十二国記
サバ缶
DOODLE【新装版購入者限定】トーヤ様著『蒼穹の陽 地の花』(カルジナ十二国記パロ)挿絵ラフ/設定画⑤【注意】これだけちょびっとスケベがあります!
1〜3枚目:梵天さんの服設定の変遷
4・5枚目:「女怪は母乳で麒麟を養う」ことに気づいて情緒が狂った時の絵……母乳注意!
6枚目:イチャ
7〜9枚目:お疲れの王様×癒そうとした麒麟の元おねショタを意識したイチャ
パスワード:奥付のページ数 9
yo_lu26
MENUシャッフルオクタ展示作品です。ジェイフロです。※どうやっても、原作の素晴らしさには敵わないので、書きたいところのハイライトのみです。短い。
原作を知らなくても読めますが、読んでいると概念を吸えてニヤニヤできると思います。十二国記っぽいパロというフワッとした設定のため、おおいに原作を改変しています。
十二国記「図南の翼」パロ「図南の翼」パロ
珠晶→フロイド「皆ビビって王にならないなら、オレがなる。そしたら誰にも文句言われねーし、最高じゃあん♡」
恭麒→ジェイド「フロイド、お迎えに参りました」
頑丘と利広と天仙→アズール「僕たちは非常にラッキーです。やはり貴方は『鵬の翼』だ」
***
恭国の支柱たる恭王が斃れて27年が経ち、王不在の国には数多の妖魔が跋扈し、旱魃や水害の災厄が全土を覆い、国土は荒れ果てていた。見上げる大人達の顔は草臥れ窶れ果て、幼い頃からフロイドは子守ばあやの諦念の溜息を子守唄に育ってきた。彼は恭国の裕福な商人の息子だ。その育ちの良さからは想像もつかないほど型破りな問題児であったため、常に周囲の大人から怒られていたが、その天真爛漫さで皆から可愛がられて何不自由なく育った。しかし、あまりに自由過ぎる彼は今年12歳になったばかりであるというのに「皆ビビって王にならないなら、オレがなる。そしたら誰にも文句言われねーし、最高じゃあん♡」と言い放ち、周囲が止めるのも聞かずに昇山のために家を飛び出してしまった。昇山とは、麒麟のいる蓬山を目指して黄海と呼ばれる砂漠を旅し、天啓を得る、すなわち麒麟に自らの王の資質を見定めてもらいに行くことである。黄海は果てしなく広がる砂漠で、天にも見放されたと言われるその土地には、恐ろしい妖魔がうようよいる。幼い子供一人ではとても渡りきることはできない。そのため、フロイドは黄海を安全に渡れるために一緒に旅に随行してくれる用心棒兼案内人を銀貨で雇った。大人たちは幼いフロイドの言うことなど、まともに相手にしない者達ばかりだったが、フロイドの出で立ちと王になると言ってはばからない威勢の良い物言いと年齢とのギャップに興味をそそられたらしく、一人だけ快諾してくれた男がいた。銀髪のその男の名はアズールと言った。長年、この黄海で妖魔を狩っては金持ち相手に売り捌く商売をしているのだという。確かにアズールはべらぼうに腕が立つ男だった。妖魔を次々に狩り立てていき、道を拓き、フロイドに過酷な黄海を進む術を教えて、彼らの旅は順調に進んでいった。しかし、途中でフロイドが持ち前の自由奔放さを発揮したせいで迷子になり、一人で妖魔の巣に迷い込んでしまう。妖魔の巣は一見それとは分からない。フロイドはそこが近づいてはいけない場所だとは気づかなかった。巣の中には卵がある
3995珠晶→フロイド「皆ビビって王にならないなら、オレがなる。そしたら誰にも文句言われねーし、最高じゃあん♡」
恭麒→ジェイド「フロイド、お迎えに参りました」
頑丘と利広と天仙→アズール「僕たちは非常にラッキーです。やはり貴方は『鵬の翼』だ」
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恭国の支柱たる恭王が斃れて27年が経ち、王不在の国には数多の妖魔が跋扈し、旱魃や水害の災厄が全土を覆い、国土は荒れ果てていた。見上げる大人達の顔は草臥れ窶れ果て、幼い頃からフロイドは子守ばあやの諦念の溜息を子守唄に育ってきた。彼は恭国の裕福な商人の息子だ。その育ちの良さからは想像もつかないほど型破りな問題児であったため、常に周囲の大人から怒られていたが、その天真爛漫さで皆から可愛がられて何不自由なく育った。しかし、あまりに自由過ぎる彼は今年12歳になったばかりであるというのに「皆ビビって王にならないなら、オレがなる。そしたら誰にも文句言われねーし、最高じゃあん♡」と言い放ち、周囲が止めるのも聞かずに昇山のために家を飛び出してしまった。昇山とは、麒麟のいる蓬山を目指して黄海と呼ばれる砂漠を旅し、天啓を得る、すなわち麒麟に自らの王の資質を見定めてもらいに行くことである。黄海は果てしなく広がる砂漠で、天にも見放されたと言われるその土地には、恐ろしい妖魔がうようよいる。幼い子供一人ではとても渡りきることはできない。そのため、フロイドは黄海を安全に渡れるために一緒に旅に随行してくれる用心棒兼案内人を銀貨で雇った。大人たちは幼いフロイドの言うことなど、まともに相手にしない者達ばかりだったが、フロイドの出で立ちと王になると言ってはばからない威勢の良い物言いと年齢とのギャップに興味をそそられたらしく、一人だけ快諾してくれた男がいた。銀髪のその男の名はアズールと言った。長年、この黄海で妖魔を狩っては金持ち相手に売り捌く商売をしているのだという。確かにアズールはべらぼうに腕が立つ男だった。妖魔を次々に狩り立てていき、道を拓き、フロイドに過酷な黄海を進む術を教えて、彼らの旅は順調に進んでいった。しかし、途中でフロイドが持ち前の自由奔放さを発揮したせいで迷子になり、一人で妖魔の巣に迷い込んでしまう。妖魔の巣は一見それとは分からない。フロイドはそこが近づいてはいけない場所だとは気づかなかった。巣の中には卵がある
Nicolle45475608
MAIKING以前に話していた十二国記パロ今回はマーヴの独り言です。
十二国記は
12個の国に王様がいて
その王様を麒麟と呼ばれる特別な生き物(普通に人の見た目)が選ぶ。という設定です。
麒麟は王様を選べる唯一の存在なので、絶対に王様を見つけ出さなければならない役割があります。
(王様に、王様になる自覚とか、資格とかは全く問われない)麒麟に選ばれたから王なのです
深く考えちゃだめ 405
おきゃめ
DOODLE戴国絡みの巻を繰り返し読むこの頃泰麒けなげで可愛すぎる~そら汕子もモンペになるし李斎も必死になるよな
驍宗さまにだっこしてもらってたのが逆に背に乗せて翔けることができるくらい立派になったんだね…
あの救出劇アニメで見てえ~~~
mokka_imakai
MOURNINGもう何番煎じですかというくらいお馴染みの組み合わせですね!おそらく去年描いたと思われますが、描いた勢いですぐ投稿しないとこういうのって永遠に出す機会を逃しますね(冷静になったらすぐ賢者タイムになるオタク)私が物心ついた時の久川氏は十二国記の陽子を演じられてたので、まさか亜美ちゃんとレイとケロちゃんが同じ声帯をしてるとは夢にも思わなかったです。んん~良い声だなぁ~!!!好★き(キモくてすみません)雨うさぎ
MEMO思いつくままに書き殴った箇条書きのメモ。十二国記パロだけど、pixivにあげてる小説とは違うパターンで、霊幻が海客(胎果)でこっちに流されて黒麒麟のモブと出逢う話です。師匠が王様でモブくんが麒麟だと凄い霊モブ感が強い…😅十二国記パロ十二国記パロ。
霊幻が王の場合。
数年前、触で流されてきた海客。
元々サラリーマンだったが、脱サラして霊能事務所たてたばかりだった。
そこでこの世界でも似たような仕事を始める。
言葉とかも大変だったが、頭はよかった霊幻、すぐに覚えた。
向こうでは髪の色は金に近い明るい色だったが、こっちにきては、くすんだ茶にになる。
自ら、仙を自称し、色々な相談を解決する。
便利屋に近い。
妖魔の仕業ですねと、断言し、なんとかごまかし依頼達成する。
運動神経も悪くないが、普通の人間なため、本物の妖魔退治はできない。
3年ほどまえ、子供が霊幻の元にやってきた。
すごく思い悩んでる。
自分の力を持て余しているらしい。
悩んでるところ、霊幻に会って、何か感じたもよう。
5420霊幻が王の場合。
数年前、触で流されてきた海客。
元々サラリーマンだったが、脱サラして霊能事務所たてたばかりだった。
そこでこの世界でも似たような仕事を始める。
言葉とかも大変だったが、頭はよかった霊幻、すぐに覚えた。
向こうでは髪の色は金に近い明るい色だったが、こっちにきては、くすんだ茶にになる。
自ら、仙を自称し、色々な相談を解決する。
便利屋に近い。
妖魔の仕業ですねと、断言し、なんとかごまかし依頼達成する。
運動神経も悪くないが、普通の人間なため、本物の妖魔退治はできない。
3年ほどまえ、子供が霊幻の元にやってきた。
すごく思い悩んでる。
自分の力を持て余しているらしい。
悩んでるところ、霊幻に会って、何か感じたもよう。
Fruit🍏
MEMO『風の万里 黎明の空』上巻講談社 ホワイトハート(WH)版と新潮文庫版で変更されている場所(一部)のリストです。基本、漢字・かな表記違いは入れておりません。(私のタイピングミス等ある場合があります。予めご了承ください🙇🏻♀️💦) 6
hoshinami629
CAN’T MAKE禁軍右軍がわんこを拾って……という話。友尚は拾って来るくせに自分で引き取ったりしない男なのだ、という部分を書いたら満足した+この後犬が死んで阿選が何とも言えない気持ちになる、というエンドしか思い浮かばなくて辛い。続き書けそうなら書きますが……書いてて辛い……。禁軍右軍が犬を拾った 先王の命で江州へと進軍した、その帰りの道だったと思う。一匹の犬が隊の後ろをついて来た。飢えた野犬が人影を認めて近付いて来るのは、割合に良くあることだ。最初は麾下の一人が軽い気持ちで糧秣を分けてやっていた。帰投の途に就けば兵卒というものは、無事に終わったという安堵と、命あるものには優しくしてやりたいという感傷と、その両方を抱えるものだ。戯れに皆が犬の面倒をみたのも、そうした空気ゆえに発生した偶発的な出来事だった。
犬はそれに味を占めてか、それとも習性ゆえに群れに混じりたいと思ってか、まるで一兵卒のように軍の中へ入り込むようになった。時は秋の終わり、初雪の降る前に鴻基へ到着したいと、誰も彼も気が急いていた。通常の進軍よりも速度を上げて、街道を踏破してゆく。肋の浮いた体格の良くない犬だから、途中で脱落するに違いない。そう思っていたが不思議と持ち堪えて、その犬はとうとう鴻基までついて来てしまった。今更何処へなりと行けと放したところで、絶対に纏わりついて来る。そのことは指揮官から兵卒まで、江州から戻った右軍の全員が理解していた。
1000犬はそれに味を占めてか、それとも習性ゆえに群れに混じりたいと思ってか、まるで一兵卒のように軍の中へ入り込むようになった。時は秋の終わり、初雪の降る前に鴻基へ到着したいと、誰も彼も気が急いていた。通常の進軍よりも速度を上げて、街道を踏破してゆく。肋の浮いた体格の良くない犬だから、途中で脱落するに違いない。そう思っていたが不思議と持ち堪えて、その犬はとうとう鴻基までついて来てしまった。今更何処へなりと行けと放したところで、絶対に纏わりついて来る。そのことは指揮官から兵卒まで、江州から戻った右軍の全員が理解していた。
さなだむしお
DOODLEsvsssちろっともらした七九の十二国記パロから、なぜか七九ルートが読みたいのに簒奪からの冰九ルートしか浮かばNEEEEE七死亡の時点で冰九のハピエンは(むしおの技量では)不可能なので、「どうせ沈むなら私と沈んで下さいよ」「いつまでそんなもの見てるんです?貴方はもう私の麒麟なんですよ」って壊れた九抱えて国を蹂躙する元将軍現王冰哥ってつぶやいたついでに描いた(続かない
かける?とこだけ追加してく 3
somakusanao
DONE書いている私だけが楽しい十二国記パロ十二国記パロ④「それにしても、あれほど荒れはてた巧国をなかなかうまくまとめたものだねぇ」
氾王は優雅な手つきで扇を仰ぎながら、つぶやいた。穏やかな気候の王宮の中である。扇は涼をとるためではなく、見せびらかすための贅を凝らしたものである。範は農作物にしても工芸品しても平均的な国であったが、見事な工芸品で他国に名を轟かせている。
一方の巧国は新王が立ったばかりである。荒れた国ではどうしても工芸品にまで手は至らない。王の威厳を保つための服飾品の多くは範からの借りものであった。買い取ったわけではない。あくまで借りたものだ。この度の来訪もその借りた品々を返すためである。
「治世五年でうまくやっている方だ」
「外面を取り繕っているだけです。中身は貧乏国のまま。服も金も軍もなにもかも借りものです」
2273氾王は優雅な手つきで扇を仰ぎながら、つぶやいた。穏やかな気候の王宮の中である。扇は涼をとるためではなく、見せびらかすための贅を凝らしたものである。範は農作物にしても工芸品しても平均的な国であったが、見事な工芸品で他国に名を轟かせている。
一方の巧国は新王が立ったばかりである。荒れた国ではどうしても工芸品にまで手は至らない。王の威厳を保つための服飾品の多くは範からの借りものであった。買い取ったわけではない。あくまで借りたものだ。この度の来訪もその借りた品々を返すためである。
「治世五年でうまくやっている方だ」
「外面を取り繕っているだけです。中身は貧乏国のまま。服も金も軍もなにもかも借りものです」
somakusanao
DONEココイヌ十二国記パロ。利広は大好きなので、たくさん書けて楽しかったです。十二国記パロ③ では、今からご説明しますね、と書を広げたのは、十二国史最長王朝である奏国の次男にして風来坊、櫨先新こと利広である。そこはさしたる問題ではない。おもしろいことに顔を突っ込みたがる彼は、胎果の王の帰還にここぞとばかりやってきて、説明係に名乗りを上げたということだ。
女仙たちはどうしても世情に疎く、なによりまだ塙麒もこの世界の仕組みをわかっていない。蓬山の主である玉葉君はそのたおやかな眉を寄せたが、利広が適任であることはしぶしぶ認め、さっさと奥に引きこもった。
口うるさい……もとい厳格な蓬山の主が姿を消したいま、利広の独壇場である。とはいえ、己の立場をわきまえている利広はきちんと自らの役割を果たすべく、彼が知る世界のすべてを若き塙王に伝えた。
2603女仙たちはどうしても世情に疎く、なによりまだ塙麒もこの世界の仕組みをわかっていない。蓬山の主である玉葉君はそのたおやかな眉を寄せたが、利広が適任であることはしぶしぶ認め、さっさと奥に引きこもった。
口うるさい……もとい厳格な蓬山の主が姿を消したいま、利広の独壇場である。とはいえ、己の立場をわきまえている利広はきちんと自らの役割を果たすべく、彼が知る世界のすべてを若き塙王に伝えた。
somakusanao
DONEココイヌが出てこないココイヌ十二国記パロです。出てこないので、お暇があるときにお読みください。専門用語が多すぎます……十二国記パロ② それにしても、と禎衛は、巧国に登極する王の姿を眺めた。蓬莱に渡っていた麒麟の帰還と王の誕生に、蓬山は浮足立っている。女仙たちがあれこれと走り回っているのをてきぱきと指示しながら、今回の塙王を眺めていたのだが。
そうときまっているわけではないが、王は美丈夫が多い。登極まもなくの国は荒れていることが多く、王が立ちまわることが多いからかもしれない。とはいえ、塙王延王や戴王のような武人と言う感はない。まだ若いということもある。見た目であれば、十代後半。かの慶国の景王くらいであろう。彼女は若々しく凛々しいが、彼女ともまた違う。なんというか。
「朱氏のような方ね」
思わず口に出してしまい、はっとして噤む。幸いにも聞き留めた者はいないようだ。ほっと息を吐いた。
1718そうときまっているわけではないが、王は美丈夫が多い。登極まもなくの国は荒れていることが多く、王が立ちまわることが多いからかもしれない。とはいえ、塙王延王や戴王のような武人と言う感はない。まだ若いということもある。見た目であれば、十代後半。かの慶国の景王くらいであろう。彼女は若々しく凛々しいが、彼女ともまた違う。なんというか。
「朱氏のような方ね」
思わず口に出してしまい、はっとして噤む。幸いにも聞き留めた者はいないようだ。ほっと息を吐いた。
hoshinami629
MOURNINGこの後、珠晶と利広が会って久しぶりに色々話す予定だったのだけど、珠晶が利広に改めて話したくなるような事が余り思いつかず没になった。 新春、紅梅の匂い立つ、満月の夜だった。即位百年を記念した行事も今日で一段落して、珠晶は肩に掛かる重たい荷物を、漸く一つ降ろした様な心持ちだった。大体、自分が祝われる為に何故こうも様々なことの采配をしなくてはならないのか。記念として下賜する品の決定から、どの使節を掌客殿のどの房室に通すかまで、全ての最終決定権は珠晶にある。確かに客人の序列や記念の品々に関しては、多くの利権と思惑の絡む処だから、誰とも知らぬ官に勝手に決められてしまっては困る。とはいえ、これでは自分が自分を祝って居る様なもので、主賓と供応役を一遍に担っているのと同じこと。嬉しさよりも多忙への恨みに心が傾いていた。みんな忙しいのが嫌なのに、他人を平気で忙しくさせるのね、と百年前と全く変わらない、筋の通った我儘が首を擡げる。
1370hoshinami629
MOURNING「視爾夢夢」からカットした部分②。パワーランチの部分の直前にこれが入る筈でしたが、①をカットした関係でここも没に。視爾夢夢没供養② そうだ、と何かを思い出した様に後方の耶利の方を振り返る。
「どうかしたか?」
「先程、英章の処で似た話をしましたので、それを思い出して。耶利を驍宗様の軍へ組み入れるという話があったかと思うのですが、少々事情が変わりまして」
今一つ話の全容を摑めずにいる驍宗に、掻い摘まんで事の次第を説明すれば、ああ、と言って泰麒の主は破顔して見せる。
「――面白い事を考えたな。回生については英章もかなり心配していたのだ。一度は私に相談しに来た事もあった。耶利の提案で、あれもほっとしているのではないか」
泰麒は驍宗の言葉に、そうでしたか、と得心がいった風に答える。
「英章の軍に二人を組み込む形で宜しいですか? 英章から手勢を割いて主上の軍を編成する可能性もあるかと思いますし、そちらに二人を入れるのでも良さそうですが」
3716「どうかしたか?」
「先程、英章の処で似た話をしましたので、それを思い出して。耶利を驍宗様の軍へ組み入れるという話があったかと思うのですが、少々事情が変わりまして」
今一つ話の全容を摑めずにいる驍宗に、掻い摘まんで事の次第を説明すれば、ああ、と言って泰麒の主は破顔して見せる。
「――面白い事を考えたな。回生については英章もかなり心配していたのだ。一度は私に相談しに来た事もあった。耶利の提案で、あれもほっとしているのではないか」
泰麒は驍宗の言葉に、そうでしたか、と得心がいった風に答える。
「英章の軍に二人を組み込む形で宜しいですか? 英章から手勢を割いて主上の軍を編成する可能性もあるかと思いますし、そちらに二人を入れるのでも良さそうですが」
hoshinami629
MOURNING支部にある「視爾夢夢」からカットしたもの。サンプルにはこの部分も載っていた気がする。結局、李斎や回生、耶利のことを追い切れないと思ってカットしてしまいましたが、何か勿体なかった気もする。でも、李斎のこれからについて考えるには、阿選を討つよりももっと時間が必要な気がして……。視爾夢夢没供養①「李斎」
朝堂を出た処で、後ろから声が掛かる。振り返れば、其処にいたのは先程壇上に座していた李斎の主公だった。先程の視線の意味を思い出しかけたところで、機先を制する形で驍宗が言葉を継ぐ。
「少し、話があるのだが。――この後の予定は?」
特に急用や面会の約束も無かった為、首を横に振る。参ります、と答えて踵を返す。驍宗が執務を行う書房へ歩を進めながら、李斎は用向きを半ば予想し、半ば摑めず、隣を歩く主を見た。
「主上、恐れながら……。先程の軍議については、お気を病まれませぬよう。私が鴻基攻略に当たれないのは、私も皆も承知の上ですし……」
驍宗はその言葉にすぐには答えず、相槌を一つ打って後は黙々と書房へ向かう。心配して下さっているのだろうか、と何となく思いながら、李斎も矢張り黙した儘、複雑な気持ちで王に従った。
20686朝堂を出た処で、後ろから声が掛かる。振り返れば、其処にいたのは先程壇上に座していた李斎の主公だった。先程の視線の意味を思い出しかけたところで、機先を制する形で驍宗が言葉を継ぐ。
「少し、話があるのだが。――この後の予定は?」
特に急用や面会の約束も無かった為、首を横に振る。参ります、と答えて踵を返す。驍宗が執務を行う書房へ歩を進めながら、李斎は用向きを半ば予想し、半ば摑めず、隣を歩く主を見た。
「主上、恐れながら……。先程の軍議については、お気を病まれませぬよう。私が鴻基攻略に当たれないのは、私も皆も承知の上ですし……」
驍宗はその言葉にすぐには答えず、相槌を一つ打って後は黙々と書房へ向かう。心配して下さっているのだろうか、と何となく思いながら、李斎も矢張り黙した儘、複雑な気持ちで王に従った。
hoshinami629
MOURNING花影と李斎を書こうとしたけど、何かどう書いたら良いか分かんなくなって放置したもの。花影視点で李斎を思うと、辛さが溢れてしまう。花影と李斎 花影は夏の終わりが好きだった。より具体的に言うのなら、晩夏が好きだった。長雨の降る夏の初旬、北国にしては蒸し暑い中旬に比べ、戴の南部の夏の終わりはからっと明るく、涼しい海風が吹き抜ける。幼い頃から、この時期になると院子に卓を出し、風に吹かれながら勉強したものだった。
場所が雲海の上でも、事情はそう変わらない。江州城内に賜った官邸には、紫薇の古木が植わっていた。この木陰で午前中の執務を行うのが、近頃の花影の好きな過ごし方だった。
今日も何通か書類を認めては下官に渡してゆく。軍事優先の時期にあって、花影の様な文官が忙しいのは、自分でも意外だった。
——荒民の保護を行えないでしょうか。
李斎の朝議での発言を思い出す。これからの進軍について、策を持ち寄って話し合う場で良くもまあ、あの発言をした事だ。思い返して、花影は小さく笑う。
2047場所が雲海の上でも、事情はそう変わらない。江州城内に賜った官邸には、紫薇の古木が植わっていた。この木陰で午前中の執務を行うのが、近頃の花影の好きな過ごし方だった。
今日も何通か書類を認めては下官に渡してゆく。軍事優先の時期にあって、花影の様な文官が忙しいのは、自分でも意外だった。
——荒民の保護を行えないでしょうか。
李斎の朝議での発言を思い出す。これからの進軍について、策を持ち寄って話し合う場で良くもまあ、あの発言をした事だ。思い返して、花影は小さく笑う。