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    PROGRESSポイピお試し
    モラ帰コピ本、夢オチ確定してるのでどこまで糖度をゴリ盛れるかチキチキレースになっている 出せたらいいな

    ※A5コピー本、2段組、鍾フレグランスによる香り付けを予定しています
    会場頒布価格200円
    ステイ・ウィズ・ミー 開け放った窓から流れるそよ風の気配がして、モラクスは緩慢にまぶたをあげた。意識が覚醒しきる前、一番に琉璃百合の香りが鼻を擽る。甘く優しい香りだ。ぼやけた視界が少しずつはっきりとすると、そこには同じ一枚の布の中で穏やかに眠る帰終の顔があった。彼女のふわふわした潤色の髪がうねりくねり、絡まり、健やかで幼い寝顔を囲み戯れている。ふとまるい白い肩に触れてみると完全に冷えきってしまっており、天然の霓裳花で織られた肌触りのいいリネンを首元まで引っ張りあげた。ふ、とモラクスは息をつく。まだ覚めきらない目を乱雑に擦れば、霞がかった昨夜の記憶が塵になって落ちていくようだった。
     早朝の純真な風がやわらかな花の香りを運ぶ。開いた窓の隙間から覗く太陽が二度寝を咎めた。とても気持ちのいい朝だ。琉璃百合は大地の記憶を香りに変えると言う。きっとこの土地は、健やかで安らかで穏やかな幸せの記憶に満ちているに違いない。モラクスはそれはそれは愛おしそうに目を細めて帰終を見た。すよすよと平和な寝息に耳を立てる。これこそが幸福のかたちなのだと思った。
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    あもり

    DONE11/23 スパークにて会場無配コピー本として頒布した、遙か3小話です。
    遙か3本編前の八葉それぞれの情景や場面を映した,まさに小話集です。
    カップリング要素なし。オールキャラものです。
    当日お手に取っていただいた方、本当にありがとうございました。
    ※「春日望美の有在」通販購入に限り、こちらの現物をお付けしています。
    それぞれの前夜「朔殿は大丈夫ですか、景時」
     陣幕から一人出てきた景時に向かって声をかけると、思ったよりも肩の力を抜けさせてこちらに歩み寄ってきた。
    「うん、もう大丈夫。あとは寝て回復するしかないだろうからね」
    「……無茶をさせてしまったな」
    「白龍の神子がいればまた違ってくるんでしょうが」
    「白龍の神子、か」
    「おや九郎。その声は信じていませんね」
    「そういうわけではないが……、俺はこの目で見るものでしか、判断できないだけだ」
     弁慶がからかうように声をかければ、九郎はやや眉を寄せた表情を浮かべる。嘘をつくことを知らないまっすぐな源氏の総大将は、自分の感情にも素直であった。
    「九郎らしいね~」
    「なんだと」
     褒めているのになあ、と景時は苦笑しながら、あつらえられた席に座る。弁慶は三人そろった卓に持ち出してきた書を広げる。これからの京への進め方、そして、景時と弁慶はお互い言わないがー実践として初めて源氏軍に加わった、自分たちの下にいる黒龍の神子のことを嫌でも意識せざるをえなかった。
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