グルメ
takami180
DONE47都道府県グルメ曦澄企画お好み焼き――広島県
引き戸を開けて、のれんをくぐると威勢のいい「いらっしゃいませ」が響いた。
右手にカウンター、左手にテーブル席が並ぶ店内はそれほど広くない。
「何名様ですかー?」
「二人です」
「カウンターどうぞー!」
昼時である。テーブル席はすでに埋まり、カウンター席の空きも少ない。
江澄と藍曦臣が言われるままにカウンター席に着くと、間髪入れずにお冷とメニューがババッと出された。
カウンターの目の前には端から端まで広がる鉄板がある。大きいヘラがシャッシャッと音を立てている。
「どうする」
「ええっと、どうしましょう」
江澄に尋ねられて、藍曦臣はあわててメニューを見た。
種類は少ない。六種類だけだが、写真がなくて、どれがどんなものだかわからない。
2148右手にカウンター、左手にテーブル席が並ぶ店内はそれほど広くない。
「何名様ですかー?」
「二人です」
「カウンターどうぞー!」
昼時である。テーブル席はすでに埋まり、カウンター席の空きも少ない。
江澄と藍曦臣が言われるままにカウンター席に着くと、間髪入れずにお冷とメニューがババッと出された。
カウンターの目の前には端から端まで広がる鉄板がある。大きいヘラがシャッシャッと音を立てている。
「どうする」
「ええっと、どうしましょう」
江澄に尋ねられて、藍曦臣はあわててメニューを見た。
種類は少ない。六種類だけだが、写真がなくて、どれがどんなものだかわからない。
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DONE47都道府県グルメ曦澄企画梅酒とくじら料理――和歌山県
「食前酒でございます」と江澄の前に給仕が差し出した細いグラスには、光に透かしたような琥珀色がたゆたっている。
向かいに座る藍曦臣の前には、もう少し薄い色のグラスが置かれた。
「梅ジュースをご用意いたしました」
「ありがとうございます」
給仕は一礼すると、半個室を区切る衝立の向こうに下がった。
江澄と藍曦臣は同時にグラスを手に取り、互いに微笑みあった。少しばかり照れくさいものがある。江澄は視線を外してグラスに口をつけた。
食前酒だからだろうか。甘味はそれほど強くない。
「今日はあたたかくてよかったですね」
「そうだな。というか、この辺りはそもそもあったかいんじゃないのか」
江澄は日中に訪れた千畳敷を思い出した。砂岩の海岸には海からの風が吹き付けていたが、まったく寒くなかった。江澄はコートを脱いだほどだ。
2457向かいに座る藍曦臣の前には、もう少し薄い色のグラスが置かれた。
「梅ジュースをご用意いたしました」
「ありがとうございます」
給仕は一礼すると、半個室を区切る衝立の向こうに下がった。
江澄と藍曦臣は同時にグラスを手に取り、互いに微笑みあった。少しばかり照れくさいものがある。江澄は視線を外してグラスに口をつけた。
食前酒だからだろうか。甘味はそれほど強くない。
「今日はあたたかくてよかったですね」
「そうだな。というか、この辺りはそもそもあったかいんじゃないのか」
江澄は日中に訪れた千畳敷を思い出した。砂岩の海岸には海からの風が吹き付けていたが、まったく寒くなかった。江澄はコートを脱いだほどだ。
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DONE47都道府県グルメ曦澄企画くず餅——京都府
つやを消した木のテーブルと、線の細い椅子の組み合わせはいかにも現代風で、江澄は自分がひどく場違いであるような気分になった。
対して、向かいに座った藍曦臣は周囲の視線を一身に浴びつつも、まったく意に介していない。
「楽しみにしていたんです」
言葉通り、藍曦臣は旅行前からこの茶房に行きたいと言っていた。今日は開店時間に到着できるようにとスケジュールを組んだほどだ。
「あなたはなににします? 私はもう決めているので」
差し出されたメニューを受け取りつつ、江澄は笑った。
「せっかくだから、あなたと同じものにしようか。有名なんだろう? くずもちってやつが」
メニューはいたって簡素だった。四種類の甘味と、数種の飲み物だけ。この中でどうして藍曦臣がくずもちを選んだのか、興味もあった。
1894対して、向かいに座った藍曦臣は周囲の視線を一身に浴びつつも、まったく意に介していない。
「楽しみにしていたんです」
言葉通り、藍曦臣は旅行前からこの茶房に行きたいと言っていた。今日は開店時間に到着できるようにとスケジュールを組んだほどだ。
「あなたはなににします? 私はもう決めているので」
差し出されたメニューを受け取りつつ、江澄は笑った。
「せっかくだから、あなたと同じものにしようか。有名なんだろう? くずもちってやつが」
メニューはいたって簡素だった。四種類の甘味と、数種の飲み物だけ。この中でどうして藍曦臣がくずもちを選んだのか、興味もあった。
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DONE47都道府県グルメ曦澄企画もんじゃ焼き——東京都
引き戸を開けた瞬間に、ソースの焦げる強烈な匂いがぶつかってきた。
江澄は「こんばんはー」と店内に入ると、びっくりしている藍曦臣に来い来いと手招く。
「だから、言ったんだよ。今日にしておいてよかっただろ」
「ええ、いえ、そうですね……」
半ば放心している藍曦臣をテーブルの奥側に座らせて、江澄は上着を壁のハンガーにかけた。
「あとはもうホテルに帰るだけだし、匂いは、ホテルがどうにかしてくれるだろ」
「それは、どうでしょう。……そんなですか」
「パンツにまで染みつくからな」
江澄はにやりと笑って藍曦臣にメニューを差し出した。
店員がやってきて水を置く。
「久しぶりですね」「まあな」と江澄が言葉を交わす。
その間にも、ジュウゥゥゥ、とソースの焦げる音が店内に響いている。
2911江澄は「こんばんはー」と店内に入ると、びっくりしている藍曦臣に来い来いと手招く。
「だから、言ったんだよ。今日にしておいてよかっただろ」
「ええ、いえ、そうですね……」
半ば放心している藍曦臣をテーブルの奥側に座らせて、江澄は上着を壁のハンガーにかけた。
「あとはもうホテルに帰るだけだし、匂いは、ホテルがどうにかしてくれるだろ」
「それは、どうでしょう。……そんなですか」
「パンツにまで染みつくからな」
江澄はにやりと笑って藍曦臣にメニューを差し出した。
店員がやってきて水を置く。
「久しぶりですね」「まあな」と江澄が言葉を交わす。
その間にも、ジュウゥゥゥ、とソースの焦げる音が店内に響いている。
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DONE47都道府県グルメ曦澄企画焼きまんじゅう――群馬県
おいしかったな、おいしかったですね、と言葉を交わして、二人は車に乗り込んだ。
本日のランチは「おっきりこみ」という郷土料理を堪能した。幅広の麺が入ったしょうゆ味の煮込みうどんといえばいいだろうか。白菜やきのこがたっぷり入っていて、食べ応えがあった。
昨晩、お世話になった宿の料理も山菜やきのこがふんだんに使われていた。食べなれない味覚だが、その分、旅行に来たのだと感慨深かったのも事実である。
運転席に座った藍曦臣はエンジンをかけた。
「さて、帰るか」
「そうですね」と藍曦臣はうなずくも、何やら難しげな顔をしてスマホの画面を見つめている。
江澄は首を傾げた。
「どうかしたか?」
「……帰る前に、寄りたいところがありまして」
1392本日のランチは「おっきりこみ」という郷土料理を堪能した。幅広の麺が入ったしょうゆ味の煮込みうどんといえばいいだろうか。白菜やきのこがたっぷり入っていて、食べ応えがあった。
昨晩、お世話になった宿の料理も山菜やきのこがふんだんに使われていた。食べなれない味覚だが、その分、旅行に来たのだと感慨深かったのも事実である。
運転席に座った藍曦臣はエンジンをかけた。
「さて、帰るか」
「そうですね」と藍曦臣はうなずくも、何やら難しげな顔をしてスマホの画面を見つめている。
江澄は首を傾げた。
「どうかしたか?」
「……帰る前に、寄りたいところがありまして」
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DONE47都道府県グルメ曦澄企画北海道、ちゃんちゃん焼き
いらっしゃいませ、と落ち着いた調子の店員の声に促され、江澄と藍曦臣は店の奥へと足を運んだ。店内は鉄板焼きの香ばしい匂いで満ちている。
江澄と藍曦臣が向かい合って席に着くと、すかさず店員が水を持ってやってきた。
「お飲み物をおうかがいいたします」
「地ビールで」
「烏龍茶をお願いします」
「かしこまりました」
店員は注文を受けると、まずテーブルの脇のつまみをひねって鉄板に火を入れた。それから、江澄の前にメニューを置いて去っていった。
「ちゃんちゃん焼きは予約してある。ほかに食べたいものはあるか?」
「そうですね……」
江澄の手からメニューを受け取り、藍曦臣はページをめくった。
鉄板焼きの店である。肉でも、魚介でも、おいしそうではあるけれど、とりあえずは今夜のメインをいただいてからでないと食指が動きそうにない。サラダ、とも考えたが、ちゃんちゃん焼きは野菜もたっぷり入る。
2287江澄と藍曦臣が向かい合って席に着くと、すかさず店員が水を持ってやってきた。
「お飲み物をおうかがいいたします」
「地ビールで」
「烏龍茶をお願いします」
「かしこまりました」
店員は注文を受けると、まずテーブルの脇のつまみをひねって鉄板に火を入れた。それから、江澄の前にメニューを置いて去っていった。
「ちゃんちゃん焼きは予約してある。ほかに食べたいものはあるか?」
「そうですね……」
江澄の手からメニューを受け取り、藍曦臣はページをめくった。
鉄板焼きの店である。肉でも、魚介でも、おいしそうではあるけれど、とりあえずは今夜のメインをいただいてからでないと食指が動きそうにない。サラダ、とも考えたが、ちゃんちゃん焼きは野菜もたっぷり入る。
Celicanan
MEMOにしかわさん(@nisikawaryunosu)の「浪速の芦毛と食いだおれ」読んだ!大阪の地元グルメの紹介と仲睦まじいオグタマの描写がとても良かった!そしてなんと二本立てでオグリvsメカオグリの漫画も入っているので超お得!大阪に行ったらイカ焼きが食べたくなる本!xxx_depend
MEMO2017年頃の大型アフター合同無配アンソロに寄せて、書いた作品です。夏の開催だったので、みずみずしい感じを目指しました。
ダイニングカフェバー店長光忠×グルメ雑誌編集の話はまた書きたいなぁ。
全ては夏の所為・零 空蝉や優曇華(うどんげ)の花が夏の訪れを気付かせてくれる、そんな季節が今年もやってきた。うだるような暑さも、陽が陰れば心地良い。
夕暮れでも湿気た空気は熱を纏い、長谷部のこめかみに汗が一筋つう、と流れる。
時折、夏の匂いをまとう風が、さらりと肌の熱を攫っていく。長谷部は、虫の鳴く音に耳を傾けるように瞼を閉じた。
ぱしゃり。ぱしゃり。
近くから聞こえる水音の方へ目をやると、背の高い男が店先で打水をしていた。
朱色に照らされて光る彼の横顔の、その視線は紫陽花に乗る赤い斑点に向けられていて。長谷部は思わず顔を綻ばせた。
「……『短夜の あけゆく水の匂いかな』……だったか」
「長谷部くん!」
途端にこちらへ一心に注がれる視線と好意に、いつだって長谷部は内心のぼせ上がってしまう。勿論おくびにも出さないけれど。
3685夕暮れでも湿気た空気は熱を纏い、長谷部のこめかみに汗が一筋つう、と流れる。
時折、夏の匂いをまとう風が、さらりと肌の熱を攫っていく。長谷部は、虫の鳴く音に耳を傾けるように瞼を閉じた。
ぱしゃり。ぱしゃり。
近くから聞こえる水音の方へ目をやると、背の高い男が店先で打水をしていた。
朱色に照らされて光る彼の横顔の、その視線は紫陽花に乗る赤い斑点に向けられていて。長谷部は思わず顔を綻ばせた。
「……『短夜の あけゆく水の匂いかな』……だったか」
「長谷部くん!」
途端にこちらへ一心に注がれる視線と好意に、いつだって長谷部は内心のぼせ上がってしまう。勿論おくびにも出さないけれど。
ねころび
DONEグルメバディのルークとモクマさん2人でいっぱい美味しいもの食べてくれればこちらはそれだけでお腹いっぱいです...
※画力不足で南蛮漬けが描けず、ただの焼き魚になりました...あとつみれ汁が雑...いずれ描き直そう...!
庚月烽火
CAN’T MAKEとあるラジオドラマを舞台にした「某社の地方支社に勤務してる俺が神保町にある本社で研修するついでに神保町グルメを堪能する話」的な実際のお店とリンクしてる町歩きマップ兼用の同人誌が欲しいんですけど誰か作ってくださいお願いします(他力本願)セリフだけ書き散らし「短期研修?」
「そ、神保町の本社で1ヶ月ほど」
「神保町ってことはカレー食べ放題じゃないすかやったー」
「いやちゃんと仕事してね?研修だからね??」
「…もしかして君、研修で来た人?」
「もしかしなくてもそうですね」
「研修初日から何してるんスかっ」
「俺の研修は午後からなんで神保町初ランチを満喫しようとしてますが何か?」
「これがあの有名な居酒屋…!」
「よくドラマのロケで使われてますよねー」
「確かあの席に…そうあの壁のメニューがトレンド入りしたやつ…神よ!!」
「え、ガチ勢?マジで??」
「カレー屋と喫茶店だけでも山ほどあんのにそれ以外の店も豊富とかふざけてません」
「何で逆ギレ気味なんですか?」
「1ヶ月じゃ食いきれねんすよ!時間と胃袋が足りねぇ!!」
363「そ、神保町の本社で1ヶ月ほど」
「神保町ってことはカレー食べ放題じゃないすかやったー」
「いやちゃんと仕事してね?研修だからね??」
「…もしかして君、研修で来た人?」
「もしかしなくてもそうですね」
「研修初日から何してるんスかっ」
「俺の研修は午後からなんで神保町初ランチを満喫しようとしてますが何か?」
「これがあの有名な居酒屋…!」
「よくドラマのロケで使われてますよねー」
「確かあの席に…そうあの壁のメニューがトレンド入りしたやつ…神よ!!」
「え、ガチ勢?マジで??」
「カレー屋と喫茶店だけでも山ほどあんのにそれ以外の店も豊富とかふざけてません」
「何で逆ギレ気味なんですか?」
「1ヶ月じゃ食いきれねんすよ!時間と胃袋が足りねぇ!!」
つぶ
DONE「自然豊かな避暑地、蒜山のご当地グルメの“ひるぜん焼きそば”🌟かしわ肉が使われとって、甘辛味噌ダレと絡んでめっちゃ美味いでー!!!!優しい味じゃ💗」#創作BL #一次創作 #オリジナル #リュウマとプリン #プリンちゃんと歩く岡山
sangurai3
MOURNINGダイ大二次創作 原作完結後想定 少し暗めのぐるぐるメルル。ポップとマァムもちょっとだけ。メルルのお家が公式より豪華(?)になってしまったけど今更直せないので供養…
籠の中では歌えない暖炉に薪をくべる。炎が赤く燃え上がり、火の粉がはじける。
パチパチとはじけるような音を聴きながら、椅子に深く腰掛けたメルルはため息をつき目を閉じた。目頭に指を当て、じわりと残る重みを解きほぐそうと試みる。
テーブルの上には重ねられた紙束が乗せられている。何枚にもおよんで書き連ねられた便箋。封筒の中央、割れた封蝋には様々な種類の印璽が見て取れる。
そろそろ日が暮れる。彼等が来る前に灯りを点けなくては。
そう思うのに、メルルはずっとその場から動けないでいる。
ダイを探しながら各地の復興の手助けをする旅を続けている。
大魔王が倒され世界に平和が戻り、それでも魔の力に蹂躙された傷跡は簡単には消えはしない。
王都を攻められ王族まで犠牲となった国も少なくないなか、小さな町や村々までは手が回りきらないのが現状だ。
5110パチパチとはじけるような音を聴きながら、椅子に深く腰掛けたメルルはため息をつき目を閉じた。目頭に指を当て、じわりと残る重みを解きほぐそうと試みる。
テーブルの上には重ねられた紙束が乗せられている。何枚にもおよんで書き連ねられた便箋。封筒の中央、割れた封蝋には様々な種類の印璽が見て取れる。
そろそろ日が暮れる。彼等が来る前に灯りを点けなくては。
そう思うのに、メルルはずっとその場から動けないでいる。
ダイを探しながら各地の復興の手助けをする旅を続けている。
大魔王が倒され世界に平和が戻り、それでも魔の力に蹂躙された傷跡は簡単には消えはしない。
王都を攻められ王族まで犠牲となった国も少なくないなか、小さな町や村々までは手が回りきらないのが現状だ。
しぇきー
PAST尾道の鮒コラボ第一弾のときの旅のしおりの一部。当時まだ尾道グルメに詳しく無かったので拙いですが、楽しかった旅の思い出のひとつなので個人情報のない部分だけ抜粋してアップします。
みんな帰島しよう。 12
まっすー
DONE兵庫県佐用町の観光イメージキャラクター「おさよん」を描きました。佐用町は、自然が豊かで向日葵畑や飛龍の滝・平福の街並み・西はりま天文台などの観光名所、ホルモン焼きうどんやしかコロッケ・もち大豆などの美味しいグルメや特産品がある素晴らしい町です。
Piorimu_novel
DONE【タイトル】孤独のヒュンケル 第2話 火鍋※通りすがりにうまい店を見つけては、孤独なグルメを堪能するンケル
【登場人物】ヒュンケル
【ご注意】漫画全巻完結後のお話です。ネタバレにご注意! 6
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DONE【タイトル】孤独のヒュンケル 第1話 焼き鳥※単発のお話です。通りすがりにうまい店を見つけては孤独なグルメを堪能するヒュンケル小話
【登場人物】ヒュンケル(酒は飲めない設定)
【ご注意】漫画版完結後のお話です。ネタバレ注意!
#二次創作 #ヒュンケル #ネタバレ 6