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    れむ

    abicocco

    PAST※ノーマルEND軸革命前のレムラキ

    レムがグリーゼに来てからラキが革命を起こすまでに二人の間で発生したやりとりについての想像
    ブロカント「レムナン。作業ペースが通常時の八十パーセントまで落ちています。休息を取りますか?」

     今日は各船を繋ぐ自動走行路オートチューブの定期メンテナンスで地下へと潜る日だった。僕がこの国にやってきてから、そして擬知体を含む機械全般の整備士として働き始めてから、もう何度もこなしてきた仕事だ。それにも関わらず、いや、慣れている作業だからこそか、いつも僕の業務に同行してくれているサポート擬知体から集中力の欠如を指摘されてしまった。

    「いえ……。いや、そう、ですね。昼休憩にしましょうか」

     作業が丁度キリのいいところだったこともあり、彼女の提案に甘えることにした僕は工具箱を脇に避けて作業用のグローブを外すと、持ち込んだランチボックスからマッケンチーズをフォークでつついた。鮮温キープ機能のある優秀な容器のおかげで、チーズと胡椒をまとったマカロニとベーコンはフードプリンターから出てきたばかりの今朝と変わりない姿で湯気を立ちのぼらせている。食欲を刺激する濃厚なチーズのジャンクな香りは僕の好物に違いないのに、食事の手はなかなか進まなかった。
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    abicocco

    PAST※ノーマルEND軸革命後交際中レムラキ

    食事と口内炎とキスの話
    舌先の警鐘 卒業研究のメイン題材に選んだ銀の鍵の実物を引き取るため生まれて初めて国外へと出た僕は、この世にはまだ食事という行為に執着している人類がこんなにも存在するのかと、自国とのギャップに随分驚かされたものだ。グリーゼでは主流とされている最も効率的なサプリ食が宇宙規模で見れば少数派に分類されることがどうにも解せなかった。一時滞在したルゥアン星系でも、そこで突如発生したグノーシア騒動から逃れるためにやむなく緊急乗船した古臭い宇宙船D.Q.O.でも、僕以外の人——人型ではない生物も一部混じっていたが、ここでは等しく『人』と表現することとする——は皆一様に提供された食事を何の抵抗もなく口に運んでいた。その中でも特に目についたのが今現在、ワケあってグリーゼで生活を共にしている男、レムナンだ。D.Q.O.でグノーシアの脅威から逃れることに成功した船長と船員を含む乗員十四名は、船内にグノーシア汚染者がいないことが確定された晩、その幸運を祝してささやかな宴を催すことにした。とはいえ、イートフェチではない僕は水の入ったグラスを片手に談笑し、一見無益な会話の中から普段関わりのない他星系人の生態や文化レベルの情報を探ることくらいにしか楽しみを見出すことができずにいたわけだけれど、今回の旅中で人の食事風景を見慣れ始めていた僕もその男の皿が視界に入ってきた時には流石にギョッとした。
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