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    二宮

    hn314

    DONE太刀川の男友達視点の話。ベタなやつです※太刀川と二宮の左右なし。
    第三者視点の話「──太刀川、おまえ恋人が出来たのか?」
     オレがカレーを食べていた手を止めてたずねると、向かいの席に座る太刀川がうどんを啜っていた顔をあげた。その拍子にさっきまで見えていた“それ”が髪に隠れて、心の中でほっと安心する。太刀川はゆるいし抜けたところが目立つ奴だけど、けしてデリカシーに欠けるわけじゃない。知っていたらなんらかの対策をして大学に来るはずだ。だから本人が気づいていないからこそ、いまオレたちがいるここ──空席が見当たらないくらい混雑している昼休みの食堂で。いくら隅にあるふたり用の席に座っているとはいえ、近くを通りかかった他の学生に会話が聞かれる可能性があるなか、デリケートな話題をどう指摘したものか悩んでいたから助かった。この場に堤がいたらオレの代わりに上手い言い方を見つけてくれたのかもしれないが。そうオレが高校時代からの友人の顔を思い浮かべていると、おなじく高校時代からの友人の太刀川が「お、よくわかったな」とめずらしく驚いたように言う。「まだ話してなかったはずだが」と聞かれて、「なんとなく察したんだよ」と誤魔化した。察した理由はさすがに口には出来なかった。
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