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    Emitany54

    DONEゲームやっててエメと自機との関係性がしっくり来なかったので、しっくりさせる為にとりあえず出会い編を書いてみました。古代人小話。

    ※暁月のネタバレがあるよ!
    ※アゼム設定の捏造があるよ!
    ※該当の人物やモンスター名が今後出てきたらこの設定は即座に爆発するよ!
    夢を織る花花咲き乱れる園、エルピス。ここは実験生物の為の理想的な気候が常に用意されている。今日もまたどこまでも高い空に白い花弁が風に舞い、実験場の浮島に落ちる光と影が美しい景色を織り成していた。
    エメトセルクはここで新しくアゼムの座に就く予定の青年を探していた。その青年とは長らく連絡がつかず、業を煮やしたエメトセルクは、ヴェーネスに似た色を持つエーテルの残滓を辿ってここまでやって来たのだった。
    「なぜエルピスに?」
    エメトセルクは眉を顰めた。創造生物の実験場であるこの場所に、アゼム候補が赴いた理由が分からない。彼が創造生物の研究に携わる理由も略歴書からは窺い知れなかった。しかし、アゼムの座に就く奴、またはアゼム候補はいつだって奇人変人ばかり。気まぐれでここに潜り込もうとするような輩でもおかしくはないだろう。エメトセルクはさらに眉間に皺を寄せて軽い溜息をついた。広大なエルピスの中をエーテル視で確実に標的の元へと辿りながら、エメトセルクはその冷静な瞳で周囲を観察していた。
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    @ricohitherh

    DONE初めて書いたぶれまい。節見さんと衣都ちゃんの、カプ未満なジュンブラ会話に纏わる短いおはなし。夜の事務所でふたりきりで事務処理でもしているシチュでお読み頂けると幸いです。節見さんの最後の台詞は、聞いた衣都ちゃんの反応を見たくてわざと冗談で言っています。「それってどういう意味で」と慌てたり、「新開さんに私が試されるやつじゃないですか……」とドン引きされたりとか、真顔以外の衣都ちゃんを引き出したい
    competitive ブライダルフェアに感化されたのか、弥代が「もし結婚するなら……」と小さく呟いたのが耳に届いた。
    「何?」
    「もし節見さんが結婚するなら、お相手はどんな方だろうって」
    「自分の結婚じゃなくて、俺の話? 俺は一人が楽で好きなんだ。誰かと一緒にいたいって思う未来は……今の所見えない。どう考えても弥代の方が先でしょ」
    「……そうなんでしょうか。今回の依頼でこれだけ色々調べたり準備したのに、自分が結婚するってイメージ、全然できませんでしたし。あ、でも、新開さんに『お前にそう言うやつができたら、俺より強いか試してやるから連れてこい』って言われたのはちょっと面白かったです」
     面白いと思っているとは見えない顔で告げられた内容は、確かに少し面白い。
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    いしえ

    DONE趙公明の生い立ちと、仙界入りの経緯について、想像して書きました。それからさきの、本編についてもさらりと。通天教主との会話が多少ある。
    最初、紙にざっくり書いて、それからそれを見ずにパソコンで実際に書き始めたところ、データのものと紙とで扱う時間の長さがめちゃめちゃ違っていて、紙のは部分的に没にしたんですが、これはこれでアリだな…と思ったので、話のあとに、おまけとして載せています。
    語り継がれし伝説の花よ、鬼神じみたヤマユリよ/趙公明にまつわる話 伝説の花よ、ヤマユリよ。語り継がれし強大なる鬼神よ。バラの宿命さだめに生まれし気高き騎士ナイトのままに彼は生き、神話へとなお、生き続ける。これは、そんな彼、趙公明の生い立ちにまつわるこの地球ほしの比較的新しい記憶だ。
     それは初め、原初性を未だ残したムラより離れた山中に荘厳に咲き誇るヤマユリの、ごく一株に、過ぎなかった。その個体がほかと違っていたのは、寿命が少々、長かった点。幾ら多年草でも、長すぎたのだ。かと言え、山に住む動物たちも付近の植物も、あるいは、稀に足を踏み入れた人間も、それをそのように認識することは叶わなかった。それよりさきに、皆、天寿を全うするのだから。あるものは何となく、自らの生まれたときより同じ場所に咲き誇り続けるそれが、死を目前にしてなお咲いていることを、薄れゆく意識のなか思いながら、天に召された。けれど、それを語り継ぐものが在るでもなし。そのころまだ仙界というものはなかったものの、仮にあったとて、木々に隠れている一株の花を、あえて観測する者もいなかっただろう。そのころちょうど、人間のつくる集団単位は、規模を徐々に伸ばしつつあった、転換期と言えよう。そんななかで、時が、静かにたった。そのヤマユリは、それでも密かに山中に、誇らしげに、咲き続けていた。
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