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    帰り道

    menhir_k

    TRAINING酔っ払い店長との帰り道
    もうシンプルに「道」とかでどうだ?(ゲシュ崩) なだらかな傾斜を降りていく。落下防止の柵の向こうは切り立った崖で、底が見えないほど深い。命を守るには心許ない劣化した柵を見るともなしに眺めやりながら、これでは足元の覚束ないうちの酔っ払いが転落死してしまう、とアッシュは思った。それから、肩越しに背後を見遣る。遅れてのろのろと歩いて来るムラビトの姿に、アッシュはソノーニ町を発ってからもう何度目になるか分からない溜め息を吐いた。
     町で一泊しよう。アッシュはソノーニ町で提案した。ムラビト一人では不測の事態に対応しきれないかも知れないが、アッシュが居れば半魔の身なりも上手いこと誤魔化してやれる。何より、こんな真夜中に慣れない酒で疲弊したムラビトを連れ帰るのは憚られた。だが、ムラビトは首を横に振った。マオも、魔物たちも心配している。早く帰って安心させてやりたい。そう主張して譲らなかった。変なところで頑固なこの子供が、一度こうと決めたら頑として譲らないことはアッシュ自身一番よく解っている。仕方なく折れて抱き上げようとしたらそれも断られたので、取り敢えず肩を貸して路地裏を出た。王都でムラビト達が借りたという小型通信水晶をアーサー名義で買い取れないか相談してみよう、とアッシュは思った。
    1995

    raixxx_3am

    DONE付き合ってるきすひよ。帰り道。
    (2023/03/06)
    モメント かくん。
     大きな身震いを起こしたのにつれて、ぴったりと重ね合わされていた瞼がふるふると震える。
    「ごめん――寝てたみたいで。重くなかった? 平気?」
     眼鏡のフレームにそっと手をかけ、ごしごし、と無造作な手つきでらんぼうに瞼をこすりながらひどく恐縮したようすで声をかけられる。
    「ううん、ぜんぜん。それより、遠野くんは大丈夫なの?」
     間近に見つめあう眼差しに浮かぶ憂いを、すこしでも打ち消せるように――やわらかに笑いかけるようにしながら答える。
    「疲れてたんでしょ、無理もないよね」
    「でも……」
     心底申し訳なさそうに髪をかきあげなら吐息まじりにこぼされる声に、心をしずかになぞられるような心地を味わう。

     いつものように駅で落ち合ってから部屋まで招いてもらって、夕食をご馳走になって(きょうだってもちろんすごく美味しかった)、手分けして食事の片付けを終えて、前から評判だった配信のドラマを隣あって座りながら一緒に観て――主人公たちの元へと、まさに脅威が迫り来るその瞬間だった。無防備にこちらへとしなだれかかる心地よい重みと温もりに気づいたのは。
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    mp_y1005

    MOURNING戦闘により足が破損して動けなくなった上に耳も目も機能しなくなった弟子の話。

    状況が分かりにくいので補足。
    夕方、S級会議からの帰り道、街中に突如現れた激強怪人と戦うジェノス君。ジェノス君は今、怪人にぶん投げられ、瓦礫やホコリまみれの廃墟ビル内にいるという状況。
    漫画にしたいと思ってメモしてたらめっちゃ長くなってきて、もうこれ私の画力では描き起こすの無理だろ!ってなったのでここに供養します。
    サイジェノ真っ暗闇の中、ほぼ無意識に「せんせい」と声を出したが、耳が壊れてしまったので今自分が声を出せているのかも分からない。怪人はまだ生きている。何とかせねばと唯一残った片腕をフラフラと動かしながら、周りに何があるか確認しようとした時、何者かに腕を掴まれる感覚がした。直感でそれが先生だと分かる。先生がここに居るということは、先程の怪人は先生が一撃で倒したのだろう。流石です…先生…などと思っていると腕を勢いよく引き寄せられ、体制が崩れる。大きな衝撃が来るかと思いきや、ふわりと体を包まれる感覚がした。先生は俺を抱き寄せてくれたのか。体が密着している部分から、先生の体温を数値で感じ取る。こんな時なのに心地よいと思った。
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