冷たい金属製の〝それ〟が出番を待ち構えたままでいる。
     まぁまぁ、そう焦らないでよ――なだめるような心地になりながらポケットづたいになぞりあげ、ぬるい息を吐く――何度目かのルーティーンを終えたところで、あらかじめ用意しておいたせりふを頭の中で思い起こすようにする。
     物事にはしかるべきタイミングだなんてものが何よりも重要――いや、時には勢いに任せることだって求められることだけれど。
     迎え入れてすぐ、はなんだか違う。いっそのこと帰り際にでも、とも思ったけれど、なんだかそれもよくない気がする。有無を言わさず、みたいな感じがするし。
     昼食の片づけを終えて、録画していたドキュメンタリー番組(絵画修復士と俳優が海外の美術館のバックヤードに潜入する、だなんて特集番組で、予想以上に見応えのあるものだった)を並んで見た後――ぬるくなったコーヒーを淹れなおしてすこし一息ついて、おそらくは近況報告だとか、次の休みにはまたどこかにいこうか、なんだかんだでこうして家でふたりきりで過ごすのも悪くないのだけれど、なんて話になって――うん、やっぱり〝いま〟がいい。
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