蓮狐.



　屋敷の方が急に騒がしくなったと片耳を欹(そばだ)てた。薄っすら目を開け、格子の間から様子を窺い見るとまだ辺りは真っ暗だったが、近くまで物音が迫っているような気がした。
　地面に誰かが崩れ落ちる音。扉の向こう側でこの家の主人の叫び声が聞こえる。声色から察するに尋常ではない慌て様で身の安全を乞い願う言葉に、さすがにただ事ではないようだと覚醒させられた頭で判断し、身体を起こす。
　混乱に乗じて逃げ出せる機会が来たのかもしれないが、鎖で縛られた南京錠付きの鉄格子は力技で打ち破れるものでもない。

「ここにも何か隠しているな？」

　言った後でその誰かが蝶番に手をかけたらしき音。肘金が外され観音扉を開け放つ何者かが、中へと侵入してきた。

【Luxiem｜Shuca】《万歳鼓動》(完)+


Shu深吸了口氣，不遠處的行刑場於他而言宛如戰場，每每踩進那被風吹起的細沙時總有陷入泥沼的感覺，跨出的每一步都像拖著無數身軀般沉重。

即便他已經習慣以死亡為食，以及這與死亡為伍的日子，他偶爾還是會納悶，若眼前真是沙場，或許就不必在下刀那一刻思考太多，只需確保自己的後路即可。

即便沒能守住自己的安危大不了只是提早渡河至彼岸，無需像這般一而再再而三地，在抽刀前屏住呼吸，以磨利的刀刃將誰的人生與其頭顱，一起斬落到這沙場之上。

Shu出生自知名的試刀人一族，從睜開眼的那瞬間開始，就背負著Yamino家頭號繼承人的身分。

但對附近的村裡人來說，他就是個行走的斷頭台。

出門一趟再回家，身上多了原本沒有的傷口，這事他早已見怪不怪也逐漸地習以為常，但在那村中的生活並非盡是糟糕事。

月花前日譚 七「ん？」
「カイン、どうかした？」
「今、視線を感じたような…」

尋ねてきたシノにそう返しながらカインは辺りを見回す。昼中の街は多くの妖怪たちが行き交うが、特にこちらを注視するような者は見当たらない。

「さっきヒースにちょっかい出して来た奴か？」
｢ああ、いや。そういう感じではなかったよ｣
「もう、そんなに警戒しなくても大丈夫だよ。あれは、俺がぼーっとしてただけだし…」
｢今度はあんなのヒースに近づけさせない｣
「なにか起こってからじゃ遅いからな。用心棒として仕事はしないと」

つい数刻前に不審な妖怪がヒースクリフに接触したばかりだ。幸いヒースクリフに被害はなかったようだが、シノはまだ憤っている。カインとて、自分の仕事を全うできなかった不甲斐なさを痛感した。また奴が現れるかはわからないが、今度は指一本触れさせないと気合いを入れ直したところだ。ただヒースクリフには、例の侵入者のあの笑みと、わざとらしい鳴き真似が妙に引っかかるようだ。

命の恩鳩"あの山には賊がいる"。そんな話を笑い飛ばしたのが、つい昨日。
俺は今、山賊に追われている。理由？知るか。
「捕ま……ん？佳音の鳩か。」
腕を掴まれたと思った瞬間、羽ばたきの音がして解放された。今だ。
一目散に山を下りて、街に駆け込む。
今後は鳩に優しくすると、固く心に誓った。