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    ニワカ

    _41

    MAIKING【アズ監♂】自分はアズールに相応しくないのではないかと悩む監♂のはなし。
    ※力尽きて放置してあったので途中までです
    ※台詞のなかでデフォルトネームの「ユウ」を使用しています
    ※性別が明確にわかるようなシーンはないですが♂派なので♂と表記しています
    うつくしいひとだった。手本のような持ち方でペンをにぎる細長い指先。文献の記述をたどっていくアイスブルーの瞳。すらすらとよどみなく答えを紡ぎ出す唇。彼をかたちづくるものは、なにもかもうつくしい。
     その最たるものが、心だった。ひたすらに努力を重ねてきた勤勉さと、それゆえの自信。
     監督生にとって、アズール・アーシェングロットは誰よりもうつくしいひとだった。
    「監督生さん、聞いていらっしゃいますか?」
     隣からの呆れたような声に、監督生はふと我に返る。古い紙のにおいが満ちた空間。机に積まれたいくつもの本。真っ白な課題に少しずつ広がっていくインクの染み。
     慌ててペンを置き、監督生は隣に座るアズールにちらりと視線を向ける。呆れてはいるようだが、機嫌を損ねてしまったわけではないらしい。
    「すみません先輩……!」
     場所を考え、できるだけ声を落として謝罪する。ふたりのまわりには大きな本棚が並ぶばかりで、他には誰もいないのだけれど。
     放課後の図書館。進まぬ課題に一人で唸っていれば、ちょうど返却に訪れたアズールが見かねたように声をかけてくれたのだ。ラウンジの開店にはまだ少し時間があるから、と。
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