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    孤独

    amei_ns

    DOODLE孤独なトールと癒す呂布の雷飛 トールはずっと、ずっと、ずっとずっと、孤独だった。神の中にいても、みんながみんな、トールより弱く、並び立てるものなどいなかった。どんな敵も、怪物も、トールに傷一つすらつけることができなかった。呂布だけだ。呂布だけが、トールに傷を付け、自分が傷付いてもなお立ち上がり、武器を失い、腕を失い、もうだめだとわかっていてでさえ、向かってきた。
     ――だからトールは好敵手と、友と、呼んだ。神と人間。種族が、生まれた地が、過ごした歳月が、すべてが、違っていたとしても、そのようである、と思ったからだ。
     その友がなんの因果か蘇った。それは絶対にありえないものだと思っていた。しかし、舞い込んできた情報は真実であると物語っていて、トールは初めて歓喜という感情を覚えた。ラグナロク以降ぽかりと空いていた穴がようやく埋まる心地さえした。すぐにでも駆けつけて、呂布の様子を確認したかった。初めての友として、出迎えてやりたかった。けれど、トールの上級神としての立場が邪魔をした。落胆するトールだったが、まあ生きてくれてさえいればいつかは会うことができるだろう、と楽観視していた。そのトールの楽観に影を落としたのは、敗者 1759

    みゃこおじ

    MOURNING【カクイザ】孤独な王の帰還 施設で育った身寄りのない子供達の行く末なんて、幸せなものではない。18歳になれば無情にも何の後ろ盾がないまま世間に放り出され、孤独で、路頭に迷うような人生を送る。ひとりで生き延びていくのはかなりの労力必要で、児童養護施設という牢獄に似たような場所は、大人になってしまえばどれだけ安息の地だったかということを身にしみて痛感する。
     かくして、自立して大学に進学したり、就職したりする孤児もいる中で、鶴蝶のように闇社会にその身をおく他に生きる術がない孤児もいる。黒川イザナという頭を失い、天竺は事実上解散した。鶴蝶以外の幹部は多数の死傷者を出した、後に関東事変と呼ばれる抗争の落とし前をつけるために逮捕され、奇跡的に一命をとりとめたものの、鶴蝶は帰る場所も、頼るべき人も、一度に失った。
     施設を去った鶴蝶は、まだ14歳になったばかりだった。見てくれがどれだけ大人びていようとも、ひとりで生きていくには幼すぎた。一度、闇社会と関わりを持てば、そこから連なる負の連鎖を断ち切ることは難しい。結局、頼るべくは天竺を通じて知り合ったヤクザや暴力団しかなく、どんな汚い仕事も引き受けて、自分の身を守り、生計を立 1950