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    シノブ

    mii_wannyantyu

    DONE実験体しのぶさんと研究員カナエさんのお話。
    だーさんの素敵すぎるイラストより。『出会い』
    『出会い』

    カナエさん視点

    「ある子供の言語訓練をしてくれないか。」

     実験を繰り返していたある日、そんなことを同僚に頼まれた。……今抱えている患者さんたちや研究はそんなに多くはないし、あと一人くらいなら大丈夫でしょう。どんな子とおしゃべりできるのかしら。仲良くなれるといいな。なんて軽い気持ちで私は彼の提案を、二つ返事で引き受けた。

     彼は、私と同じ時期に研究機関に入った、所謂同期。配属場所が違ったから、なんの研究をしてるのかは知らなかったけれど、食堂などで会った時は、話をするような仲だった。

     ◇

     彼の話によると、今回の被験者(対象者)は、六歳の子供で、知的な思考、基本的生活習慣の発達などには問題がないが、発語がないのだそう。知的な能力はむしろ優れていて、読み書きは完璧。日本語以外の言語だってお手の物なのだそうだ。しかし、言葉が出ない。器官的に問題があるのか、それとも精神的なものなのか。話を聞くだけでは全く分からない。いったいどうしてそうなったのかを、まずは知る必要があった。その子供に、会ってみなければ。

     ◇

    「ここです。ああ、気をつけて。ここにいる奴らは超能力も 5809

    mii_wannyantyu

    DOODLE実験体しのぶさんと研究者カナエさんのお話。
    最初だけ。
    実験体しのぶさんと研究者カナエさん

    カナエさん視点

    「カナエ、本当に行くんですね?」
    「ええ。私にできることがあるのなら、やりたいの。お願い、父さん、母さん。」

     ◇

     ふ、と目を覚ますと、そこは実家ではなく、見慣れた私の部屋だった。研究機関に併設されている、居住区にある一室。研究者たちが快適に過ごすことのできるよう、その人にあった部屋を提供されている。私に割り当てられた部屋は、一般のマンションと大差ないものだった。これだけでも、十分すぎるくらいなのだけれど。

     起き上がり、電気をつけて、伸びをする。懐かしい夢を、見たものだ。あれは確か、私がここに来ることを決めた日の出来事。ここに来て、もう6年目。新人の期間は終わり、後輩もできた。覚えること、実践すること、応用すること。毎日新たな人や、物事との出会いにてんてこまいだ。

     私の専門分野はコミュニケーションだけど、ここには美術や医学など、色々な人がいる。そんな人たちと話し、意見を交わすことのできるここは、私にとってとても居心地の良い場所だった。

     さあ、新しい1日の始まりだ。カーテンを開けて、部屋の中いっぱいに、日の光を取り 1564

    mii_wannyantyu

    DOODLEポッキーの日。カナエさんとしのぶさん。付き合ってる。カナエさんと。
    付き合ってる。

    「しのぶ〜、今日が何の日か知ってる?」
    「今日?第一次世界大戦の停戦記念日でしょう?」
    ……。そう言うと思ったわ。勤勉なしのぶのことだもの。うん。分かってたわかってた。
    しのぶはこういうイベントごとには疎いもの。
    気落ちする自分をなんとか持ち上げて、次のステップに行こうと自分を奮い立たせた。手には昨日買っておいた赤い箱を持って。

    「今日はね、ポッキーの日、なのよ。しのぶ。」
    「ポッキー?ああ、日付の形がってこと?ふーん。安直なのねぇ。」
    「そういうこと言わないの。」

    私は箱をベリっと開けて、中から銀色の袋を取り出した。中袋を開き、一本のポッキーを取って、しのぶに差し出す。
    「しのぶ、ポッキーゲーム、しましょう。」
    「?いいけど。」

    どうやらしのぶは、ポッキーゲームを知っていたようで、ぱくり、とポッキーの、チョコのついている方を咥えた。
    ……なんか、これだけでクるものがあるわね……。いけないことをしている気分だわ。

    いけないいけない。気後れしちゃだめ。負けないように頑張らなくっちゃ。

    「じゃあ、いい?」

    私は邪魔になる横髪を掻き上げて耳にかけ 1768

    mii_wannyantyu

    PROGRESS大女優しのぶさんと新人女優蜜璃さんの第一話。(誤字脱字あり)
    今しんどくてもう少しで甘々にいけるというところを書いている。しんどい。しのぶさん心開いて早く…。しのみつなんだよ…あなたからぐいぐいいくんですよ分かってます…?どうか…続きを書けと、ケツを叩いて欲しい…。
    1.胡蝶しのぶという女優

    東京都北区出身、2月24日生まれ、現在18歳の現役高校生。
    子役としても活躍していたが、14歳の時に出演した、『蝶屋敷の女主人』で本格的にデビュー。天真爛漫で無邪気な少女が、ある日を境に大切なものを奪われ、復讐を果たすために戦い続けるというストーリー。勝ち気で強気な無垢な少女と、蝶屋敷の主人として凛とたたずみ、胸の内には怒りと憎しみを飼う女性というまさに真逆の役を、たったひとりきりで、しかも14歳という若さで演じきった。それは、圧巻の一言であった。
    まるで役が憑りついたような演技が、各所で高い評価を受け、その後はアクション、ヒューマンドラマ、SF、時代劇など様々な役に抜擢され、18歳となった今でも、その輝きは鈍ることをしらず、煌々と輝き続けている。
    『役を生きる女優』という異名のもと、彼女は今日も、演じ続けている。

    ……これが、世間の知る、世間が思う、胡蝶しのぶ。私が、演じている、胡蝶しのぶ。
    「まだ、まだ足りない。……姉さんの場所には、まだ、届かない。もっと、努力をしなくちゃ。もっと、自分を殺さなくちゃ。」
    ベッドの上に読んでいた雑誌を放り投げ、わたしは 3341

    natu_hoshi_oni

    DONE猫しのぶさんと派手な男とハロウィンの話。本日はハロウィンなり。

     キメツ学園の廊下を、ぱたぱたと白いシーツを被ったナニカが走っている。
     生徒たちよりずっと小さなナニカには、よく見れば穴が開いており、目元から菫色の大きな瞳がくりくりと覗き、頭から黒い耳が音に反応してぴこぴこと揺れ、腰に開いた穴から尻尾がゆらゆらと揺れている。

     首には『とりっく おあ とりぃと』と拙く書かれたプラカードを下げて、どうやら保健室に向かっている様だ。

     バスケットの中いっぱいのお菓子をぎゅっと抱きしめてほわほわ歩いている小さな影に、ずいっと覆い被さる大きな影。

    「お? 胡蝶の猫じゃねぇか」

     そんなシーツお化けに声をかける派手な男。

    「……?」
    「よお」

     まじまじと無遠慮に見下ろし、首にぶら下がるプラカードを見て「ふぅん?」と面白そうに笑う派手な男に、白いシーツは「……ん!」とプラカードを見せつける。

    「あん? 今日の俺様から菓子をふんだくろうとは、なかなかに悪じゃねぇか。胡蝶猫」
    「……?」
    「まあ、お前に言ってもしょうがないか。……しかし、そうだなぁ」

     にやにやと、派手な男はポケットから飴玉を取り出し、おもむろに目の前で 1740

    natu_hoshi_oni

    MAIKINGTwitterで妄想してた初期のしのぶさんのホラーを文章化しようとしたもの。怖い話、ですか?

     なるほど。次の休みに百物語をする予定なので、お話のストックが欲しいと。
     ええ、構いませんよ。私で良ければ力になります。……でも、困りましたね。私は語るのが好きというだけで、そういった話に明るくは無いのですよ。

     いえいえ、語る際の抑揚で怖がらせるのが趣味なだけで……あら、そう言って頂けると語ったかいがありますね。ありがとうございます。

     ふふ、気分も良いので、手ぶらで帰らせるのもなんですし。……そうですね。

     私の、ちょっとした体験談などいかがでしょう?






     case.1 白紙の手紙






     カタンと、軽い音をたててポストの蓋を開ける。

     この日も、私宛の手紙が一通だけ入っていて、溜息を零しながら手を伸ばす。

    『胡蝶しのぶ様』

     封筒には、私の名前だけ記載されている。住所も電話番号もかかれていない胡散臭いソレを、感触と臭い、重さで危険はないと判断して開ける。
     ハラリと、中を取り出せば予想通り、白紙の何も書かれていない紙片に眉をしかめる。

    (何がしたいのかしら……?)

     最初は、これに何か意味があるのではと色々気になって調べてみた 2080